- Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062635912
感想・レビュー・書評
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織田長益(のちの有楽斎)は、織田信長の弟なのだが、人殺しや権力争いを嫌い、なんとかそれらから逃げ出そうとする。信長、秀吉、家康と権力者が替わっていく中、周旋役に徹して生き延びていく。次々と登場してくる人物への、そして自分自身への思いが詳しく描かれる。コミック「へうげもの」にちょこちょこと長益は出てくるし、犬山名鉄ホテルの隣に有楽亭という庵があるので、どういう人物なのかと少し気になっていたのだ。平気で敵を切り殺すなんて当り前じゃないよな、長益は極めてまともな人だと思う。茶人としての長益があまり描かれなかったところが残念と言えば残念かな。明智光秀、千利休、茶々たちのやむにやまれぬ思いや行動が描かれていて身につまされる。まあこれらも、長益が想像したことではあるが。それにして、信長が上司だとしたら、たまったもんじゃないなあ。
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初陣の時から戦と言うものを毛嫌いし織田家全盛の頃は兄信長からも戦働きを期待される事なく後方支援に自分の生きる道を求める。しかし本能寺の変を境に自分の意に反して信長の縁者として秀吉に利用されるが甥の信雄、信孝の様に己に過信する事なく上手く世渡りをする。淀君の子供の件で謎を投げかけたが結局回収する事なく終わってしまったのが少し残念でした。
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織田信長の弟であり、有楽町の地名の由来となった織田有楽斎について書いた本です。
織田有楽斎は信長の弟ではありますが、武人ではなく茶人として有名です。
この本では、茶人としてだけでなく、交渉術に優れていて、信長からも接待役に命じられたりしていたようです。また、算勘に長けていて、直接戦闘のない兵站方を希望していて、そつなくこなしていたようです
有楽斎という名前は、領地を返上して、隠退する際の名前で、戦に嫌気がさし、権力争いから逃れて生きたいと願った織田長益にはふさわしい名前に思えました。
↓ ブログも書いています。
http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-642e.html -
有楽斎の考え方だけ、何かぽっと現代人じみているのに白けてしまいいまいち楽しめなかった。残念。
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兄、信長への恐怖心と初陣に味わった人を殺す嫌悪感。有楽斎の生き方は決まった。「弓矢の男にあらず」と陰口を叩かれながらも、茶々姫の後見人として、また、有職故実や茶の湯に通じることで自らの生きる道を見出した。肉親ではなく、権力者として利用する兄と絶妙な距離を保ち、戦乱の世を生きた男の生涯。
2009.10.3読了