ぬいは今日も元気です: わにわに物語2 (講談社文庫 あ 23-8)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062633710

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  •  「わにわに物語」の続編で、新井素子さん家のぬいぐるみさんたちが色々と活躍します。

     新井素子さん家のぬい(ぬいぐるみの略)は総勢400を超える大所帯。しろわに一族のわにわにが、前作に続き、新井家のぬいたちを紹介します。

     新井さん家には不思議なぬいが多いというか、ぬい好きを公言し、SF大会などの集まりではぬいを連れて歩いたり、ファンから手作りのとても特殊なぬいをもらったり、いやはやすごいです。ミトコンドリアとか、赤血球とか、はたまた本来は不定形の白血球だとか、想像の斜め上をいくぬいたちになんだか笑わされました。

     まるで人間関係の縮図みたいというか、わにわにの性格が、礼儀を重んじ、長幼の序をわきまえるとか、上下関係にうるさいというのがなんかすごい。人間だって、上下関係にうるさい人はいるけれど、ぬいなんですよ。

     そのわにわに、新井素子さんにわにの話ばかりするなと叱られつつ、新井さん家の長老わにエッセルさんとか、旦那さんがケチャップの懸賞であてたまさに「ケチャップ」というぬいとか、ちゃっかりわにの話が多めなのが可愛い。

     しかし、新井さん家のぬいは新井さんに薫淘を受けているからなのか、結構考え方や理屈がしっかりしています。
     うちのぬいぐるみたち、ひでひ子(仮)、みき(仮)のお気に入りのくーちゃんややよちゃんは精神年齢、小学校3年生くらいです。これから成長するのか?

     それはさておき、この本を読んで電波系?と思われる方が多いだろうなあというのは否定できません。でも、ぬいぐるみたちが新井素子さん、それから旦那さんの癒しであり、心の支えなんだろうなあというのはひしひしと感じます。ぬいさんは癒しのマジシャンなんです(笑)

  •  SF作家・新井素子のぬいぐるみ好きは、つとに知られるところ。同居ぬいの生態(生命体に間違いない)を明らかにした『わにわに物語』まであるほどです。素子さんとわにわに君たちの暮らしぶりが、どこまでも詳細に書き上げられたエッセイ集で、"ぬい好き"の人種にはとことん共感できる内容だと断言します。

     それでいて、やや離れた視点から読んでみても、愛好しない人まで「こういう心理なのかい!」と一種納得してしまいそうな、強烈な説得力が宿っている点も見逃せません。

     通常、恋愛に興味のない人が、他人の惚気話を聞かされても退屈ですよね。犬好きの方が愛犬に着せる洋服も、ペットにそこまで思い入れがない人には謎でしかない。好きな人なら目一杯共感することほど、傍から見る人間は「どこがいいの?」と首を傾げるわけです。
     その「どこが?」という疑問に、溺愛中のご本人が他人にも分かるよう説明することは、滅多にありません。脳内が冒されて、説明能力がどこかに飛んでしまうのかな?

     ですが、このエッセイ集には、驚異的に粘っこい説明力がみちみちています。
     内容自体は似ていないものの、久世光彦の『犬に埋もれて』でも感じたことでした。久世氏自身は犬に埋もれて暮らしても、文が愛に埋もれきって表現力を欠くことはありませんでした。別に「愛している自分がいる一方で、冷めた気分でそれを眺めているもう一人の自分がいる」なんて小難しい話ではないのです。ちゃんと首まで浸かっている(湯)。でも何かを強烈に愛していても、それでも作家は作家でした★

     ただ、わにわに物語も2まで来ると、ひそかにぬい好きな私から見ても、サイコホラーかも……と感じました。生態(です。)をつぶさに書きこむその文章が愛らしいしとっても明快だからこそ、おぼえる怖さがあります。その怖さが、ややホラー色を帯びた小説『くますけと一緒に』に結実することになるのです。



    ★併せて読みたし!
    『くますけと一緒に』
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4199050779

  • 子供の頃新井素子をずっと読んで居たおかげで今の生活がある気がする(ぬいまみれ)

  • よくもまあこんなに…というくらい個性的なぬい達と、それを凌駕するほどやっぱり個性的な新井さんご夫婦のおはなし。
    イラストがほんわりしててお気に入りです。

  • 新井素子のぬいは今日も元気ですを読みました。ぬいぐるみが主人公の20年以上前のエッセイでした。「ぬい」とはぬいぐるみの略で、わにわにと言う名前のわにのぬいぐるみが新井素子と掛け合いをしながらエッセイを綴っています。でも、これは、正直言って読み続けるのが苦痛でした。新井素子の口調は別に嫌いではないのですが、それは主人公が宇宙船に乗っていたり、義賊だったり、新婚でばたばたしたりしているからであって、ぬいぐるみが他のぬいぐるみとの関わり合いについて語るのを延々と聞かされても疲れるだけです。私が歳を取ったのか、新井素子の趣向がどんどん人間離れしていったのか、どちらなのかよくわかりませんが。

  • 新井家のぬいぐるみたちと素子さん夫婦のお話第2弾。それにしても、素子さんはネーミングセンスがないって思う。。。

  • わにのぬいぐるみ“わにわに”が語る新井家のお話,第二弾!!

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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