- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062634304
感想・レビュー・書評
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先行きの見えない令和の時代だからこそ、いま立ち止まって日本国憲法を読み直す
ロシア・ウクライナ情勢が落ち着かない今。日本という国が、どう世界と向き合うかどう戦争と向き合うか、そして個人がどう生きるのかを静かに考えることができた。作中の話題は当時のもので、今と大きく状況が異なる点があるが、憲法という変わらない軸があるからこそ、どの時代に読んでも色褪せずに読めるのではないか。
わかりやすく憲法を語ると書いてあるがわたしには難しくて、当時の背景を調べながら1日数ページづつしか進めることができなかった。けれど政治・戦争・憲法と生活について考える時間はとても有意義で有難いもので、また時間を見つけ読み直したいと思っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リベラルな立場に立つ憲法学者である樋口陽一と、大江健三郎や五木寛之らとともに戦後民主主義を支える文化人として知られる井上ひさしによる、日本国憲法についての対談です。
樋口が井上を相手に、たとえば立憲主義の基本的な考えかたについてわかりやすく解説するという内容を期待していたのですが、どちらかといえば対談がなされた1993年当時のアクチュアルな問題がとりあげられているように感じました。とくに憲法改正論議や国際連合の役割、自衛隊の海外派遣などをめぐって、両者が護憲の立場からそれぞれ論評をおこなうといったスタンスがめだちます。
アクチュアルな問題をあつかうということは、それだけ足が早いということを意味しており、2018年現在における憲法改正論議や日米安保体制をめぐる議論は、本書が刊行された当時にくらべると、問題の局面が大きく変わってしまっているように思います。この国のありかたをめぐってかまびすしく論じられている現在の状況に対する直接的なこたえを本書にもとめるのは、すこし困難なのかもしれません。