大統領のクリスマス・ツリー (講談社文庫 さ 62-1)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062634137

感想・レビュー・書評

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  • うーん、デビュー作のイメージで
    もう少しどろどろしたものもすくい取ってくれるかと思ったけどそうでもないのね、これは。

    だってこの彼超ありがちな嫌な男だよね?
    そこがポイントなのかなあ…

  • 表紙裏
    これがね、大統領のクリスマス・ツリー。治貴の言葉は香子の耳の奥に今でも残っている。ワシントンで出会い、そこで一緒に暮らし始めた二人。アメリカ人でも難関の司法試験にパスし弁護士事務所でホープとなった治貴。二人の夢は次々と現実となっていく。だが、そんな幸福も束の間・・・。感涙のラストシーン!

  • 悲しいのだけれど、激しくなくて、穏やかなんだけど、確実に進んでく。

    鷺沢さんの作品は、「こういうこと」という明確な答えは出してくれないけれど、
    人間を描いているなあ、と感じます。

  • 結婚って?家族って?

    考えさせられる。
    自分自身が結婚してないけど、
    結婚したらまた違う見方をするんだろうな。

  • ホワイト・ハウスの前の半円形をした芝生の敷地に、それほど高くはないもこっとした木がたった一本、

    植えられている。それが、大統領のクリスマスツリーである。

    この小説は、「大統領のクリスマスツリー」をキーワードに、香子と治貴の回想物語が展開される。

    回想されるのは、アメリカで出会い、愛しあった香子と治貴との恋愛。

    アメリカで出会い、恋に落ちた香子と治貴はアメリカの地で一緒に暮らし始め、結婚し、子供を授かって

    幸せに暮らしていた。アメリカ人でも難関の司法試験に合格し、弁護士事務所で働く治貴と、そんな夫を

    支える暮らしに没頭する香子。ふたりはお互いの夢を次々に叶えていき、「こんな幸せあっていいのだ

    ろうか」とさえ思うほどの順調な生活を送っていたはずだった。

    どこでどう歯車が狂いはじめたのかなんて、誰にもわかりはしない。ほんの些細な事で人生なんていうも

    のは一転するものだ。それを運命というのかも知れないし、そうなるべくしてそうなったのかもしれな

    い。つまり、この恋愛物語は一組のカップルが終焉に向かうまでの道のりを記した失恋小説でもある。

    鷺沢氏の作品は、まだまだ全部とまではいかないけれど、けっこう読んだほうであると思う。

    その世界観と文章力の高さには読むたびに感動すら覚えたものだが、この【大統領のクリスマスツリー】

    は、どうしてかあまり読後感に冴えがなかった。大人の恋愛の切なさとかやるせなさとか、結婚後の家庭

    生活の実情とか、僕もいい歳なのでその辺りのことは知っているつもりだったけれど、それらを経て、

    この物語のこの別れの形というのはどうしても釈然としないのはどうしてなんだろう。

    個人的な意見になるけれど、あまりにも完璧な男だった治貴(優しくて、ユーモアがあって、行動力が

    あって、紳士的で)が、別れを選んだ理由に納得がいかなかったのだと思う。

    お前ほどの男がそんな理由で家庭を捨てるの?あれほど愛してやまなかった妻と娘を捨てるの?

    という感想しか残らないのが残念。

    夢を必死で追いかけて、幾多の困難を乗り越えて、愛を育んで幸せを手にいれた過程がとても素敵な物語

    だっただけに、もっとドラマチックに終焉に向かって欲しかったな。

    物語の中に色々な伏線があって、よくよく読み込めばなるべくして向かえた終焉なのだと納得できるの

    だろうけど、そこの境地まで踏み込めなかった自分がいます。

    でも、その反面「現実はこういう別れが多いんだろうな」と思ったりもする。ドラマチックに始まり、

    あっけなく終わる恋がどれほどの数あるだろうか。そもそもドラマチックに終わる恋なんていうものが

    どれほどあるのだろうか。そういった意味では、この小説は若者の群像というか、恋愛の(90年代前

    半的な思考だけど)本質に迫った作品なのかもしれない。

  • どうしてもこの結末を選ばなくてはならないのか、でも最後に救いがあるところがいい。

  • クリスマスが近づくと、この本のことを思い出します。
    この本は今から10年ほど前に、映画化されることを知って映画を観る前に慌てて読んだ覚えがあります。
    映画の主役は羽田美智子さん、ということで主役の香子=羽田さんのイメージで読みました。
    *映画は原作とは全くベツモノになっていて、観た後ガッカリした想い出があります。

    主人公香子はワシントンで治貴と出会い、一緒に暮らすようになります。
    治貴が香子の両親に結婚を許してもらうための挨拶や、治貴の夢の実現のために香子が頑張る姿などが前半に描かれ、
    読みながら思わず2人を応援している自分に気がつきます。

    一緒に暮らし始めた頃夢見たことが、2人の頑張りで次々と現実になって行く後半、その頃の2人には予想もできなかった
    ”現実”が待ち受けていました。

    <b>「夢が実現すれば幸せになるはずだったのに・・」</b>

    そんなことを考えながらずっと読み続けていましたが・・
    夢が実現したことで、2人の前にやってきた幸せと不幸せ。
    これがあまりにも残酷に感じ、治貴に対しての不信感や香子の切なさを感じずに入られませんでした。

  • 映画化もされています。

  • 小説の醍醐味がつまった、小説らしい小説だと思った。うまいですね。

著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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