解体屋外伝 (講談社文庫)

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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062633000

感想・レビュー・書評

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  • 会社の後輩に薦められて。
    こんな面白い小説があったとは。
    自分で探しても出会わなかったわけで、
    向こうから来てくれたということだ。

    <u><b>以下、ネタバレ注意。</b></u>

    【読書メモ()内はルビ】
    ・ 危機に陥った時には、まず共通の場面意味(シナリオ)を外せ p113
    ・ あらゆる仮説が壁にぶつかれば、人は仮説が発生した地点まで退行する。不安を鎮静することができるからだ。/「つまり、現場に戻りたがるのは放火魔だけじゃない。すべての不安行動にも当てはまるわけさ」 p124
    ・ 「無意識は言語のように構造化されている」 p130
    ・ 暗示の外に出ろ。俺たちには未来がある。 p157
    ・ いいか、ソラチャイ。作用だ。力の動きだ。システムではなく、その中を動くエネルギーの方向だけを考えろ。 p224
    ・ 自己だと? ふざけるな。こんな世界、ただのでっかい冗談だ。 p268
    ・ 人間にとって、と戦闘者(ハッカー)は息を切らせて報告した。人間にとって最大最強の錠前(プロテクト)は、たぶん、この無にかけられた頑丈な錠前だ。この真っ白な闇に錠前をかけて、人はようやく生きていくことが出来る。その錠前の正体がわかるか? 戦闘者は苦しげにつぶやいた。/聴こえるか、マザー。聴こえるか、錠前屋(プロテクター)・・・ソラチャイ。その錠前は、世界は無ではない、というたった一つの暗示だよ。それが世界暗示(オリジナル・ランゲージ)だ。絶対に外してはならない世界暗示だったんだ。世界は無ではない。そんな単純な暗示にかかって、俺は今まで生きていた・・・。 p436
    ・ 「だから、あるとかないとか、敵か味方かとか、そういう対立でしかあんたを救えなかったんだよ。でもね、そういう対立そのものが世界暗示なんじゃないの? 世界はないっていうんじゃなくて、世界はあるかないかだっていう暗示。もしも、あんたが最強の解体屋なら」/そこで一度言葉を切ってから、ソラチャイは腕を組んで続けた。/「そんな世界暗示なんか笑い飛ばしてくれなきゃ。神様からの言葉だって、あんたは操作しろって言ってたよ。それならね、解体屋。世界暗示の外に出ろ、そうじゃなきゃ、あんたに未来はない」 p441

  • そもそも絶版していたことすら知らず、浅田寅ヲさんのコミカライズ既読。
    先に読んだからか、好みの問題か、寅ヲさんの方が面白かった。

  • 「暗示の外に出ろ。俺たちには未来があるんだ」
    洗脳を解く解体屋という仕事にすごく興味が湧いた。デプログラムした時、洗脳される前に戻るか、否、全てが無になる、そのままでいると壊れる、新たな洗脳が必要だ。という部分、これが人間なんだな、と思った。
    宗教などはわかりやすいが、それだけに限らず、人間何かしらに影響を受け、それを自分の中で定義づけ、無意識にそれに縛られて生きていると思う。
    暗示の外に出ろ、という言葉は何かにとらわれがちな時にかけてあげたい言葉である。
    しかし、これ自体、すでに君は暗示の中であるという洗脳だ。

  • 洗脳しようとする組織に立ち向かう洗脳外し者。単なるやり取りではなく、頭の中や洗脳外しのプロセスを言葉でビジュアル化する表現力はすごいとしか言いようがない。
    文章が難解な部分も多々あるが、展開がスピーディで飽きさせない。ただ、ヒロインがイマイチ魅力的でないのが不満。

  • アンジノソトニデロ…オレタチニハミライガアル
    洗脳屋と洗脳はずし屋の戦いを描いた、先駆的SFアクション作品。

  • 前作「ワールズ・エンド・ガーデン」に登場した解体屋(デプログラマー)に焦点を当てたスピンオフ的作品。
    近未来の退廃的ディストピアの雰囲気は残しつつも前作よりもテンポよく進む物語は、より映像的に読むことができるだろう。
    物語が展開されるジオラマそのものは狭いものだが、精神世界に言及した舞台は広大。
    「暗示世界の外に出ろ」という言葉が著者からのメッセージ的に登場してくるのが印象的だった。
    『ウルトラバロックデプログラマー』の題で漫画化されて連載中らしい。小説の方もぜひ復刊してほしい。

  • ドライブ感が心地よいサイエンス・フィクション。
    かと思いきや、うーん。
    壮大なメタファー。
    かと思いきや、うーん。
    これはほとんど現代日本でしょう。
    高度資本主義社会の処世術としても受け取れる。

    三人称で語られるので、それぞれのプレイヤーになって楽しめます。
    文章の推進力というよりも、テレビゲームのような躍動感が原動力の小説かと。

    あと、書かれていることは、いとうせいこう氏本人のメソッドでもあるのかなあ、と。

  • 「ワールズエンドガーデン」の外伝。随分前の本だけど、今でも面白いと思える傑作。「暗示の外に出ろ。俺たちには未来がある。」
    失われた○年とか言って閉塞している我々に一番必要な言葉かも。

  • いとうせいこうは言葉の魔術師だ。

  • せいこうさんの本の中で一番好きです。

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著者プロフィール

いとう せいこう
1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。『ノーライフキング』でデビュー。『ボタニカル・ライフ ―植物生活―』で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』が三島賞、芥川賞候補となり、第35回野間文芸新人賞を受賞。他の著書に『ノーライフキング』『鼻に挟み撃ち』『我々の恋愛』『どんぶらこ』『「国境なき医師団」を見に行く』『小説禁止令に賛同する』など。

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