震える岩 霊験お初捕物控 (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 3108
レビュー : 249
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062635905

感想・レビュー・書評

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  • 読んだか読んでないかわからずに手を出せないでいた一冊。
    最後まで読んでみて、「うん、読んでなかった!」と満足した(笑)。

    岡っ引きの兄を持つ「姉妹屋」のお初には、人には見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたりする不思議な力がある。
    お初は、根岸肥前守に命じられ、与力見習いの古沢右京之介と、深川の十間長屋で騒ぎとなった死人憑きの事件を追うことになる。
    2人で帰る道すがら、お初は油の中に女児が浮いている幻影を見る。兄の六蔵が丸屋の油樽を調べてみると、そこには女児が浮いていた。

    深川の事件は、死人の正体がわからぬままに一応決着したかに見えた。しかし、お初は、右京之介と肥前守とともに、「忠臣蔵」の浅野内匠頭が切腹したという田村邸に赴き、そこで見た幻影により、深川の事件と「忠臣蔵」との思わぬ接点に気づく・・・。

    あぁ、なんかストーリーまとめるの難しい!
    こういう不思議な力のお話は、現代に置き換えても可能なんだろうけれど、非業の死だったり過去の因縁だったり「死人憑き」だったり、そういうのはやはり、江戸とぴったりはまると思った。
    宮部さんのミステリーでは、どこでどうつながるのかわからないいくつかの事件のつながりがうっすらと見えだすところが、一番ぞくっとする。

    私は忠臣蔵あまりよく知らなかったんだけど、今伝わっている忠臣蔵の話ってだいぶ改変されてるんだなぁということはよくわかった。。赤穂浪士の忠義心は偽りのないものかもしれないが、「敵」として語り継がれることになってしまった吉良さんが可哀想だー。

  • 宮部さんの時代物は初読みです。人には見えないものが見えたり、聞こえたり、幻を見たり…普通なら気がおかしくなるような自分の特性をしっかり理解して事件を解決に導いて行くという。忠臣蔵に絡めて書いてあるので、歴史本としても楽しめました。ストーリーは残忍な描写もあり、痛々しく思う所もありましたが息をもつかせぬ展開であっという間にページをめくり終わりました♪もやもやとした終わりがちょっと苦手なときもある宮部さんでしたが、「時代物ははずさないから」と勧められ借りたのですが、全くその通りでした♡

  • 時代小説+推理もの+オカルトって食い合わせ的にどうなんだろうと思いながら読み始めましたが、さすが宮部さんは上手いです。
    死人憑きのあたりから、ぐいぐい読み進められました。
    子供が犠牲になる事件から、赤穂浪士が繋がるのは、こうくるかという感じ。
    ヒロインのお初は「かまいたち」にも登場しているらしいけど、随分前に読んだ作品なのでどんな作品だったかあまり憶えていません。
    より楽しみたい人は「かまいたち」から読んだ方がいいかもしれませんが、この作品だけでも十分楽しめます。
    シリーズ次の作品も読んでみたい。

  • 人の感情や過去の出来事を読みとる力のある初と、武家の嫡男に生まれながら算学に走る右京之介が事件を解決して行くお話。

    赤穂浪士が関わっており、事件の内容もおもしろい。
    肝の座ったお初と、やや頼りなかった右京之介のやりとりもおもしろい。
    そんな右京之介の表現仕方が宮部さんらしく、素晴らしいと思う。

  • 全1巻。
    でもシリーズになるっぽい。

    捕り物なんだけど、
    ただの人情ものじゃなく、
    オカルティック伝奇捕り物ミステリーな感じ。

    主人公が霊能力者な才能を持つ町娘で、
    オカルティックに事件を解決っていう、
    あらすじだけ見たら敬遠しそうなトンデモ設定。

    が。
    騙されたと思って読んでみて。
    個人的にオカルトはあんまりだけど、
    これはすごくいい。

    おきゃんな主人公と、とぼけたパートナーが、
    ドロドロしそうな舞台を明るく軽快な空気にしてて、
    オカルト臭はあまり気にならない。
    表紙で損してると思った。
    気分的には「ぼんくら」シリーズみたいなノリ。

    で、
    裏表紙にも書いてるけど、
    事件はやがて100年前の「忠臣蔵」事件につながっていく。
    霊能力っていうトンデモ設定があるからこそできる
    スリリングでスケールの大きな展開に
    ぐいぐい引き込まれて手が止まらない。

    忠臣蔵の謎、その解釈も、
    どっかの歴史ミステリー作家より説得力があり、
    忠臣蔵で1本書いてもらいたい感じ。


    「耳袋」
    「霊能力」
    「忠臣蔵」
    虚実のバランスが素晴らしく、
    緻密な構成はさすが。
    クライマックスのスピード感ある盛り上がりはスゴい。
    全体的にすごく映像的で、
    映画化したらはまりそう。


    ちなみに、
    主人公を可愛がってる町奉行は、
    平岩弓枝「はやぶさ御用帳」のお奉行さま、
    根岸肥前守。
    今作の中で割と大事なアイテムである
    根岸肥前守の著作「耳袋」について、
    あっちでも取り上げた話がある。
    1話だけ。

  • 時代物でお初の超能力で事件を解決した

  • 一膳飯屋「姉妹屋」の看板娘お初は人に見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる力を持っている…その力を活かして兄の岡っ引き六蔵親分を助け、不思議な事件を解決する「霊験お初捕物控」シリーズ第一作。なお、短編集「かまいたち」に収録されている「迷い鳩」「騒ぐ刀」はシリーズとしては扱われていないようですが、舞台設定や一部を除いた登場人物が共通です。「迷い鳩」はお初の力が発現した直後の話であることもあり、可能であるなら先に読んだほうがいいかもしれません。

    超能力者が主人公という捕物帳としては突飛な設定ながら、「耳袋」や「義士出立の図」などの実在する事物を下敷きにしてお初の力や忠臣蔵を捕物帳の中で扱うことに説得力を持たせています。
    また、「迷い鳩」「騒ぐ刀」の2編に登場していた忍者っぽい次兄の直次に替えて文弱の徒の古沢右京之助をお初の相棒に据えています。これが、直感・行動担当のお初と考察・頭脳担当の右京之助の役割分担やその正反対の性格から生ずる小さなトラブル、そしてこの初々しいカップルの淡い恋心など、ラブコメっぽい要素が多く含まれるようになり、お話としての面白さの大きな要素となりました。
    古沢の家と同心株を継がなければならないという桎梏から開放された右京之助と、何もかもが彼女と正反対である彼がなぜか気になって仕方がないお初の関係はどうなるのか…もったいぶらないで続きを読ませてください、といいたくなるほどの名(迷?)コンビでした。
    ちなみにこの作品はコミカライズされているのですが、ラブコメ要素とラストの大立ち回りのような派手な情景描写があり、確かに漫画の原作向きだなと思わされます。

    ところで、宮部みゆきは超能力やホラーを書きたくて仕方がなかったようで、初期の作品には脈絡もなく唐突にこれらが出てくる欠点(例えば「初物語」の長介坊や)がありますが、このシリーズは主人公が「見える力」を「霊験」として持っていますよとサブタイトルで宣言しているので唐突な感はありません。ただ、敵役が普通の人(迷い鳩)→妖刀→死霊憑きと、徐々にエスカレートしているような気はします。ほどほどにしないと捕物帳の枠をはみ出て異能バトルになってしまうかもしれません。
    なお、本作にはゾンビ(というか、死霊に取り付かれた死体や人)が登場しますが、あまりホラー的な怖さは感じませんでした。これは、憑かれたものが目的を持って行動していること、何も特殊な能力を持っていないことによるのではないかと思います。憑かれた人の身体を物理的に拘束してしまえば(その身体が死ぬまでは)自由に行動できない死霊はあんまり怖くないですよね。

    さらに言えば、作者は「忠臣蔵の新解釈」も書いてみたかったようです。ぼんやりとしか知らなかったこの事件の概要を改めて調べて(Wikipediaレベルですが)みて、なるほどこれは書いてみたくなる「謎」がたくさんあると思わされました。作品中では、動機と義士出立の図(討ち入りの義挙にただ一人背中を向けて描かれたいと望んだ者、寺坂吉右衛門)が扱われていますが、超能力娘が登場する捕物帳との相性は良いとは思えず、死霊憑きと忠臣蔵との関係を探っていく過程は資料を参照したり人伝に話を聞いたりするだけで説明臭く、やや中弛みの感がありました。ただ、ラスト、「仮名手本忠臣蔵」が上演されている舞台上でのお初の立ち回りは、光景が目に浮かぶ演出でした。

    最後にちょっと。
    宮部みゆきの時代ものってネタ被り(もしかして、使いまわし?)があります。短編だとどれがどの作品なのか混同するほどですが、本作も勝気で活発な町娘と文弱な侍のコンビが事件を解決していく点と、文弱な侍には武張った肉親や兄弟がいて、性格があまりに違いすぎるため、不義の子なのではないかと疑われている点が「桜ほうさら」と共通しています。長編になるとヒロインの描写とか文弱の徒の見せる頭の切れやら優しさやらの書き込み具合もあって短編ほど気になるわけではありませんが、でもせっかくなら、同じような設定の話を量産するより、このシリーズをもう少し書き継いで欲しいのにと思ってしまいます。

  • 普通の人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる不思議な力を持つ「姉妹屋」のお初。
    深川の長屋で起きた死人憑きを調べ始める。奇妙な事件の背景には100年前の赤穂浪士の事件が…。

  • 2017~2018 読了

  • 作り込んでるなぁ!というのが読んだあとの第一の感想でした。
    今や誰もが知っている、忠臣蔵の話を題材に、やっぱり宮部みゆきさんらしく、とても上手に人の業を絡めながら奇っ怪な物語が進行していきました。

    作り込まれていたけど、深みはそこまで…な感じでしだが、続編が出てるなら是非読んでみたい!と思える程、登場人物に愛着を持てた作品でした。

    よし、続編も読んでみよう!お初と右京之介の今後も気になります(笑)

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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