重耳(下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062633253

感想・レビュー・書評

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  • 太公望よりもマシであったけど、重耳の出番がほとんど無かったのがキツかった。何が凄かったのかがイマイチ分からずに終わってしまった残尿感。ただ、祖父と父の時代背景や登場人物については初めて知る知識でそれは勉強させていただいた。

  • 古代中国、春秋五覇の一人、晋の文公である重耳。

    親子で、兄弟で、国同士で、滅ぼし滅ぼされで‥なんかもう‥な時代。
    亡命生活19年。
    重耳自身の強い思いというより、臣下たちの強い思いに導かれるうよに覇者となっていくところがおもしろいなと感じました。

    春秋時代の「中国の伝統的な情意のありかたと行動」のようですが、重耳が亡命時代に自分たちを冷遇した人たちを許さず復讐をするところはちょっと‥と思ったのだけど、覇者となるには当然のことなのでしょうね。

    「天命も天啓も、あたえられたときに受けねば、二度と得られぬであろう。」

  • 息子に読ませたい本

  • 全3巻

  • 晋の文公。

    春秋五覇の1人であり、斉の桓公と並び称される明君とされている。

    しかし、その半生は流浪の身であり、辛苦を味わい続けた人物であった。

    上巻では、文公の祖父、称が主人公。
    じっと待ち、好機と見れば、それをものにする。
    諡の武公に恥じない明君であると感じた。

    中巻では、称が死に、晋の混乱期が現出する。
    やはり、明君のあとの君主は苦労するのだろう。
    王朝や、政権が安定するのは、創業者の次の代が安定するか否かであることを示してくれているのではないだろうか?

    下巻は、重耳が文公となり、覇者への道を歩んだ。
    下巻は、文書が軽やかで一気に読んでしまった。

    古代中国史は礼節に始まり、その礼節をどう打破したかが次代への布石になっているように感じる。

    筆者の細やかな歴史の記述は頭が下がるばかり。
    次は介子推を読もうと思う。

  • 下巻は重耳の流浪の物語。詭諸の死後に驪姫や奚斉が重臣たちに呆気なく滅ぼされるも、後継に推すのを重耳か夷吾かで国論が揉める。重耳は乱となるのを避けて狄に留まる。晋公の地位には、秦公が躊躇いながらも支持した夷吾がつ 就く。しかし、夷吾は秦に恩を仇で返し、国内でも悪性を敷き、重耳に刺客を送る。

    重耳は、刺客に追われる形で、諸国を放浪し、衛で冷たい仕打ちにあうなどしたが、最後は、春秋五覇の筆頭である斉の桓公の厚遇を得て、斉の要職に留まり、桓公から息子を託されて、帰国の意思を徐々に失っていく。

    それを部下達の機転で、桓公の死に乗じて斉を脱出。衛、曹、宋、鄭などを回った後に、将来のライバルとなる楚の成王に厚遇され、最後は秦公の手引きで、暴君道一直線の夷吾の息子を廃して漸く晋公の地位に就く。

    晋公になってからは、周王室のお家騒動の収集、宋などの南方諸国を楚の脅威から救うべく動いて、これを撃破し、中原の覇者となり、桓公に続く、覇者・晋の文公として名を残す。

    重耳は、流浪19年を経て、晋の君主になった時は既に60代。大器晩成の典型であり、大人物ではあるものの、常に控えめに、自分を抑えて、周りに推される形でトップに上り詰めた人物。春秋五覇というヒーローではあるものの、その性格、人生を通じてヒーロー感が無く、人の和や信義を重視して地味に事を成したリーダーである。そうした地道感に普通の市井の人は共感を持つのではないだろうか。

    また、この君主あってのこの部下という人物が、重耳の陪臣であり、棒の達人で人知れず重耳の危機を何度も救ってきた介子推。彼は、自分の功績をひけらかすことを嫌い、静かに隠遁の道を選ぶ。君主に自分の功績を認めさせるということは、君主に間違いを認めさせることにもなるから、そういう不忠はしないのであると。今も昔も、功績を誇張する人が多い中で、これも清々しい生き方である。

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  • 宮城谷さんの作品は「孟嘗君」「太公望」「楽毅」などを読んだ。
    重耳は、それらの作品に出てきた英雄たちと比べると、かなり地味である。
    それでもこの作品が面白いのは、やっぱり展開が素晴らしいからだと思う。
    重耳という主人公自身は地味なのだけれど、彼を取り巻く環境や、彼が過ごす時の流れが峻烈極まりない。
    なので全く飽きずに、春秋の一時代を、重耳と一緒に駆け抜けているような感覚に浸れた。

    上巻ではあんなに小さかった重耳が、中巻から下巻にかけて半端ない苦労をなめて、最後には名君になっている。
    報われたね〜、よかったね〜、と安心するとともに、ちょっと寂しくなった。
    マイナーなアーティストを応援していたら、いつの間にか有名になっちゃって複雑……あの気持ちに似てる。

    重耳の周りにいる人たちも、最前線で活躍したかと思ったら、年をとって、いつのまにか死んでいたり、誰かに殺されたり……
    これぞ戦国の歴史という感じ。
    その無常さがあるからか、重耳が先生である郭偃に再会するシーンはかなりホロリときました。
    この小さな文庫本の中に、時の流れが詰まっていて、すごい密度だなぁと思った。

    歴史小説は主人公が超ヒーローというのももちろん面白い。
    けれど、歴史を追体験するという意味では、地味な主人公の方が、地道に生きている現代人には合っているのかも。
    そんな新しい見方を与えてくれた素晴らしい作品でした。

  • 最期は高揚感なく終了。流浪の歳月がこの物語の主題ですかね。

  • ふむ。重耳に関しては、茫漠としてつかみどころの無い人物にしか感じられなかった。結局はもってうまれた資質、ということになるのだろうか。もちろん、流浪の旅が彼を成長させたとは書かれていますが、具体的にはよくわからなかった。それでも物語としては楽しめました。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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