鍵 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062634359

感想・レビュー・書評

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  •  連続通り魔事件と高校生麻里子の通学鞄にいつの間にか隠されていた謎の“鍵”。その二つはどう関係があるのか、興味深く読んだが、事件の深層はちょっと無理があった。麻里子は聴覚が不自由で、両親が一年前に亡くなり、中学校教員の姉と今は無職の兄と
    暮らしている。両親が亡くなり、麻里子のことを重荷に感じ、よそよそしい態度を取るようになった兄に“鍵”のことを相談出来ず、一人果敢に行動する麻里子。最後には事件が解決して兄弟仲睦まじく終わる。
     初よみ作家さんの作品としては選択ミスだったと思う。
     ブックオフであと100円分買えば、500円オフになるクーポンがあったので、適当に選んだ一冊だった。


  • 高校2年生の麻里子は聴覚障害者、父母が他界し兄と姉との生活の中、兄との関係がギクシャクしたものに‥そんな中、見知らぬカギを手にする‥。その頃から、麻里子の近所で通り魔事件が起きるようになり‥。ミステリー要素には欠けるけど、終盤はドキドキしながら読め、ラストは家族のあり方を感じさせられました!ただ、そこまでに行く展開がちょっと引きずりすぎというか、まわりくどいような‥そんな印象を持ちました。

  • 聴覚障害を持つ麻里子とその兄 俊太郎。両親を相次いで亡くし、姉 秀子も結婚寸前。一人で麻里子の面倒を見ることを負担に感じ、彼女を避ける俊太郎に始終イライラしました。

    麻里子がトラブルに巻き込まれ、危ない目に遭って始めて後悔するなんて阿呆か!乃南さんの作品にしては稚拙な気がします。

    • katatumuruさん
      乃南アサさんの本ではこれは読んでない一冊です。
      初期の本なのかな・・・。
      何となく読むという気になれなくて・・・。
      hetarebooksさ...
      乃南アサさんの本ではこれは読んでない一冊です。
      初期の本なのかな・・・。
      何となく読むという気になれなくて・・・。
      hetarebooksさんのコメントを見て予感がしてたのかな~という気がしました^^;
      2013/08/28
    • hetarebooksさん
      katatumuruさん

      花丸&コメントありがとうございます。
      その予感は正しいかも、、、
      多作な乃南さんなので、あえてこれを読まなくても...
      katatumuruさん

      花丸&コメントありがとうございます。
      その予感は正しいかも、、、
      多作な乃南さんなので、あえてこれを読まなくてもいいのじゃないかな、、、という作品です。
      個人的には「しゃぼん玉」が一番好きです。
      2013/08/29
  • 昔読んで思い出に残っている本。
    聴覚障がいの方の独特な感性が、緑色のさわやかな風が吹いているような、穏やかでずっと読んでいたいような気持ちになった

  • もっと読んでいたいと
    思った1冊!
    ミステリーだけど
    西家の家族模様
    家族の試練が描かれてます

  • ミステリーなのかもしれないが、あとがきにもある通りヒューマンドラマだった。リアルな心理描写が流石。そして、いい友人がいる長男が羨ましく思ったw 女子と男子の考え方が違う感じとか、思春期独特の独りよがり(本人は至って真剣に悩んでいるが、年とって読むと馬鹿らしくも感じるところ)など、登場人物の葛藤にイライラしつつ引き込まれた。冬のすごく天気のいい朝のような読後感。とても楽しめました。

  • あらすじ読んで怖いかな?って思っていたけど意外とあっさり読めました。
    俊太郎にはイラっとくるかな?
    犯人はえ、あ、そこね?そこなのね?って感じ。

  • 昨日は暑いと思ったら、日中35度の猛暑日でした。今日も既に室温は30度で、このパソコン部屋に逃げてきました。狭い3畳ですし、少々温度設定が高めでもエアコンが効きます。少しでもエコ生活を考えて、こまめにON、OFFです。
    窓を閉めていますが、蝉の声が聞こえてきます。暑くるしくても夏は蝉の声がしなくては淋しいです。いつか蝉がうるさ過ぎて大騒音になるので、近くの木を切って欲しいと言うような声が新聞に載っていました。どの位の数の蝉が頑張っているのかと、気の毒やらおかしいやらでしたm(_ _;)m

    待合室でシニア川柳を読んでいました。

    「目には蚊耳には蝉を飼っている」
     
    はぁはぁなるほどと思いました。最近本を読みすぎると少し目が充血しますし、ベッドにパタンと倒れこんだら耳がジンジン言います。蚊や蝉を飼う様になったら困るなと身につまされました。

    前に読んだサラリーマン川柳に

    「会議終え暖簾の下で本会議」

    と言うのもありました。お酒はそんなに飲めませんが、一杯のビールに上司をツマミにして盛り上がりました。今でも似たようなことはやっていますが(笑)




    乃南アサさんの「鍵」です。

    面白かった。ミステリの部分もあるが、少し砕けた家庭小説で、両親をなくして残った三兄弟の絆がメインになっている。
    西家の長女は結婚を前にして、踏ん切りがつかないでいる。
    下の長男俊太郎は25歳、大手商社を三年でやめ、今は管理人生活。耳の不自由な妹が生まれてから、母の愛情は全て妹に移ってしまったという、心の底に意志では解決できない小さな寂しさと、自己矛盾を抱えている。
    俊太郎の古くからの友人で、有作と言う新聞記者が一家の心の支えになっている。
    そして末の妹、麻里子は耳が不自由に生まれついた。母親の献身的な教育で、ゆっくりなら言葉も分かるが、発音が少し独特で、余り早く話せない。

    周りで通り魔があらわれる。若い娘を狙って持っているかばんをひったくって、裂いて捨てるというもので、家の周りに頻発しているので、俊太郎も気が気ではない。記者の有作はスクープ記事にしようと張り切っているが、姉妹の帰宅時間も気になる。

    ところが、電車のなかで追いかけられた男が、麻里子のかばんに鍵を入れていた。
    それが原因ではないかとうすうす気がついてくる。
    しかし、高校生になった麻里子は重荷になっているような自分が、兄弟に自立していることを知らせたい、それで「鍵」のことを相談できないでいる。出来れば自分で解決したいと思う。

    警察も捜査範囲を狭めていたとき、殺人事件が起きる。殺されたのは麻里子のかばんに「鍵」を入れた男だった。
    だがその後、殺人事件が続いて起きる。
    「鍵」を持って一人で聞き込みを始めた麻里子もやがて事件の筋が見えてくる。

    そして、犯人とおぼしい人に面会に行く。

    麻里子の行動の影で、俊太郎は兄としての責任に目覚めていく。
    これが家族が徐々にまとまっていく切っ掛けだった。

    麻里子が襲われ、事件を最もはっきりと見てきた勇作が現場に駆けつける。
    麻里子の命が懸った大事件が起きるが、それはまるでサブスートーリーのようで、三人兄弟+1のタッグが事件を解決する。
    怪我をした麻里子を気遣いながら、その後それぞれの生活を見直し新たな出発をする。

    柔らかい、読みやすい物語で、傑作と言わないまでも、きちんとポイントを捕らえてヒントもちりばめてある。さすが出来上がった作品で、時間があれば読み返してみてもいいくらいの、面白い一冊だった

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    高校二年生の麻里子のカバンに、知らぬ間に一つの鍵が押しこめられた―。近所で連続して起きる通り魔事件は、ついに殺人にまでエスカレート。父も母もいなくなった障害を持つ女子高生と、その面倒を見なければいけなくなった兄や姉との心の通い合いをも見事に描いた、新直木賞作家の泣ける名作ミステリー。

  • H29.10.09 読了。

    乃南アサさんの作品ってレビューサイトでも見かけるし、安かったから、という理由で購入。
    話のジャンルすら知らずに読んだ。

    この作品の良いところは、残虐シーンなどが無いところ。
    事件の解決だけが主題でないから、
    読み終わるとほっこりできた。

    危険なシーンがあっても、残酷な展開にはならなくてホッとした。
    もっとハラハラドキドキな展開が好きな人には、少々物足りなさはあるかもしれないが、個人的にはちょうど良いところだった。

    あとがきによると、西兄妹の続きの作品「窓」があるらしいので、読んでみたい。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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