眩暈 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1784
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  • Amazon.co.jp ・本 (708ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630795

作品紹介・あらすじ

切断した男女の死体が合成され両性具有者となって蘇る。窓の外には荒涼たる世界の終焉の光景が広がっているばかりだ。「占星術殺人事件」を愛読する青年が書きのこした戦慄の日記がさし示すものは何か。醜悪な現実世界に奇想の作者が驚天動地のトリックの矢を放つ。ミステリの新たな飛翔を決定づけた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 大学2年から数十年ぶりに読み返した今回は、分析的な読み方を心掛けた甲斐もあって、数々の粗、都合の良さや強引さが目立った。

    致命的なのは、インドネシアで殺人を犯す事に、実は何も必然性がない事。これは正に発見だった。
    魅力的な謎の創造のために登場人物が踊らされてしまったのだ。これは作者の傲慢さ以外何物でもない。

    しかし、数十年経っても色褪せぬ内容と、抜群のリーダビリティは確かに存在した。
    読者を愉しませんがための過ちと受取ろう。

  • <ネタバレ有り>
       


    ++++++++++++++++++++++++++++++++



    御手洗シリーズ。以前ハードカバー版で読んだものを文庫版で再読。
    眩暈。まさに眩暈。やっぱり読んでてくらくらきました。
    古井教授の難解な講義の後の石岡君の「聞いていて意味が十分の一も解らなかった」という一文によってもたらされる安心感がすごい。
    初読時どうしても理解できなかった部分があって、今回はその辺りをじっくりと読んだつもりなのですが、やっぱりわからない部分もありました。香織お母さんの胸が小さい云々のくだりは文庫化にあたって最後に加筆されていたので理解しましたが、結局未亡人を襲った両性具有者は一体だれだったかという謎は残りました。解説にもあったようにその辺りは読者の想像にお任せという感じなのかな。
    その解説ですが、つまらなすぎてびっくりしました。難しい言葉を並べてるだけで意味がさっぱりわからず、長いので読み飛ばしてしまいました。解説が本文より難解って…。解説までを含めて1冊の本だと思うのでちょっと残念。

    眩暈の御手洗のエキセントリックさには息を呑むものがあります。そんな御手洗に付き合いきれる石岡君も只者じゃないとあらためて思いました。

  • 『だからウロボロスなんです。蛇が尻尾をするすると飲み込んでいくと、すぽんと異次元の空間へと消滅する、そういう現象を思惟的に結論しても、さして意味はない。何故なら現実にそういうことは起こらない。

    海の水の総量が茶匙何杯であるかを知ることが可能かと問われれば、明らかにイエスであり、明らかにノーでしょう。

    脳の機能を物質レベルで解明したという時、これが何を意味するかといえば、ほかならぬ脳自身がこれを理解したということです。これはパラドックスなのですよ。

    自分自身とは、永久に握手はできないのです。』

    島田荘司は重たいけど面白いなぁ。

    そもそも島田荘司は重たいので避けてきたけど、そろそろ本気で読み漁りたいな。『暗闇坂の人喰いの木』と『アトポス』あたりをとりあえず読みたいな。

  • 再読。未亡人との濡れ場はなんだったんだ...。

  • 最初の百数ページがとても怖かった。不気味でグロテスクで、わけがわからなくて怖い。『占星術殺人事件』を愛読する青年が記した妄想としか思えない手記の内容が、御手洗の推理によって現実味を帯びてくる。提示される謎のうちのいくつかは、じっくり考えれば読者でも解答に辿り着ける。色々な可能性を自分なりに考えるのが楽しかった。石岡が江ノ電に乗って調査に向かう場面が好き。数年前に旅行で訪れた、鎌倉の独特の景観が懐かしい。

  • 母がこの作者が好きで、眩暈のあらすじを母から聞いて、え、面白そう!?と思ってようやく読んでみた。
    正直期待していたほどの衝撃はなかったが、全体的に面白く読めた。
    私の頭ではなかなか腑に落ちない箇所が何箇所かあった。

  • 読んでるこちら側が眩暈を起こしそうになる。何度か読み返したが、その度毎にそんな感覚になるので、中毒性高し。

  • 久しぶりの御手洗シリーズ。
    この間それなりに読書経験を積んだせいで、御手洗がカッコ良く見れなくなってたらどうしよう…と若干の不安があったんだけど、ちゃんとカッコ良くて嬉しかった。
    派手で強引な真相で島田荘司らしいストーリー。
    面白かった。

    超有名俳優の息子にして『占星術殺人事件』の読者でもある青年が、鎌倉の独り暮らしの部屋にある日強盗に入られ、居合わせた父親の恋人と父親の秘書が殺されてしまう。太陽が消えこの世の終わりのような様相を呈する世界で、青年はふとこの二体の死体でアゾートを作ることを思い立ち実行する。するとアゾートが動き出し……という手記が、東大教授によって御手洗にもたらせる。
    この手記は何を示すのか。教授は筆者の脳の障害を疑い、御手洗は実際に起こった事件だと主張する。
    その実証のため、石岡は現地調査に派遣される。

    死体を分断するシーンのとてもリアルな表記は確かに現実に起こった事件に思えるけど、夜だけの世界とか変わり果てた鎌倉の風景とかアヤシイ人間とか恐竜とか、さすがに現実としては説明できないでしょみたいな、これどう落とし前つけるんだ的な相変わらずの島田荘司ぶりだった。
    渦の右巻きと左巻きには気づいたけど、まさかインドネシアまで飛ぶとは思わなかった。ここのところの御手洗シリーズは世界を股にかけてる。

    9階程度のマンションじゃ階数は誤魔化せないだろうな(今ならタワーマンションにするだろう)とか、謎の死を遂げたサラリーマンの未亡人を襲った美青年は結局誰だったんだろうとか、いろいろ都合良すぎるところも含めて突っ込みどころ満載だったけど、大枠は面白かった。
    手記の謎が一応合理的に説明されて、一応スッキリ。
    あと、知的好奇心が一番で決して正義の側にいるわけじゃない御手洗のスタンスを堪能できて満足。
    本来の形に組み戻された手記を読む時に自分の集中力が持たなかったのだけ残念だった。



    (以下、京極堂シリーズにかぶれた人目線の感想)
    久しぶりに読む御手洗は、榎木津と中禅寺を足して2で割ったような人物として私の前に立ち現れてきた。
    他人を全く気にしないところと外見のカッコ良さは榎木津で、合理的な思考と丁寧な口調で他人を翻弄するところは中禅寺。
    そして石岡君は、鬱じゃない関口(笑)。
    特に御手洗の命で鎌倉を調査する石岡君は、榎木津に無茶振りされて現地調査させられる関口と、超シンクロしてる。御手洗に馬鹿にされて嫌味を言われるところも、中禅寺と関口の関係に置換可能。
    畸形児とかバラバラ死体とか、エピソードにも京極堂シリーズのエッセンスが感じられる。
    直接影響を受けたとまでは言わないけど、私何読んでるんだっけ?と思ったくらい混乱した(笑)。

  • いきなり、大きい字の子どもの手記から始まってちょっとぎょっとした。
    叙述トリックなんだろうなあ、これどうやって実際にあったことになるんだろう、と最初から思いながら読んだけど、分かったのはひとつだけだった。

    隠された4階っていうのはわくわくする。
    でも内情はかなりグロテスクで、なんていうか、耽美みたいなのが足りなくて残念。

    御手洗が石岡くんに対して酷い。
    石岡くんも御手洗に対するトキメキ?がなくなった風だけど、それより御手洗が酷いし、藤谷を出しちゃったら石岡くん要らなくなっちゃう


    別に面白かったんだけど、なんとなく後味が悪い。

  • 最初意味わかんなかった
    知性が退化してるぅ( ´_ゝ`)

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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