- 講談社 (1997年7月14日発売)
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感想 : 62件
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Amazon.co.jp ・本 (426ページ) / ISBN・EAN: 9784062635875
作品紹介・あらすじ
絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師。留学先の南アフリカで直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため正義の闘いに命をかける。証拠品の国外持ち出しは成功するか!? 黒人差別に怒る日本人医師を描く冒険小説!
絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師。留学先の南アフリカで直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため正義の闘いに命をかける。証拠品の国外持ち出しは成功するか!? 山本周五郎賞受賞作家が描く傑作長編冒険サスペンス。
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みんなの感想まとめ
人種差別と闘う若き日本人医師の姿を描いたこの物語は、アフリカの大学病院で心臓移植を学ぶ主人公が、黒人差別の現実に直面し、真の正義のために命をかける姿を描いています。彼はスラム地域での診療を通じて、差別...
感想・レビュー・書評
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30年以上前に書かれた作品。
アフリカの大学病院に留学して心臓移植手術を学んでいる日本人の作田信。
彼は黒人差別が横行していることに反発を抱き、大学病院へ行かない日はスラム地域での診療を始めた。
しかし、それに目をつけられ厳重注意を受けるが、それには従わず、スラムへ通い続ける。
そんな中、絶滅した筈の天然痘の症状が黒人地区の子どもたちばかりに見られるようになる。
それは人為的なものと見られる、作田は益々、黒人たちの側につくことになる。
しかし、この国での黒人に対する扱いは留まるところを知らずに、それに加担する作田も危険にさらされる。
何人もの犠牲を出しながら、戦う黒人たちの姿に、時代の残酷さを感じずにはいられない。
2026.1.24詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公の作田信は30代の外科医師。心臓移植手術を学ぶため、南アフリカの大学病院に留学している。この国では、白人の命を助けるために黒人の臓器が提供され、その逆はない。医学技術の進歩が人種差別の犠牲の上に成り立っている皮肉に、作田も疑問を感じざるを得ない。
作田は、勤務時間外を利用して、町のスラム地域にあるサミュエルの診療所を手伝い始める。
サミュエルはエリート医師として豊かな生活も出来るが、使命感と反骨精神から、自らスラム地域に留まっている。しかし、スラムの環境は劣悪で、医者の手はいくらあっても足りない。
そんな中、黒人の子供たちの間に奇妙な病気が広がり、特に体力の乏しい幼児は次々に落命していく。
ウィルス性の伝染病ではないかと推測するが特定出来ず、作田が大学病院へ患者を連れて行っても、黒人だという理由で診察を拒否される。直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため、作田は正義の闘いに命をかけてゆく…。
南アフリカ共和国がモデルとなっているであろうこの作品。
絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師の冒険サスペンス!と裏表紙にも書かれていて、そういう側面としての面白さも抜群で、どうなるの⁉︎ と先が気になり映画のようで夢中で読みました。そして、何よりも“名誉白人”とされる日本人であり、エリートでもある作田が、その立場に甘んじることなく身を挺して戦う姿に、深い深い感動があるのです‼︎
改めて「人種差別」というものについて考えさせられました。人間って、何か人と区別をしたい生き物なんだろうな〜とは思いつつ…。自分自身も生きている中で、なにか「差」を意識することは、大なり小なりあるとは思う。しかし、同じ人間でありながら、ただ生きているだけで、それを虫けらのように考え扱う、白人優位の思想、白人至上主義というものの怖さ、薄気味悪さを強く感じました。ある意味、単純でありすぎるがゆえに、力を持ってしまうというか…。
作田も気付く「日本にいる時は、自分の皮膚の色など考えたこともなかった」という気持ちは、日本人である自分には、とてもよく分かります。もちろん日本にいても、格差というのは大なり小なりあるけれど、やはりレベルが違う。簡単に、本当に簡単に次々と子供たちが犠牲となり、死んでゆく場面は心が痛みました。
サミュエルや、黒人解放運動の闘志のニール、その妹のソーシャルワーカーのパメラ、そして自らの危険を承知しながらも協力する、国立衛生研究所部長の父と、ウィルス学の助教授である息子のレフ親子。損得ではなく、本当に虐げられ命の危機にある人々を救おうと闘う人々に頭が下がります。世界はこういう人達の働きで救われるんだなあ〜と思ったのでした。
恥ずかしながら…アフリカのことや、人種差別のことなど、TVや映画で知ってはいても、身近な生活に結びつけることは出来てなかった私でしたが、この作品で多少ながら理解が深まったような気がしています。
人間の“尊厳”を求め、耐えて、武器を持たずに闘い抜く場面に心震え、ラストの作田の言葉に涙が滲みました。
やっぱり、帚木蓬生さんは、凄い!少しずつ、また読み進めていきたい作家さんです。
心に残ったところを少し。
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解剖学的にみれば、白も黒もたかだか皮膚のメラニン色素の量の差です。脳だけ取り出したら、黒白の見分けはつかない。
シン、ここが大切なところなんだ。黒人が解放されることは、白人が解放されることなんだよ。
解剖や生理学を嫌というほど叩き込まれた医者でさえ、偏見からは自由でないのだ。精神的に盲人なら、目がどんなに見開いていても、何も見えない。
いつかこの街がパリみたいになればいい。街路や建物は整然としていても、なかにいる人間は種々雑多なんだ。白人も黒人もアジア人も、そこがまるで花園みたいにいい顔をして生きている。
「あなたが生きていてさえくれるなら、たとえ何年会わなくても私は平気よ」
最後の自分の砦は、身体じゃなくて〈意志〉です。これがある限り、拷問には負けない。・・・(中略)
ぼくは、多分そんな拷問にあえば骨なしになるかもしれない。しかしそれでも構わない。このままあの国を去っては、生きていても無意味なのだ。
歌だけは奪えない。歌には原料も維持費もかからない。息さえできていればうたえる。
赤ん坊はすべて先祖の生まれ変わりです。人が死ぬとき、必ずどこかで赤ん坊になって生まれているのです。
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新年一冊目は、チョット真面目なお話。ずっと気になっていた帚木蓬生さん。心臓移植を学ぶ為にアフリカに留学した若い日本人医師。そこで黒人差別の酷さを目の当たりにする。白人が黒人社会を排除する為に絶滅した天然痘ウィルスをばらまき、黒人の子供達の間に天然痘が一気に流行する。なんとかして助けてやりたいと、若き日本人医師が自分の命の危険を犯してまでも白人社会と闘う。教科書では知る事の出来ないアパルトヘイトについて書いてあって、どうしてこんな差別が起きたのか哀しくなった。最後は、日本人医師の人種を越えた勇気にただただ感動。
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絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師。留学先の南アフリカで直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため正義の闘いに命をかける。証拠品の国外持ち出しは成功するか!?山本周五郎賞受賞作家が描く傑作長編冒険サスペンス。
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物語の主人公は「天然痘」
伝染病はワクチンが無ければ予防・治療が難しい
そのワクチン供与を遮断して、天然痘の蔓延を企てた犯罪物語だった。
さて、今は「新型肺炎」蔓延の恐怖
まだ、ワクチンがない未知の伝染病
えっ、早く治療薬を作らないと
早くワクチンを作らないと・・・・ -
メディアマーカー・読了コメントRSSで興味。南ア差別についてがテーマらしい。
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おそろしい物語でした。さすがにこれはフィクションだと思いますが、つい20年ほど前までアパルトヘイトという差別が現実に存在していたというおそろしさを垣間見た気がします。
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もしもぼくが化石になって見つかった時に、ぼくの肌が黄色だった事に気づくだろうか。彼の肌が黒いというそれだけで、傷つけられた時代があったと気づくだろうか。著者の描くヒューマニズム。そこからいろんな事を考えさせられた。
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帚木さんらしいヒューマニスティックな作品です。
一般的にはミステリーに分類されるのかもしれませんが、私にはヒューマニズムの面から純文学のように見えます。
やや、定型的過ぎるかもしれません。右翼白人は皆悪人ですし、黒人は皆善人のような書かれ方です。そういった面での深みを感じられないのは、少し減点です。
しかし、読み始めると同時に、帚木さんの筆力に一気に引き寄せられます。そして感動の終末。お勧めの作品だと思います。
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時間があれば。
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若い時に読んだ本。面白かった。安心してお勧めできる小説。
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絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師。留学先の南アフリカで直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため正義の闘いに命をかける。証拠品の国外持ち出しは成功するか!?山本周五郎賞受賞作家が描く傑作長編冒険サスペンス。
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帚木蓬生らしい、主張が奥底に見えながらも骨太なストーリー。今回はかなり正面切って分かりやすいテーマが掲げられており、主人公の苦悩が鮮やかに響く。
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歴史上の事実として知識はあったものの、こうして物語として紡がれるとそこで生きてきたであろう人たちがフィクションではあれ現実感をもってたちあがってくる。
そしてそのような現実が驚く程最近まで起きていた事実。
あってはならないことが現実に起きていた事実をしっかりと胸に刻んでおかなければならない。
そして、目には見えないウィルスで何かを支配できてしまうことの恐ろしさ。 -
私は自分が生まれる前の出来事は書物に出てくる「歴史上の出来事」として一歩引いて見ているが、アパルトヘイトは紛れもなく私が生まれてからもしばらくは存在していて(中学生の時に文化祭の壁新聞でアパルトヘイトについて書いた覚えがある)、そういう意味では私にとってアパルトヘイトは歴史上の出来事ではなく、現実に認識できた出来事と言える。
にもかかわらず、中学生の頃、「名誉白人と呼ばれる日本人を私はちっとも名誉だとは思いません。」みたいなことを偉そうに壁新聞に書いた私は、アパルトヘイト撤廃のために何かした訳でもなく、その後は正直遠い国の話としてあまり考えたこともなかった。
今更ではあるが、この本を読んで、もう少しアパルトヘイトについて知る努力をしてみたいと思った。 -
これは星5つで問題ないでしょう。
若干うまくいきすぎなところはなくもないけど、でも、これくらいじゃないと酷すぎて読んでられないもの。
救いが必要。
現実はもっともっともっと過酷なんだよね。
日本人として日本に住んでいて、カトリック教育を受けていると今一つ差別してしまう気持ちが理解できないのだけど、ある意味人間の本能的な部分なのではないかと思ってしまったりも。
考えさせられる作品でした。
そして「あ~よかった」的な感じでは終わっているけれど、そんな一筋縄ではいかないよね。きっとここからがまた大変なんだよね・・・。 -
2014.10.4 読了
著者プロフィール
帚木蓬生の作品
