東福門院和子の涙 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062633222

感想・レビュー・書評

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  • 二代将軍、徳川秀忠と江姫との間に産まれた「徳川和子」の一生を侍女の視点から描く。

    当時は当たり前だったであろうお家の為の結婚、京都と江戸の価値観の違い、江戸期の朝廷の様子など、物語と合わせて時代背景を読み取るのも面白い。

    武家から朝廷へ嫁ぐという前代未聞の結婚を静かに受け入れる和子姫。その強さ、健気さに涙が止まらない。

  • 85
    武家の子として禁中へ嫁ぐことは、男子以上に並々ならぬ覚悟が必要だった時代
    和子姫はそれでも徳川のため、国のために、帝に尽くし、己の本分と重責を果たすべく、過酷な定めを生きるのである

  • 公武合体といえば幕末の「和宮」しか知らなかった。
    これは江戸幕府始まりのころの公武合体のために幼くして徳川家から禁裏へ輿入れした「和子(まさこ)」の物語をお付きの今大路ゆきが想いで話として語る形をとった作品。

    現人神と称される上様に自由にお目通りもかなわずひたすらに「待つ」当時の女の気持ちを描いているが歴史を正しく表したものではなくあくまでも「ゆき」の心情の元に語るお話。

    「姫様一番」という思いが少々ウザったくもあるけれど、当時も女子はこのようなものだったのかと切なくもなる。

    和子姫の花嫁行列のあたりは読んでても凄く華やかで大そうなものであったのが感じ取れて映像が浮かぶようだった。

  • お話は和子様のおつきの女中の語り口調で綴られています。
    和子様は徳川秀忠とお江与の方の間の姫君。
    やがて後水尾天皇に嫁がれて国母となられます。

    和子様のことをこの話の語り部である女中は「まるで春風のような方だった」と言っています。
    いつもほがらかで見ている者まで幸せにするような方。
    闊達で利発、その上、手先も器用だったようです。
    和子様の母上、お江与の方は和子様が嫁がれる前に、
    「和子はたぐい稀なるしあわせ者じゃ。悪いことや悲しいことなど、いささかも考えてはなりませぬ。よいこと嬉しいことのみ考えていれば、いつもそうなります。和子はそのようなさだめのもとに生まれておいでの姫じゃ故に」
    と言われました。
    でも帝のもとに嫁がれた和子様の人生はそのような順風満帆なものではありませんでした。

    実は和子様がお輿入れする前に後水尾天皇には既に奥方と子供がいました。
    それが公武合体のために和子様が輿入れする事になり、その奥方と子供とは引き離されてしまいます。
    それをよく思わぬ者も多く、宮廷内ではさまざまな嫌がらせにあいます。
    料理の食器はお父様の秀忠様のお土産のものを使うこともならず、全部白の食器にせよという事から始まり、夫である帝ともなかなか会う事も出来ず、いつまでも帝に寝所に招かれない。
    不思議に思っていると、それは帝の周りに「和子様はまだ月の障りがなく夫婦の契りはしばらく猶予給わらんことを」とでたらめをもって進言する者がいたからだったり・・・。
    その上、心のよりどころとなる帝は浮気のし放題。

    これで春風のようにいられたら・・・。
    それは心が無いということでしょう。
    和子様は一言も愚痴などこぼしたことのない方だったそうですが、後年は時折イライラと周りの者にあたったり、夜にひっそりと泣いておられたそうです。

    私がこの本を読んで学んだのは、周りの者の嫌がらせにより2年以上も帝と夫婦の契りを結ぶことのなかった和子様の態度です。
    和子様はその間ひねくれたり、落ち込んだりしないで、長い間ほっておかれたことについて帝に何も言われませんでした。
    そのいじらしい態度が帝の心を開いたものだと思います。
    周りに振り回されず、心平らに素直に生きている、その生きざまが福を運んでくるのだと思いました。

  • 敬語とっぱらったら、200頁ぐらいになりそうだ。

  •  「篤姫」を読んで俄然面白くなってきた江戸時代。幕末を生きた篤姫に対し、徳川幕府が開かれた頃は・・と選んだのが、この本。二代秀忠と江の間に生まれ、天皇家へと嫁いだ娘 和子の一生を、おつきの女性からの視点で語るというもの。
     当時の文化、風習がよくわかり、読み応えがありました。自分の思いとは別のところで決められた定め。それに身を任せることしかできなかった時代。それでも、凛として歩んでいった和子のことを思うと、小さなことでイライラしてたらいかんぜよ!と思うのです。やっぱり好きだな~この時代。

  • 正直期待外れ。天璋院篤姫が面白すぎたのかも。終始ですます調の語り文はやはり冗長だし余計な主観が入りすぎて読みづらい。好きな歴史物なのに最後まで物語に入っていけなかった。

  • 江戸幕府成立期、公武融和の責務と徳川の悲願を一身に背負い、14才で後水尾天皇のもとへ入内した秀忠の5女和子。その生涯を、少女期より和子に仕えたゆきの語りで振り返る。
    れいによって私の好きな姫君ものだが、今回は和子その人よりも、朝廷方と幕府方とのせめぎあいに驚嘆。あくまでもおかし難い現人神であるところの帝、それゆえに徳川側も切に和子の入内を望むのだが、実際は財力も政治実権も幕府の掌中…。政治向きの攻防の裏では、女たちも帝の寵愛をめぐって策をめぐらす。
    結婚して東京から京都へ移り住んだ私としては、この江戸対京都の構図、まだ生きているように感じることも…。

  • 本題に入る前がかなり長い。挫折しそうになったけど、なんとか読了!!

    本題は、和子様の人知れず流した涙がいかに多く、后ゆえの苦労や苦悩がどれだけ多かったのか。
    華やかでラッキーなお姫様というのは表面の表面に過ぎないことなどが、語り口調で書かれていた。
    どれだけ史実なのかはわからないけれど、和子様が感じた悲しさや苦しさはこの本で書かれた以上にあっただろうということは想像に難くない。

    昔の女性の一生は、どんな立場の人であれ、切なく風で舞う木の葉のようなものだと思った。

  • やっぱり宮尾さんはスゴイ!ぜひ大奥みたいにどろどろしたドラマとして観てみたいなと思いました。歴史の一部を覗かせてもらったようで、とても読み応えのある物語でした。女とは悲しくも強きもの、流れに身を任せながら人生を歩んでいくその端々で感じたものとは人それぞれに違うけれども、流した涙は同じようなものだったのかもしれません。

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著者プロフィール

宮尾 登美子(みやお とみこ)
1926年4月13日 - 2014年12月30日
高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。
『一絃の琴』『鬼龍院花子の生涯』『天涯の花』など映画・ドラマ化された作品は多い。2005年NHK大河ドラマ『義経』は『宮尾本 平家物語』と『義経』が原作だった。2008年には『天璋院篤姫』が大河ドラマ化されている。

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