天使の耳 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630160

作品紹介・あらすじ

深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か。死んだドライバーの妹が同乗していたが、少女は目が不自由だった。しかし、彼女は交通警察官も経験したことがないような驚くべき方法で兄の正当性を証明した。日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 交通事故をテーマにした6編の短編小説。
    1995年の小説であるが、煽り運転などの今の情勢にも通じる事が描かれていて先見の明が素晴らしいなと思いました。只の事故の原因を探るだけの物語ではなく、その裏の人間ドラマや隠された真相など読んでいて飽きずに読むことが出来ました。
    あまり読書の時間が無い人でもさらっと読める小説なので、是非読んでみてください。

  • なんか物足りない。。短編集だからかな。。1話1話楽しいというか考えさせられるような内容だったんだけど。。短いからかなんか物足りなかった。

  • 東野圭吾の隠れた名作。所轄の交通課の警察官が主人公の短編集。

    普段から運転をするぼくとしてもどこか胸が痛む作品が多いが、交通事故は被害者も加害者も人生が一変してしまうものなんだな、と残された遺族の心の傷に対して法律はどこまで守ってくれるのか。

    横断歩道ではないところから突然人が飛び出してきて、咄嗟の対応で避け、電柱にぶつかったとして運転手が亡くなるとする。ルールを違反したのは歩行者だとしてもそこに罪は問われない。法律の融通の効かなさを悔やむ、遺族たち。

    今はドライブレコーダーの普及から、ある程度、運転手の身を守るものも増えてはきているが、他人事に思えず、考えさせられる作品でした。

    30年前の作品でしたが、文学は色褪せないんだなあ、としみじみと感じることもできました。みなさんも東野圭吾さんの隠れた名作に触れてみてくださいね。

  • 毎度のことながら、東野圭吾。
    なぜにこんなにもたくさんの話を思いつくのだろう。

    『交通警察の夜』改題とある通り、
    交通事故を中心にして構成された短編集。
    6つの話が読める。

    どれもおもしろいけれど、
    1番を決めるとしたら、天使の耳かなあ。
    東野圭吾さんらしい、細やかな設定が
    楽しい。
    分離帯とか、人の感情の動きや思考をうまく表現する
    のも、ははあとうなってしまう。

    山崎洋子さんの解説もまたいい。
    そして、この本のよさを上手に語っている。
    そう書けばいいのか。

  • 交通事故ミステリー。
    (そんな言い方があるのか分からないけど)笑

    交通事故を題材にした作品を他に
    知らなかったので、
    なんか斬新だなと思った。

    本当に著者は色々な話が書けるよねぇ。

  • 天使の耳
     目の見えない子が事故の無実の証明をする
    分離帯
     停まっていた車が急に運転。それによる事故
    危険な若葉
     いわゆる「あおり運転」
    通りゃんせ
     路上駐車がなければ、助かったかもしれない命
    捨てないで
     車から空き缶を捨てた→後方の車、目に当たって失明
    鏡の中で
     事故を起こしたコーチ。本当に彼が運転してたのか?

    どの話も交通事故をテーマにしていたよー。
    今ならドライブレコーダーがあって、どっちに過失があるか
    わかるようになってきたけど、
    そうでない時代の話。
    それをここまで膨らませられるなんて、
    改めて東野圭吾さんって、スゴいですー!!

  • 交通事故を題材とした短編小説。
    それぞれがどんでん返しというか、
    不穏な空気をまとっています。

    歩行者が急に飛び出したり、
    赤信号なのに渡ってきたりと
    ヒヤッとすることがあります。
    今はドライブレコーダーが普及したので
    ドライバー自身の身を守れるように
    なってきて良かったと思います。

    煽り運転も然り。
    ドライブレコーダーという証拠があるから
    身を守ることができます。

    表題にある「天使の耳」。
    交通事故に遭った車に同乗していたのは
    目の不自由な女子高生だった。
    しかし彼女は驚くべき記憶力と、
    まさに《天使の耳》を持っていた。
    ゾッとする最後。この話が1番好きです。

  • 「交通警察の夜」改題。短編集。「天使の耳」車同士の衝突事故。死亡ドライバーの盲目の妹は、抜群の聴覚と記憶力で兄の無実を証明する。

  • 目が見えない女の子の話。兄も交通事故で亡くなったという時点で悲劇くさい、いわゆる不憫な話になる予想をしていたけれど吹っ飛ばされた。ラストのどんでん返し。
    「自分が目が見えない弱者である」ことを利用するパターンではなく、異常なまでの記憶力と聴覚の鋭さで周りを圧倒するのが良い。ものすんごい切れ者。

    最終的に「見えてないけど状況は完璧に把握している」と刑事たちを納得させることができた。目が見えないのは本当で、超がつくほどの記憶力と聴覚も本当。
    だが…言っていることが本当だとは限らないという。

    「目が見えない」この女の子は誰よりも道筋が見えていたに違いない。
    天晴れ。

  • 全て最後に軽いどんでん返しがあり、円満解決の物語はない短編集。
    読み終わった後にモヤッとした感じが残る作品

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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