佃島ふたり書房 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 78
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630122

作品紹介・あらすじ

佃の渡しが消えた東京五輪の年、男は佃島の古書店「ふたり書房」を立ち去った-大逆事件の明治末から高度成長で大変貌をとげる昭和39年まで移ろいゆく東京の下町を背景に庶民の哀歓を描く感動長篇。生年月日がまったく同じ二人の少年が奉公先で知り合い、男の友情を育んでいく。第108回直木賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 内容(「BOOK」データベースより)
    佃の渡しが消えた東京五輪の年、男は佃島の古書店「ふたり書房」を立ち去った―大逆事件の明治末から高度成長で大変貌をとげる昭和39年まで移ろいゆく東京の下町を背景に庶民の哀歓を描く感動長篇。生年月日がまったく同じ二人の少年が奉公先で知り合い、男の友情を育んでいく。第108回直木賞受賞作品。

    書店のほんわか話かと思いきや、古書が熱かった時代の闇をはらんでいます。昔は本がとても大きな力を持っていたんだと読んでいてある意味うらやましい気持ちになりました。本を語り合ったり議論したりは楽しかっただろうな。
    色々盛り込み過ぎて商店がぼやけているのが残念。

  • ザ古本屋小説

  • (オーディオブックにて)
    佃島の話、というのに惹かれて読み始めた。
    古本屋の歴史。
    あまり期待していなかったに、気がついたら引き込まれていた。
    過去の出来事から今に到るまでの佃島を中心とした素敵な話です。

  • 出久根達郎さん、1992年の直木賞受賞作

    古本屋の話、本好きにはそれだけでも楽しい
    しかし物語は結構入り組んでいて、佃島という特殊な地域に対する愛着をたっぷりこめながら、共産主義や友情や恋の話を絡めつつ、過去と現在を行ったりきたりします

    こうやって振り返るといろいろ詰め込みすぎ、作者が描きたかったのはなんだったんだろうという疑問も出てくるけど、タイトルそのまま、佃島の二人書房の物語を描きたかったということかな
    いずれにしても楽しく面白く読めることは間違いなしです

  • 硬軟が自然に絡みあって、個人的で温かでありながら、歴史の流れを織り込まれたスケールの大きさも魅力です。
    思いのほか骨太の小説でした。

    作者は下町の古書店に勤め、その後独立して店を構えたので、他の人には書けない作品を期待して買いました。

    明治の終盤から東京オリンピックのあった昭和30年代末までの東京の下町、佃島の古本屋が舞台です。

    母から店を継いだ娘澄子の試行錯誤。
    長年そこで働いてきた郡司は代替わりを機に店を去ります。
    背に彫り物をした郡司は謎めいた存在です。

    物語は時代を前後しながら、澄子の父親が店を開いた経緯と郡司の時代の波に翻弄された人生が次第に明らかに。

    明治の少年同士の友情と駆け引き、歴史的事件と背中合わせの年上の女性への恋心、思いを寄せた女性との約束を守る意地。
    明治の男と女の静かな意地は、古臭さい頑固さを超えた一途な思いです。

    こんな気持ちの通いあいもあるのだと気づかせてくれます。
    巡りあってよかった粋な一冊です。

  • 108回 1992年(平成4)下直木賞受賞作。東京佃島の古本屋で仕入れを担当しながら発禁書を収集する男と彼とゆかりを持つ女たちを明治・大正・昭和の時代とともに描いた作品。ストーリーの中につむがれた、歴史に潜む怪しい事件が楽しめる。おすすめ。しかし頻繁に登場する古き東京流おやじギャグは理解が難しく、これらは本当の意味で”死語”になっているのだな。

  • 「無明の蝶」が候補に挙がって居乍ら直木賞を逃したと云うから、受賞作の方も読んでみなくちゃと手に取りました。
    出久根さんの長編て、どうももったりして、途中で視点が急に変わったりするので、読みにくいかなとあまり期待していなかったんですが、いやー面白かったです。
    佃島の情景描写など最初から素晴らしく、質の高い映画を見ている気持ちになります。
    主人公がとにかく本を愛しすぎ。
    そしてみんなに愛され過ぎです。
    古本を題材に、此処まで色々な物が織り込める筆力は
    (そしてこの長さでこの密度!)
    本当に素晴らしい物だと思います。

  • 大正12年(1923)、昭和39年(1964)と、関東大震災、東京五輪前後の東京・佃島周辺で織り成す郡司、六司、千加子の三人の若者の本に賭けた情熱。郡司は満州へ去り、六司、千加子は夫婦に。そして約40年ぶりの郡司と千加子の出会いと千加子の娘・澄子と郡司の心の通い合い。現在の新川周辺の隅田川の情景と合わせ、3時点の時空を超えて、江戸情緒の香りにあふれた素晴らしい作品でした。昭和39年の佃大橋の開通により、初めて渡し船が廃止になった意外な近過去も驚きです。古本は命をもっているという登場人物の澄子へのアドバイスなど、本が好きな人には堪えられない楽しい本でもあります。

  • 古本屋の女主人が様々な謎を解く、三上延さんの『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス)が少し前まで話題になっていましたが(もうブームは去ったの?)、古本屋を舞台にした小説で、こんな名作がすでにあったんですね~
    1993年の直木賞受賞作品ですから、単に私が無知だったってだけなんですが(苦笑)
    作者が実際に古本屋を営んでいる方なので、古本屋の内情についてはとっても詳しく書かれていてすごく面白い♪
    また相当な本好きなのが文章の端々に垣間見えて、それを読んでいるだけで幸せな気分になれます!
    あと細かい事を書くと、佃島と徳川家康とのこと、新しい橋の渡り初めにつきものだという「三代夫婦」による渡り初め、お神輿の担ぎ方や、江戸っ子の「ワッショイ」という掛け声に対する思いなど、明治から昭和にかけての風俗を知ることができたのも楽しかった。
    こういう本、これまで読んでこなかったんですよね。
    まるで本好き大人向け「ALWAYS 三丁目の夕日」みたい♪

  • 大分前に本や古本屋のエッセイを読んで面白かったので図書館で借りてみました。直木賞受賞されてたんですね~。昨今は賞を取られている方が多くて覚えきれません…。

    古本屋の市や商売方法は面白かったのですがお話的にはそれほどグッとくるものがありませんでした。視点がコロコロと変わるからかな?郡さんと六さんのお話がメインなら面白かった気がします。澄子さん視点は余分だったような。何となく向田さんのあ・うんを思い出しましたがこの作品の二人にはそこまでの友情は感じ取れなかった気がします。六さんの描写が少ない所為かなあ…

    と言う訳で前に読んだエッセイの方が面白かったです。また機会があればこの作者の本を読んでみたいと思います。それにしても今は古本屋の形態も随分変わったろうなあと思います。個人的に神保町とかブラブラするのは大好きですがそのうち少数派になるのだろうな。本自体もそのうちデジタルにとって代わられるのかもと思うとさみしいですね。まあ暫くは大丈夫でしょうが…

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著者プロフィール

出久根達郎(でくね・たつろう)
1944年、茨城県生まれ。作家。古書店主。中学卒業後、上京し古書店に勤め、73年より古書店「芳雅堂」(現在は閉店)を営むかたわら文筆活動を行う。92年『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、翌年『佃島ふたり書房』で直木賞、2015年『短篇集 半分コ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。他に『古本綺譚』『作家の値段』『雑誌倶楽部』『春本を愉しむ』『本があって猫がいる』『隅っこの昭和』『幕末明治 異能の日本人』『桜奉行』『漱石センセと私』など多数。

「2018年 『文庫 本と暮らせば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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