季節のかたみ (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062632645

感想・レビュー・書評

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  • 心が荒んでいるのか心に沁みる事なく終わる。
    情感の持てる人間になりたい。

  • 飾らない文章なのが良かった。時折出てくる父親からの話がどれも良くて、父親との関係はとても良かったんだなあと思った。「うちの中の教えは、出来の悪い部分を救ってやり、弱いところを養ってやる教えが良いように思うのです」という部分には心打たれた。自分の不出来は一生自分にまとわりつくものだから、それを親の言葉によって手当てできれば子どもにとってうれしいものはないのだと書いてあり、なるほどその通りだなと思った。

  • 細やかな感受性に引っかかる生活の事柄。この人の手にかかると練り直され、新しい味付けをされ読者に提示される。ゆったりとした気分でないと自分には堪能できないことがわかった。

  • 暮らしの手帳的、というか非常に生活という地面にしっかりと足をおろした「哲学」を感じさせる文章だな、と思う。そのあたりは親子の血は争えない。何気ないことを書いていながらはっとさせられるのは、こうした随筆の書き手として最高の手腕ではないか。男性にもおすすめ。

  • 「なくしもの」。
    妻がふと夫に嫌悪を抱く。
    すると、まるで心を見透かされたように夫から別居の打診をされる。家庭が一番落ち着くと言っていた夫なのに、と妻はいぶかしむ。

    妻が生き生きと働きだした結果、夫の目には「静かさと安らかさ」をなくしてしまったように映る。

    最初は妻の嫌悪から始まるのに、夫の言葉に私までガーンと衝撃を受けた。自身を貫く一言って、あると思う。

    「ドッコイショ」では、「人のからだは天然資源でできています」という言い回しが面白い。
    使えば減る。減るのは定めだが、荒廃させるのはむざんだと幸田文は結ぶ。

    彼女の文章に触れると、身体論ではないのにも関わらず、身体というものを改めて見直したくなるときがある。

  • 心の片隅でもいいから置いておきたいあたたかな知恵の本

  • こんな婦人に私はなりたい

  • 母に勧められて読者中。「旅」に惹かれました。これきくさんに言わせたい。めもめも。

  • 本棚から引っ張り出して15年ぶりに再読。好きな本て変わらないな。

  • 『なくしもの』に心震えた。
    梅雨の時期になると思い出しそう。
    夫婦という関係の切ない話。

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著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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