銀河列車の悲しみ (講談社文庫 あ 53-8)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062632492

作品紹介・あらすじ

奇妙な出来事の数々は、壮大なドラマの前兆だった。誘拐と間違われた少女が無事もどって、銀河鉄道の夜を体験したと語り、ゴジラに襲われたと訴える青年が現われる。そして蒸気機関車に引かれたミステリアス銀河列車が60人の乗客とともに消えて殺人事件が…。犯人の狙いはなに。牛深警部の推理は。

感想・レビュー・書評

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  • たぶん知らない人が多いと思います、この作品も、そして作者も。

    しかし、この本はいい。理屈抜きにいい。

    冒頭が最もいい。
    極寒の北海道。その新雪の原野に、二条の車輪の蹟が続く。
    そして、その先の大木に、列車が一台引っかかっているのである。
    雪原を走り疲れて、眠っているかのように。

    この美しさは、北国に生まれ育ったものにしか分からない。
    作者の阿井氏は北京生まれということだから、たぶん真冬の厳しさと美しさを
    知り尽くしているのだろう。

    推理小説(それもこれほどの超越した「あり得ない状況」を設定した物語)の書評に
    顛末をあらすじで書くような野暮はしない。

    ただ、読んでみてほしいと、願うばかりである。

  • 身長数十メートルの怪獣ゴジラに襲われたという青年。少女誘拐。バラバラに切断された彼女の遺体写真。しかし誘拐と思われた少女は無事に戻る。…も、銀河鉄道に乗ったり、恐竜時代の地球に行ったと言う。
    さらに北海道では、ミステリアス銀河列車が60人の乗客とともに消える。車掌だけ保護されるも、宇宙を旅して月面や火星に行ったと証言。しかも、黒こげの死体ひとつを乗せた客車3両と蒸気機関車は、空を100キロメートル以上飛び、原野のただ中、天へ昇りゆく途中とでもいえる格好で、樹高20数メートルの巨木の上に、まるで船が座礁でもしたかのように、引っかかって発見される。
    それから、妖怪ぬりかべやカラスてんぐの目撃情報。ゴジラに食われた2つの死体。まだ起こる第二の銀河列車事件…。
    まるでファンタジーのような、これら詩的な事件の謎に、警視庁捜査一課の牛深警部が挑む。
    北海道を舞台にしていたり、メルヘンのような事件のシチュエーションを、現実的に解明してゆく物語の展開は、島田荘司の『奇想、天を動かす』を思わせてワクワクしました。解説を島田先生が書いてるのもうなずけます。情景が絵のように浮かび、好きな世界です。

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著者プロフィール

1941年北京生まれ。早稲田大学卒業後、石堂淑朗に脚本を学び、ウルトラマンシリーズ、特捜最前線等々500本以上のシナリオを執筆。そのかたわら1980年に「第八東龍丸」で小説現代新人賞を受賞し、作家デビュー。海洋冒険小説、ミステリー等著書多数。『視聴率の身代金』『魂丸』『荒南風』『捏造 はいてなかった赤い靴』『うなぎ丸の航海』

「2022年 『慶喜暗殺 太鼓持ち刺客・松廼家露八』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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