むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062635073

作品紹介・あらすじ

「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは…。超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 奇妙な家、失われた彼女の記憶、彼女と家の関係性… 伏線回収と衝撃的な真相が見事! #むかし僕が死んだ家

    ヒロインの幼少期の謎を解き明かすべく、山奥の家を訪れた主人公と彼女。その家はどこか不思議な雰囲気に包まれていた。二人はその家を詳しく調べることになるのだが…

    さすが東野圭吾先生、小説がほんとにお上手。
    メインとなる登場人物はたった二人、場所も一か所、謎も一つで、とってもシンプルな枠組みなのに、読ませる読ませる。まさしくエンターテイメントミステリー。

    ストーリーの進行もほとんど二人の会話のみ、謎の解明と二人の関係性が少しずつ発展していきます。ワクワクドキドキが止まりませんよ。

    この家はなんなのか? 彼女の幼少期の記憶は取り戻せるのか? そしてこの家と彼女の関係性は?!

    ミステリーとしても高品質で、伏線も見事、納得性も高かったですね。大変よくできています。正直、結構ありがちな真相なんじゃないの?と思ってましたが、なかなかどうして想定以上の真相でした。舐めててスミマセン。

    本作のテーマですが、東野先生お得意の家族だと思います。
    昨今の家族をテーマにしたミステリーは比較的露骨な描写や背景設定が多いのですが、本作はさりげなく読者に提示してきます。彼女が前向きに歩き出してくれることを願うばかりですね。

    シンプルながらもミステリーとしてはよく練られた傑作、人気作家の東野圭吾の技と深みを味わえる初期作品。ぜひぜひ読んでおきましょう!

  • およそ30年ほど前の作品。
    まだ読んでいなかった!
    東野圭吾作品のファンとしては
    衝撃でした。

    これには二つ意味があります。
    ひとつは、
    予想外の展開をするということ。
    もうひとつは、
    これが27年後の作品に繋がること。

    同窓会の後、「私」は
    昔付き合っていた彼女から頼みごとをされます。
    父親が遺した真鍮の鍵と山奥の地図。
    それが意味することの謎を解きたいと。

    地図にあったのは山奥の奇妙な家。
    正面の玄関から入ることができず
    電気は通っていません。
    少年の日記と残されていた品々。
    そして、彼女が断片的に思い出す記憶。
    読者の予想を裏切りつつも
    理路整然と語られる謎解きは圧巻。
    さすが、東野圭吾さんです!

    さらに、その中で「私」は
    自分の幼い頃をも振り返ります。
    ここが二つ目のわくわくポイント。
    すると、あるシリーズ作品の主人公が
    ふわ~っと浮き立ちます。
    これは鳥肌モノです!!

    これを読む前に27年後の作品を
    さくっと読み返しました。
    そうすると、さらっと書かれた
    プロローグとエピローグに
    重要な意味があることが判明。
    面白さ、倍増でした。

    くるたんさん、ありがとうございます♪

    • yyさん
      こんばんは☆彡

      これは是非、『透明な螺旋』とセットで!
      あのクールな湯川先生。
      人間としての柔かい一面がしっかり描かれています。
      ...
      こんばんは☆彡

      これは是非、『透明な螺旋』とセットで!
      あのクールな湯川先生。
      人間としての柔かい一面がしっかり描かれています。

      私はmakiさんのレビューを読んで
      太田愛さんの本を 地元の図書館のマイページに追加しました。
      今は予約枠をいっぱい使っているので、
      空いたら予約をポチります。

      いつも熱いレビュー、楽しみにしてます♪
      2024/01/07
    • bmakiさん
      ありがとうございます(*^▽^*)
      太田愛さん、何読んでも本当に面白くて。

      東野圭吾先生の長編はほとんど既読のはずなんですが、すぐに...
      ありがとうございます(*^▽^*)
      太田愛さん、何読んでも本当に面白くて。

      東野圭吾先生の長編はほとんど既読のはずなんですが、すぐに内容忘れてしまうんですよね。

      透明な螺旋も読んでいる筈なのに、一つも思い出せない私(-。-;
      2024/01/09
    • yyさん
      bmakiさん

      私も一緒で~す。
      その時は夢中になって読むのだけど、覚えていられない!
      だって、内容がそこそこ複雑じゃないですか?...
      bmakiさん

      私も一緒で~す。
      その時は夢中になって読むのだけど、覚えていられない!
      だって、内容がそこそこ複雑じゃないですか?
      (と、言い訳する私)
      なので、手間だけど メモを取りながら読んでます。
      (ちょっと恥ずかしいなぁ…)
      つまり、自分を信用してない感じ (笑)
      2024/01/09
  • 幼い日の思い出がないという元カノ沙也加と、幻の家を訪れた私。沙也加と情報を元に推理した結果、恐ろしい真実を突き止める。主な登場人物は二人(他は過去の人たち)、舞台の大半は灰色に見える白い家。現実に起きている事件ではなく、過去の謎を解いた一幕物。何一つ見落とせない伏線の数々を辿り、推理し読むのに引き付けられた。二人に共通する家という存在。ぞっとするような(過去の)登場人物。終始うす暗い部屋に居るような生き苦しさを感じた。気味の悪いホラーの雰囲気が、複雑な家族模様に入り込んでゆく。
    ラストでタイトルの意味が伝わり、ずきっと響いた。家族にさえ自分を演じ続けなくてはいけないとか、思い出したくなかった辛い過去とか。過去を辿ったことで真相を摑めたことは良かったのかどうか。皆に幸あれと願う。誰も家には思い入れがあり…自分も幼い頃住んでいた家を思い出した。

  • う〜ん…唸らされる。
    どんなけ伏線あんねん!っていうか、もうどれが伏線か分からん。
    訳わかめ…
    これぞ推理小説って感じ!
    登場人物は、ほぼ2人。
    場所も、メインは、ほぼ一箇所。
    で、この深さ…何なん!それ!
    殺人事件が発生する訳ではなく、沙也加の過去を思い出すのにある場所へ。
    ここから、徐々に真相が明らかになるんやけど、早く知りたくって一気読み!
    もう一度、伏線回収の旅に出ないとあかんな!
    私が、「むかし死んだ家」はいつだっんやろ?思わず熟考(u_u)

  • 得体の知れない館の中で終始物語が展開されるので、薄気味の悪い雰囲気が好みでした。
    そして、そこは○○だった!散りばめられた伏線回収が見事で、「誰もが昔自分が死んだ家を抱えながら生きているのかも知れない。」と、タイトルの意味を感じさせるような文章が〆にあったのも良かった。

  • 気持ち良い一冊。

    読み友さん方からのありがたい情報のおかげで「透明な螺旋」から続けて読めた。

    プロローグから倒れそう。
    あぁ、まさにこれはあれ、あれはこれ、じゃないかと。

    もちろん単独で、新鮮な気持ちでこの作品を味わえたのも気持ち良い。

    全てがとても意味のある伏線。
    それらが回収され見事に収まるべきところに収まり出来上がっていく瞬間ほど気持ち良いものはない。

    まるで二つの作品が時を飛び越えて「待たせたね〜」なんて言葉と答え合わせのような握手を交わす姿が目に浮かぶ。

    やっぱり東野圭吾は一歩抜きん出てるミステリ作家だと確信。

    • くるたんさん
      yyさん♪こんにちは¨̮♡

      未読でしたか♡
      私も超昔に読んだことは覚えていたんですが、今回初読み気分で楽しめました♪

      「透明な螺旋」は...
      yyさん♪こんにちは¨̮♡

      未読でしたか♡
      私も超昔に読んだことは覚えていたんですが、今回初読み気分で楽しめました♪

      「透明な螺旋」は既読ですか?
      その後にこちらを読むと、うわ〜!な楽しさ2倍を味わえましたよ〜¨̮♡
      東野圭吾さん、すごいです(^^♪︎
      2023/12/12
    • yyさん
      くるたんさん ♪♡

      未読なんです。
      もしかして忘れてる??? (自信ない)

      「透明な螺旋」は読みましたよ。
      たぶん2年くらい...
      くるたんさん ♪♡

      未読なんです。
      もしかして忘れてる??? (自信ない)

      「透明な螺旋」は読みましたよ。
      たぶん2年くらい前。
      いつもクールな湯川博士が人の子なんだって
      そう思える作品でしたよね、たしか。

      わぁ♪ 楽しみ☆彡
      2023/12/12
    • くるたんさん
      yyさん♪
      「透明な…」そうそう、そこまで記憶にあるなら全然大丈夫です♡

      楽しめますように(o´ω`o)
      yyさん♪
      「透明な…」そうそう、そこまで記憶にあるなら全然大丈夫です♡

      楽しめますように(o´ω`o)
      2023/12/12
  •  「透明な螺旋」を読み終えて投稿した後にこの作品に気付いた。
    読友はセットで読んだようです。僕は副読本という位置付けで読み、ガリレオシリーズの主人公湯川学のキャラクターの原型が作られている作品だと思っています。

     この作品が単行本で刊行されたのは一九九四年五月で、主人公は名無しで誕生した。「探偵ガリレオ」は一九九八年(文藝春秋)に始まりました。湯川学はプライベートを明かさないという触れ込みで偏屈な学者の立場で論理を構築するキャラクターだった。しかし過去のシリーズ九作品で、プライベートを明かしていないなら、27年ぶりにプライベートを明かしたことになります。凄い!

     物語は、主人公「私」が高校二年生の当時の同窓会に参加したのをきっかけに、同窓会の一週間後に、大学を卒業するまで六年間付き合っていた元カノ(旧姓倉橋)中野沙也加から一本の電話がかかってきたところから始まる。沙也加は、是非相談したいことがあるから会って話をしたい、ということだった。
     私(作中氏名は書いていなかった)は、会うことに躊躇いがあったのだ。元カノだから何があってもおかしくない。そういう危険を察知したから一度は固辞したのだ。沙也加の主人はアメリカに行って最低半年は帰って来ない。
     七年前、二人の関係にピリオドを打ったのは彼女だった。「ごめんね。ほかに好きな人が出来ちゃった」

     結局断り切れずに、会うことになった。相談内容は、亡父の遺品の中に、茶封筒があり、その中に地図と鍵が入っていた。
     沙也加には、幼少期の記憶に空白があり、どうしても思い出せないという。子供の育て方が分からなくなり、苛立つことも多く気が付くと我が子を虐待している。あたしの中の空白が虐待の原因ではないかと思っている。
     私は彼女に名刺を渡したが、沙也加は七年ぶりに会ったのに肩書を知っていた。育児書を読み漁ったが、ありきたりのことしか書いていなくて、理学部物理学科研究助手として書いた文章を科学雑誌で読み、もしかしたら、という思いで近付いたと告白した。

     地図と鍵が沙也加の記憶の空白を探すため長野県清里に向かった。

     記憶を取り戻すことが出来たか、そして幸せになったか?謎のままである。
    後になって沙也加から一通の葉書が届いた。答えはその中に書いていた。

     「透明な螺旋」の中には、湯川学が書いた著書を参考文献として絵本作家が作品を書いたことが重要な役割を示している。
     本の題名は「もしもモノポールと出会えたならば」です。過去の「私」とリンクしている。
     「透明な螺旋」を読んだときに、湯川学の過去が衝撃的過ぎて物語の「あらすじ」を書けなかった。その過去は、誰も愛せない孤独を生んだ。高校二年生から沙也加と付き合ったが、別れを切り出されクールな自分を演じていた。人間関係の煩わしさを感じたと…。
     そして「透明な螺旋」に繋がったと僕は推理する。

     本当の偏屈は僕の方かもしれません。
     あらまっ、考えすぎ!失礼しました。
     読書は楽しい。

    • yyさん
      ニコさん

      こんばんは。
      自分の感想を投稿してから
      レビューを読ませていただきました。
      ニコさんの洞察力の素晴らしさに感嘆です。

      実は、別...
      ニコさん

      こんばんは。
      自分の感想を投稿してから
      レビューを読ませていただきました。
      ニコさんの洞察力の素晴らしさに感嘆です。

      実は、別のブク友さんから『透明な螺旋』との関連を示唆され、『透明な…』を読み直してからこの作品を紐解き、
      衝撃を受けました。
      ニコさんのご推察通り、この二冊をつなぎ合わせると
      湯川学博士の発する言葉や行動が納得できますね。

      2024/01/07
    • ニコさん
      褒めていただいてありがとうございます。
      「透明な螺旋」を読んだ時に、草薙刑事は湯川博士の両親の顔を見ています。
      だから、何も気づかなかったの...
      褒めていただいてありがとうございます。
      「透明な螺旋」を読んだ時に、草薙刑事は湯川博士の両親の顔を見ています。
      だから、何も気づかなかったのか?と書きました。
      湯川と両親はの顔は、似ていなかったと推察しました。
      湯川学の来歴ですね。孤独な少年時代を彷彿させます。
      気づいていただいて光栄です。
      2024/01/08
  • 無くなった記憶を取り戻す話。

    スロースターターな感じでしたが、
    中盤から後半にかけての伏線回収と、
    続きを気にさせる文章力はさすがでしたね。



  • 初めてかも?東野圭吾作品。
    ブクログで知って読んでみたかった作品です。

    誰にでも思い出したくない過去ってあるよね、きっと。
    でも自分が自分だと信じて生きてきたのに、
    ある日突然、実は自分は違う人の名前で生きてきていた、
    って知ったら、それは衝撃すぎる。。。

    なんだろう、この読後の晴れない感じは。

  • 透明な螺旋読後,再読。幼児期の記憶を取り戻すため,灰色の家を訪れる。沙也加の悲惨な過去は判明するが,私の名前・正体は謎だった。再読,序盤の名刺で一目瞭然。共通点も確認。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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