日輪の遺産 (講談社文庫)

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  • 講談社 (1997年7月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (538ページ) / ISBN・EAN: 9784062635516

作品紹介・あらすじ

帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。老人が遺(のこ)した手帳に隠された驚くべき真実が、50年たった今、明らかにされようとしている。財宝に関わり生きて死んでいった人々の姿に涙する感動の力作。ベストセラー『蒼穹の昴』の原点、幻の近代史ミステリー待望の文庫化。

みんなの感想まとめ

感動的な歴史ロマンが描かれており、読者は日本国民の魂を実感することができます。物語は、終戦直前に隠された財宝を巡る人々の姿を通じて、深い感動を呼び起こします。涙を誘うエピソードが多く、読み進めるうちに...

感想・レビュー・書評

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  • 日本国民の魂を実感できる一冊。

    読んでいるうちに涙が出て、途中から読むのがしんどくなるくらいの感動があるが、この感動を適切に表現する言葉を、未だ得ることができていない。

    中学生くらいの時に一度読んだことがある本で、その時もびっくりするくらい感動したが、倍の歳になった今もう一度読んでみて、その時とはまた違う、より深い感動を味わうことができた。それは、戦後日本についての知識を深め、さらに人間の機微をより気にするようになったこと、つまりは大人として成長したことの証左に他ならない。

    この作品で感動できるように成長した自分を、誇りに思う。

  • この本は戦中・戦後の混乱期に日本の先人たちの在り様と立ち居振る舞いにやるせなさと敬意を素直に抱いた作品だった。常に、浅田さんの本は少し暗いが匂いなど五感が働く。終戦間際に2百兆円もの軍事資産を米国に取られまいとし、国のトップから事前に隠せという勅命を受ける。資産隠しを知らずに作業させられる35人の女学生と教員。終戦の玉音放送を迎え、女学生と担任は1人を残し死んでいた。中盤、その真相が明らかとなり、また、重要人物のマッカーサー元帥の戦後処理の関わりなど、詳細に描写していた。今回は妻からの推薦でした。

  • 帝国陸軍がマッカーサーから奪い、終戦直前に隠した財宝。その財宝に関わった人々とこれから関わろうとする人達の話です。てっきり宝探し系の話かと思いきや…、いい意味で予想を裏切られました。

    競馬場で出会った老人から手帳を遺された丹羽は不動産会社の経営がうまくいっておらず、その老人真柴の話を疑いつつ、一縷の望みに賭けたい気持ちもあり、同じように真柴から手帳を託されていた地域のボランティアをしている海老沢と共に財宝について調べようとします。
    真柴が住んでいた家の大家、金原も財宝について知っているようで、宝探しは三つ巴の様相。
    真柴の手帳には財宝を隠した経緯が記されていました。財宝を隠す作業をしていた戦時中、そして財宝探しに色めき立つ現代、話が交互に展開していくにつれ、読者に次第に事情が明かされていきます。あっと驚く繋がりが分かった時、静かな感動がありました。

    人々が宝に振り回されたというよりは戦争に人生を狂わされた気がして、理不尽だなぁと思いました。そして戦争にはきっと私の知らない側面があり、それについて私たちは知らないといけないのではないかと思いました。
    宝を隠す作業をし、口封じに殺される筈だった女学生達は終戦と共に自ら命を絶ち、宝を隠す実行部隊の指揮をとっていた真柴は戦後もその秘密を抱えて生きていかねばなりませんでした。真柴と同じ秘密を知る小泉中尉は戦後の国民が飢えないように、マッカーサーと取引をしようとします。マッカーサーはその取引に応じず自力で自分の財宝を取り戻そうとしますが、宝があった場所には他のものもあって…。

     うまく纏められないのですが、それぞれの生き様が強烈で(きっとそれは浅田氏の描き方によるのでしょうが)壮大で面白かったです。

  • 最良の読後感! 「真柴」のストイックな生き方と、「金原」の好対照、しかし、根元の意志は同じ。奥も深い。楽しませていただきました。

  • 全てが史実だとは思わないが、それでも圧倒的な歴史の積み重ねに身が引き締まる思いがした。
    今後、どんな偶然が重なって誰かがこの封印を解こうとしたとしても、少女たちの純粋な死を前にすれば、こうべを下げるしかないだろうと思った。壮大な歴史ロマンだ。
    2016/09

  • 私が最初に読んだ浅田作品ですが…正直こんなにも素晴らしい作家を、なぜ今まで素通りしてこられたのか!と思うほどの衝撃でした。戦争物を無意識に避けてしまうのですが、これは本当に読んでよかった、出会えてよかった作品です。

  • これは、間違いなく傑作でしょう!

    浅田次郎の2冊目。短編集「鉄道員」が自分的にいまいちだったこともあり、長らく敬遠していたのだけれど……(苦笑)。

    ほぼ一気読み。
    帰省時に実家に忘れて来てしまい、送ってもらうのももどかしく翌日に古本を買い直してしまったくらい(笑)。
    彼の、他の長編を是非とも読みたくなった。

    ★5つ、10ポイント。
    2015.05.11.古。

    ※数年前に公開された劇場版の出来は、どうなのだろう?観てみようかな…。

    ※浅田さん版の“M資金”の決着は、哀しくも清々しい!

    ……福井晴敏の未完の“アレ”も、ぜひとも続きを読みたいな……。

  • 映画化されていることを知らなかった。
    早速DVDで見てみたい。
    読み応えあり。
    最終章は涙が・・・永遠のゼロ以来。
    日本、日本人はすばらしい。

  • 文庫の裏表紙解説を読んで、以前TVで見たマレーの虎・山下財宝の物語かなと思ったり、ゴルゴ13でちらりと知ったM資金の物語かなと思ったり。結局は、完全オリジナルの埋蔵金物語であった。

  • 少し現実味に欠ける気がするものの、歴史小説としてのエンターテイメントはあり。第二次世界大戦なんて、まだまだ生きた歴史であるものの、知らないことだらけ。このストーリーがフィクションかノンフィクションかなんて誰にも断言できないのでは?

  • 終戦間際の読んでいても緊張する時代とその時代をも遠い過去にしてしまっているバブルの余韻が残る現代、二つの時代を行き来しながら自然と夢中で読み進める。
    良い悪いではなく当時の日本人の多くが純粋で真っ直ぐだったのだろう。
    現代から見た視線が最初はズレていたのが少しずつ当時と同じ線に沿ってくる、読んでいてもそう、重厚なものを現代からの視点が重たさを思わせずに史実に沿いながら少しずつそれを感じさせてくれる作者はすごい。
    2人の将校を主とした登場人物の真っ直ぐな「義」と「勇気」が現代の日本の礎となっているということを言いたいのではなかろうか感じた、それが日輪の遺産なのだと。

    それにしても真柴少佐や小泉少尉は武士のようだな…そういうことなのかな。

  • 面白かった。

    でも、重厚な歴史の史実の前に、生徒の最後の姿の書き込みがさっぱりすぎて、
    感情移入をする時間が足りず。

    エピソードや挿入の形で様々な人間が入り組むあたりも、
    やや強引だったりで少し消化不良に。

    軍人には感情移入できたものの、肝心の真柴老人の記述が薄く、
    また、関わる丹羽の導入が謎過ぎて、これもまた。
    いい人なのはわかるけど。

    一番ココロに来たのは小泉中尉。
    そうして、最後の久枝のシーン。
    今の筆力でもう一度、なぞってもらいたい物語。

  • 最後に自らの命をたった少女たちの姿が切なすぎました。そして、生きながらも戦争から解放されない真柴、登場人物の全員の運命に胸が苦しくなりました。

  • 戦争の悲惨さと日本人としての勇気を感じる小説。戦後の日本復興の為、軍人としての使命を貫く真柴や阿南ら軍首脳に意志の強さ。マッカーサーの財宝を隠す為に利用される20名の少女達の純粋さに心が和み、そして真柴や小泉らの為と思い込み自ら毒薬を飲む場面は悲しみで溢れてしまう。日本人を心底恐れるマッカーサーや米軍側通訳のイガラシ中尉の一つ一つの言葉も読み応えがある。再読してさらにハマる大好きな小説です。

  • 浅田次郎、初めて読みました。そうだなあ・・・百田尚樹の永遠の零、海道 龍一朗の百年の亡国の感動までは届きませんでした。

    物語の展開が”宝探し”を中心に進んだからではないかな?・・・・一人の人間の生き方に集約すればまた違った感動も生まれたかもしれません。

    物語の面白さは”冒険”に集約されるのかもしれませんが、感動は”人間の生きざま”に集約されるものだと僕は思います。

  • 浅田さんの登場人物の作り込みが素晴らしいのはいつもの安定。一冊の手帳を渡してあっけなく死んでいった人物の正体、そして手帳に書かれた恐るべき遺産の謎を、死に直面した倒産寸前の主人公が追いかけるって冒頭からワクワクしかない。
    手帳に書かれた戦時の場面と現在の主人公が手帳を巡り主要な人物と関係しながら謎を追う場面が章ごとに交差するよくある構成なんだけど、その切り替わるタイミング毎に現世でのやり取りが面白く、態度のでかい大地主が実はそうだったのかと、そしてその若くて落ち着いた奥さんが、ああああああって来る衝撃がたまらない。遺産を見つけ出すのだろうか、そしてそれをどうするんだろうかとドキドキするも、戦時の出来事、そして新たに現れた日系アメリカ人、若干後半ごたごたと混ぜ返すも何とか筋を通していよいよ結末!
    え?ちょっとそれはどうなん?最後の最後でちょっと迷走気味じゃね?って疑問符が連続するもなんとか締めくくられて終わるんだけど、もう少し別の終わらせ方ってあったと思うんだけど、煮詰めすぎちゃったかなぁって喉に骨が刺さったような感覚だった。

  • 夫の友人からお借りしました。

    敗戦の瞬間から始まる人々の物語と、戦争経験のない現代を生きる人間の物語が、2つの時間軸で交互に展開していきます。

    その構成力は抜群で、読みにくそうにみえてむしろ読みやすく、あとから分かる仕掛けも衝撃的です。
    そして、必ずしも実話ではないのだけど、こういう悲劇はいくらでもあったのだろうと想像される展開が戦争の悲しさを増長させます…

    国のために生きて死んでいった彼らのことを、日本人として絶対に忘れてはならないし後世に伝えていかなければならないと強く思いました。

    生き残った久恵さんの思いをもっと知りたかったな。切ないけど・・・

  • あらすじ
    帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価二百兆円の財宝。老人が遺した手帳に隠された驚くべき事実が、五十年たった今、明らかにされようとしている。

  • 重くて読むのが苦しくなってくる箇所もあったけどなんとか読了。戦時下における軍の意向を守ろうとする人たちの葛藤が悲しい。どの人もみんな一生懸命だからこそ命令を全うすることの意義を考えてしまう。現代と過去を行ったり来たり、間を繋ぐ人物も絡み合って家族や人間の関わりの大切さも描かれる。少女たちのくだりは最後にドカーンと胸にわだかまって複雑な読後感。

  • 浅田次郎の歴史ミステリー

    終戦直前、直後の時代を生きた人たちの熱く、そして、とても悲しい物語でした。
    戦争物は「永遠の0」以来でしたが、本作ではミステリーとして楽しく、そして、悲しく読み進めることが出来ました。

    ストーリーとしては、ひょんなことから知り合い、そして、目の前で死んでしまった老人の残した手帳に書かれた秘密の物語と、その手帳を読み解く現在の物語りが交錯する形でストーリが作られていきます。

    秘密の物語りは、帝国陸軍がマッカーサーから奪った時価二百兆円の財宝について、それを終戦間際に隠すように命令を受けた将校たちが、どのように実行していったかが語られています。この財宝にかかわって生き、そして死んでいった人々の熱く、悲しいストーリとなっています。
    現在の物語は、その隠された財宝を探し当てようとする物語りです。

    作中に語られているマッカーサーや現在を生きている主人公側のキャラが個人的にはちょっといまいちだったのですが、それに勝るストーリでした。

    財宝は無事隠せるのか?そして隠された財宝はどうなるのか?っとどんどん読み進めることができ、ミステリーとしては十分楽しめる作品でした。
    しかし、最後の最後の4ページ。

    これは、余計だ、涙でちゃいます。

    これも、すべての日本人に読んでもらいたい作品です。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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