殺戮にいたる病 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 7528
レビュー : 1148
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062633765

作品紹介・あらすじ

永遠の愛をつかみたいと男は願った-。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。

感想・レビュー・書評

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  • 凄惨な殺害描写に気を取られているうちに、あれよあれよと騙される。最初の「エピローグ」をあらかじめ読んでいたはずなのにまんまと乗せられてしまう。それでいてトリックは明確で分かりやすく、正直読解力がよろしくなさめな私のような人間も「あ、ああ~!!そういう!そういうことね!」とスッキリさせてもらえる良作。最近謎のひねくれが発生して埋もれた名作を発掘しようと躍起になっていたが、このクオリティの作品に触れてしまったからにはある程度の評価を得た本しかしばらくは読めなくなるかもしれない...我孫子...罪な奴...

  • もはや、話すことなど何もないであろう名著。「岡村孝子さんの曲を聞くとニヤッとなる病」に罹患する。

    「本当の愛」を求めて女を殺しまくる男の目線で話が進む。合間に「どうやら息子が何かをしでかしているらしい母親」目線の章が入る。
    男は「母親」が何かを感づいていることに気付いたりする。が、犯行をやめられない。死体の一部を持ち帰って愛でたりするけど、その死体の切り刻み方などエグい描写もある。しかも犯行の最中に岡村孝子さんの曲を掛けるというエキセントリックぶり。
    私はこのテの話が大好きなので、とても楽しめました……と書くと人格を疑われそうなほどエグい(しかし楽しめた)w

    要するに、息子と父親を誤解させるように書いてある叙述トリック。
    本当の犯人は父親なんだけど、彼の妻は息子が犯人だと疑う。
    犯人の父親は大学教授で、息子も大学生なため、「大学に行く」という一文がどちらにもあてはまったりする。
    父親である稔が「母親」と言っているのは同居している老いた母のことなんだけど(妻から見たら姑)、この同居のことが巧みに隠されているので一見分からない。
    47P『稔が出かけると、雅子は息子の部屋に入った。』という一文などは本当に見事。
    「夫が出かけてから息子の部屋に入った」の意味なのですが、稔=息子だと誤読させられるわけです。
    ちょこちょこ「ん…?」という違和感があるんだけど、多分この違和感も消そうと思えば消して書けたわけで、伏線としてあえて違和感があるように書き残してるんだと思います。
    犯行の内容がエグすぎるので、それが真相を隠すのに役立っている気がする。

    ぜひとも実写化…は無理かw

  • H30.10.6 読了。

    ・ほとんど一気読み。最後までトリックに気付かなかった。

    • kurodayさん
      読魔虫さん、フォローありがとうございます。
      今後もよろしくお願いします!
      読魔虫さん、フォローありがとうございます。
      今後もよろしくお願いします!
      2018/10/18
  • なぜか近隣の図書館にもなく、ブクオフでも見たことなく、ひさびさに定価で買った本(オイオイ)。

    たしかに驚く。いわゆる新本格というジャンルなんだろうけど、犯人の名前は最初から出ている。犯行前後の異常な心理および行動につい目を奪われて、たくみに入れ替えられた時間軸と、息子を心配する母の視点が、さらに読む方を混乱させる。

    私自身は母親なのですっかり雅子の目線で読んでいて、自分では普通に育ててきたつもりでも、かわいかった息子が……って疑うような事実が次々と出てくるのは恐ろしいだろうなと思った。
    ちょっと時間軸を整理すると、わかるのかもしれないけど…このラストで判明する「犯人の正体」がばれないようにするため、かなり情報を出さないようにしている。わかるけど…ちょっと個人的には納得いかないので☆3つ。

    とにかく犯人の「病」たるや…おぞましい。なんだかんだ、親とのつながり…に端を発するのかと思うと、暗澹とした気持ちになった。

  • 異常性愛殺人を真っ向からストレートに描いた作品。我孫子武丸らしい高いリーダビリティと、キレの良い叙述トリック。ラストはポカーンとなりました。しかしウザい母親を描くのがうまいなあ。あの母親と父親に挟まれて優しいいい子に育つっていうのは無理があると思う。テーマに根付いた蒲生たちパートと比べると樋口パートはストーリーを回すためだけのパートって感じがしたけど、徐々に複数視点の時間軸が近付いてくるとハラハラワクワクした。時代を賑わせた殺人者たちが出てくるのもなかなかいい。

  • 今から二十数年前に一度読んだんだけど内容はすっかり忘れていた
    なんとなく叙述トリックなのは覚えてたけど、結末を読んで「そう来たか」とは思った
    途中幾つか伏線が有るけれどこのトリックを見破れる読者は殆どいないんじゃないかな

  • この本ほど衝撃を受けた小説はない。
    とにかくグロすぎて、気分を回復する為に何度本を閉じて挫折しかけたか…
    叙述トリックであまりにも有名という事もあり、なんとか読了しその理由も理解できた。
    我孫子武丸。ギャグ好きならドットジェイピーもかなりお勧め。

  • 一行目で犯人の名前が明らかになっているので、いわゆる倒叙ものだと思って読み進めていたら、最後の最後で見事にひっくり返された。確かにあらすじには“衝撃のホラー”と銘打たれてるけど、衝撃ってそっちか!

    物語は残虐な手口で若い女性を殺害する連続殺人鬼、被害者の一人と知り合いだった元警部、息子が犯人ではないかと疑う母親、3人の視点で進んでいく。

    こういう倒叙ものでは、犯人が徐々に追い詰められていくところが見どころの一つだけど、この犯人は警察に捕まることをあまり恐れてないので、その辺りはあっさりしている。

    その代わりというか、息子の犯罪を疑う母親の心の動きが興味深い。
    うちの子に限ってと一笑に付していたのが疑惑に変わり、やがて確信に変わった後は何とか息子を守ろうとする。それは大事な息子を守るようでいて、平穏な暮らしを失いたくないという利己的な部分も見え隠れしている。
    物語の中で、父親は仕事ばかりで育児は母親に任せきり。だからこそ過保護とも思えるほど、母親と息子の関係が密になるのだろう。今の感覚では少し馴染まない気もするけど、20年以上前に書かれた作品なので、それが当たり前だったのか。それにしてもちょっと異常だけど。

    屍姦や死体損壊シーンのエログロさも含め、文字通り“衝撃のホラー”。グロいのが苦手でないならお薦めできる一冊。

  • ミステリーで1番好きな本。
    5年ぶりぐらいに読んだけどやっぱりすごい!
    著者の我孫子武丸の作品は好きでよく読んでたが、これが1番!
    著者の作品どれにも共通してることだが、描写が緻密で文字からそのシーンを想像させる文章。
    1ページ目で犯人が逮捕されるところから始まるのだが、最終ページで絶対に読者全員があっと驚く仕掛けがこの本にはある!

  • 有名なかまいたちの作者ということで衝動買いしてしまった。

    犯人がネクロフィリアで、グロテスクな描写、歪んだ心理描写が多い。
    叙述トリックが本作の中心を貫いていて、一番最後までトリックが明かされることはない。当たり前?

    読み返して見ると、犯人を示唆する話題や表現がヒントの様に散らばっているのだけれど、初見では全く気づかなかった。

    また、衝撃的な描写やミステリーの陰に隠れて、現代の家庭で見られる問題にも触れている。

    「青少年の性」
    「父親になれない子供」
    「過剰な母」

    などなど。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部哲学科中退。同大学推理小説研究会に所属。
新本格推理の担い手の一人として、89年に『8の殺人』でデビュー。
『殺戮にいたる病』等の重厚な作品から、『人形はこたつで推理する』などの軽妙な作品まで、多彩な作風で知られる。
大ヒットゲーム「かまいたちの夜」シリーズの脚本を手がける。
近著に『怪盗不思議紳士』『凜の弦音(つるね)』『監禁探偵』などがある。

「2020年 『修羅の家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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