炎立つ 伍 光彩楽土 (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062631006

感想・レビュー・書評

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  • 初めて、蝦夷側からのお話を読みました。
    全五巻、夢中になってました。

    歴史は見方によって、こんなにも違うんだなと思いました。

    どんなに不利な状況であっても、蝦夷としての誇りを忘れず、そして民の事を一番に考えていた泰衡に何度も胸が熱くなりました。

    読んでよかったなと思った本でした。
    いつか、藤原や安倍のゆかりの地へ行ってみたいと思います。

  • 大好きな作品の最終巻。
    1巻と5巻(最終巻)のみのレビューという中途半端さですみません笑

    蝦夷と朝廷との戦いを描いた大作。

    最終巻は経清の子孫である泰衡が主人公。
    泰衡は、史実上では保身のために義経を売ったような印象やったけど、ここでは全く違う描かれ方をしていた。
    「国は滅びても人は残る」
    それを信条に、繁栄を極めた平泉を滅ぼし、自分も死ぬことになっても、そこに暮らす人々を、文化を生かそうとした。
    それは、同じく泰衡の祖先、経清の息子である清衡が、仏教によって人を治め、平和をはかったように。
    大切なのは人と文化。それを守るためにどうするか。
    少なからず、それを考えて歴史を作り上げてきた先人たちがいると思うと胸アツ…!

    これは小説だし、本当のところは分からない。
    けれど、こんな見方もありなのか、と思ったら、歴史の中で散っていった多くの人間の中に、もっともっとロマンが隠されているのでは、と思うと感動で胸がつまります。

    歴史の奥深さを教えてくれた運命的な小説です。

  • 再読。
    やはり面白い。
    スケールも大きく、時代小説の熱さを存分に味わえる。
    さらに、東北地方に縁のある人には絶対におすすめ。

    歴史とは何か。
    解釈によって、視点によってこれほどにも違って見えるものかと思う。

    経清、貞任の第一部も大変な引力を持っているが、
    泰衡の最終章がもっとも印象的。

    そもそも四代泰衡という人は、名君藤原秀衡と対比的に国を滅ぼした愚将と語られるのが常だ。
    その泰衡の真意が語られるシーンは感動的。


    長らく中央政権から隔絶し、幕府権力に滅ぼされた奥州藤原氏について、
    信頼できる文献史料はおそらく望めないだろう。
    だから、実際の平泉がどうだったのかは、誰にもわからない。
    この小説も、結局は完成度の高いフィクションでしかない。

    しかしこの小説は、娯楽性を備えながらも、歴史の多面性、日本人の多様性を訴えて余りある。
    東北出身の筆者の心からの訴えであろうと思う。
    東北地方が、現在もなお、軽んじられる傾向にあるのは確かなことだ。
    それが、軽んじられている側にしか感じられないような程度であったとしても。



    奥州は、戊辰戦争でも反勢力を形成した。
    日本はなまじ狭いだけに、全国統一の波にいつも飲み込まれてしまってきたけれど、
    東北史を見ていると、二国共存ないし連邦制の可能性もゼロではなかったのだと思う。
    同じ可能性が、日本各地にあったのだろうと思う。

    地方分権、道州制が叫ばれて久しい今、「炎立つ」に
    地方自治の可能性についての想像力をかきたてられる、といっては言いすぎだろうか。

  • 東北の地に生きる人々、そして武士の壮絶な歴史ロマン。
    時代背景は『火怨』→『炎立つ』→『天を衝く』と続く。
    格好良い生き方の男達に惚れますよ!涙しますよ!引き込まれますよ!

  • 奥州藤原の終焉、泰衡さんと源義経さん時代のお話。
    初巻から150年を描いた最終巻。

    歴史の流れは現代からはわかっているので、人物たちをどう描くかだと思うけれど、とにかくテンポとバランスが悪い。
    蝦夷のプライドや男の友情を描きたいのだろうけれど、題材に対して作者の力量が追い付いていない感じでした。

    奥州藤原氏に光を当てたのは良いと思いますが、とにかくつまらないお話だったな…というのが全5巻を読み終わった素直な感想です。

    歴史モノであれば資料を集めたり色々と大変なのはわかるけれど、主役を張る人物たちが既視感のあるタイプばかりで、どの時代のダレを主役にしても同じ味付け(しかも大味)にしかならないように思いました。

  • 陸奥側からの視点からの歴史の描写がとにかく新鮮。そもそもこの時代のことをよく知らなかったし、源氏と蝦夷がこれほど密接にリンクしてたなんて全く知らなかった。もう一度平泉に行ってみたい。

  • できるなら、風の陣、火怨、炎立つ、天を衝く、と、ある上に、幕末の会津を舞台にもう1シリーズ読ませて欲しいなぁ〜!

  • 世界遺産 平泉へ訪れるなら、この作品は必読です。何も知らずに金色堂と密集したお寺を眺めるだけではなく、「浄土を作る」というコンセプトがどんな背景からできたのか想像しながら歩くと、感動の大きさは歴然の差があると思います。

    それほどこの作品は私のような初心者にも、陸奥の歴史を鮮やかに想像させてくれました。著者の歴史への知識に裏打ちされたストーリーと、「武士」としての人間関係や判断に引き込まれます。
    お気に入りは「そうきたか」と呟いてしまうほど良い意味で期待を裏切るクライマックス。当時の武将の取る選択肢としては考えられない視野の広い人道的な感覚です。歴史的な真偽は知らないのですが、小説として大変楽しませてくれました。

  • ついに完結。
    最後まで清々しい蝦夷の志に心を打たれました。
    源平の戦いの陰に隠れた奥州平泉の物語が真実かどうかはわかりません。ただ、この作品で描かれているような高貴な魂の結果が今の日本に少しでも影響していればと願ってしまいます。
    もう一度平泉を訪れたくなりました。そして、平氏や源氏の視点から描かれた作品も読んでみたいです。
    義経の生涯は諸説ありますが、本当はどうだったのかと想像すると夢が膨らみました。

    文句なしの5点満点です。

  •  奥州藤原氏を滅亡に追いやった四代泰衡を主人公に、物語は終幕。

     源頼朝が創作した武士政権の機構が、奥州藤原氏の政権運営から着想を得たこと、津軽十三湊と宋との直接的関係が、金産出の他に東北の価値を高めたというなかなか面白い着眼点はあるが、如何せん短すぎてその着眼を小説という媒体に落とし込めていない感じ。

     また、いくら何でも義経生存endというのは、歴史小説としての価値を貶めるだけにすぎず、苦笑してしまう。

     本書は関係ないが、中世から戦国期の東北支配の実が本書に言う俘囚観を取り除いたのだろうか。それとも……。その内実は如何?。

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著者プロフィール

1947年、岩手県生まれ。早稲田大学卒。83年に『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞、86年に『総門谷』で吉川英治文学新人賞、87年に『北斎殺人事件』で日本推理作家協会賞、92年に『緋い記憶』で直木賞、2000年に『火怨』で吉川英治文学賞を受賞。本作『風の陣』(全五巻)は、「陸奥四部作」のうち、時代の順番としては最初の作品になる。以降、『火怨 北の燿星アテルイ』(上下巻)、『炎立つ』(全五巻)、『天を衝く』(全三巻)と続く。

「2018年 『風の陣 四 風雲篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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