重耳(中) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062633246

感想・レビュー・書評

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  • 中巻では、称が周の宮廷工作を整え翼を滅ぼして晋を盤石にし、子の詭諸に引き継ぐが驪戎攻めで捉えた驪姫にゾッコンとなり、驪姫が翼の公子である優施に半ば操られながら自らの子である奚斉をたいしたにしようと画策して、申生、重耳、夷吾の三兄弟との内ゲバが始まる。

    申生は、孝を体現したような性格で亡命を勧められても断固拒否し、父の意図であればということで最終的には自決する。重耳は良臣を固めつつも、母の実家である白狄に亡命、夷吾は、秦の衛星国である粱に亡命し再起を図る。

    孝の申生、徳の重耳、才の夷吾と三人三様の生き様が際立って面白い。また、周の宮廷政治や、周の卿士である鄭や虢の役割、唇亡歯寒を地で行って詭諸に滅ぼされた虞なども描かれていて興味深い。

  • 俄然面白くなってきた。

  • 曲沃の王が翼の王を倒し、晋の王に。 ただその後を継いだ太子が王になった際にその妻が子を世継ぎにしたいとして太子を殺し、とうとう重耳にも暗殺者を送る。さすがに重耳は逃げた。これから19年の放浪が始まる。さてどうなるか。
    狐突の息子の狐偃が重耳を支える。 なかなか良い。重耳を中心にした閥の集団の旅の始まり。

  • 紀元前6世紀、中国春秋時代の五覇の一人で、晋の文公と呼ばれた重耳という人物の話。晋の君主の家系の二男に生まれたが、秀才でもなく人気もなく特徴のない人物であったため兄弟の中でも目立たなかった。しかし、晩年は、誠実で実直な性格により国内外の色々な人たちから一目置かれるようになる。身内の争いごとにより国外に脱出し19年間諸国を転々とする亡命生活を経て、晋に戻り君主となる。重耳の話というよりは、重耳に仕えたすばらしい臣の面々の話ではないだろうか。幼少期の教育係の郭偃をはじめ、丕鄭、孤突、孤偃、孤毛、先軫、介子推などなど見事な人物が揃っておりこれら臣に支えられてなければ重耳は君主にはなれなかっただろう。臣の忠誠心に感動した。

  • 太子、申生の頑固なまでの孝心は、君主としては視野が狭いかもしれないが、やはり好感を抱かずにはいられない。じりじりと悪化する局面の中、それぞれの人物がそれぞれの器量と信念で行動する様はまさに歴史小説。

  • 2013年08月 02/42
    重耳の祖父である称から、父である詭諸(きしょ)の時代に移り、波乱じみて来ました。登場人物それぞれの思いがからみ合って実におもしろい。

  • 上巻に記載。

  • 行動は心の発動から起こる。これを志という。動機という言葉は目先の損得勘定が走っている。昨今流行っているモチベーションという語は動機づけの意であり、管理職による条件づけにすぎない。そして物語は志から始まる。

    http://sessendo.blogspot.com/2011/08/blog-post_25.html

  • ★2011年3冊目読了『重耳 中』宮城谷昌光著 評価B+
    翼を滅ぼした君主の称は、ようやく晋再統一を果たしたが、称の死後、君主となった詭諸は、西の異民族の驪戎(りじゅう)の攻撃を受けて立ち、勝利を収めるが、占いの通り将来に禍根を残す大きな問題を抱え込むことになる。つまり、その捕虜に美女驪姫に溺れ、その子可愛さに驪姫の言うなりに、次々と公子を殺し、追放し、四散させることになる。このため、主人公重耳も晋を追われ、狐氏の故郷狄(てき)に逃れ、苦しい日々を送ることになる。

  • 00.5.13

著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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