- Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062634137
感想・レビュー・書評
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タイトルにもなっている「大統領のクリスマス・ツリー」そのセリフが出てくるシーンがたまらなく好きだ。どんな思いで香子を誘い、そこまで連れいていき、そのセリフを口にしたのか。それを思うだけで、胸がキュッとなる。10代で出会い、20代で結婚し、子供がうまれ、30を迎え、出会った頃のようながむしゃらさや、同棲していた時の必死さも、思い出に変わりつつある。香子は折にふれその変化を「布を織り上げてきた」と例える。人との関係は確かにつむぎ、おりあげるものなのかもしれない。つよい心とこわい心。何度読んでもその言葉が沁みる。
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1時間ドラマをそのまま見ているような構成。「完璧に幸せ」と思うのは それを失いつつある時。時は一刻も止まらず過ぎていき、どんな幸せも永遠には続かない。
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とても前向きな悲しい話です。
今後、自分の人生にこんな悲しいシーンがあるのかと、ちょっと寂しい気持ちになります。
そんな、話なのに前向きな気持ちになれるのが不思議です。 -
解説で俵万智さんが「あなたはあたしのクリスマスツリーだったのよ」を中心とする、ラストのほんの一言ふた言の会話を、いかにせつなく成立させるかということに、ひたすら向かっているようにも思われたと言ってるけど、まさにその通りだなーと思いました。
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もしも自分が当事者なら、こんな別れ方はできないな。
最後の一言が言えるぐらいに成長したいなって思える一作。 -
なにかの評で「最後の一言のための作品」という言葉を聞いたが、正にそのための作品。
恋愛について、家族について、と切り口はいくつもあるが年月を経ることとはどういうことかを丁寧に描いていてとても好い。 -
叙情的な物語。男は女が強くなったと嘆くけれど、女の強さに救われる生物なんじゃないかとおもう。
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どうしようもない切なさ。
どうしてどうしてどうして?って、どうしようもない気持ちでいっぱいになる。
鷺沢さんも、一枚の布を織りあげるように小説を書く人。 -
主人公香子の成長の物語