- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062635998
作品紹介・あらすじ
南町奉行所で内勤30年。勤務中でも居眠りをする奇病を持つ藤木紋蔵。だが、奇病ゆえ、人生の真実が見える時がある。義父が下女に手を出し、妊娠させる騒動が起きた。義母は「男は穢らわしい」とご立腹だ。人間の欲深さを描く「浮気の後始末」ほか7編。“窓際族”同心が活躍する捕物帳! 「物書同心居眠り紋蔵」シリーズ第1弾。(講談社文庫)
“窓ぎわ族”同心の捕物帳!連作時代小説。南町奉行所で内勤三十年。勤務中でも居眠りをしてしまう奇病を持つ藤木紋蔵。奇病ゆえ、人生の真実が見える時がある。運命の残酷さを描く「浮気の後始末」他7編
感想・レビュー・書評
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なぜか、居眠りをしてしまうという奇病を持つ藤木紋蔵。人前に出る仕事はさせられないと書き物する裏方に。 三廻りの、金が入る同心の仕事にはつけない。 さて、そんな紋蔵だが、、、。と面白い人物の周りに起こるあれこれのシリーズ。捨てる神あれば拾う神あり
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のんきな雰囲気はよいな。
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目次
・お奉行さま
・不思議な手紙
・出雲の神さま
・泣かねえ紋蔵
・女敵(めがたき)持ち
・浮気の後始末
・浜爺の水茶屋
・おもかげ
シリーズの途中から読んでしまったので、第一作から読み直し。
最初なので、人間関係がよくわかる。
仲良さげに語らっているけれど大竹金吾は後輩(しかし紋蔵より役職が上)で、捨吉は羽振りのいい顔役だけど幼馴染みで紋蔵を慕っている。
上司の蜂谷鉄五郎は、上の娘の許嫁の父親でもある。
”窓際族”で、貧乏子だくさんとはいえ、紋蔵は周囲の人に恵まれていると思う。
時と所をかまわず居眠りしてしまうという奇病(私もだ!)のせいで、出世コースから外れてしまったというと、不条理で物悲しくほろ苦い感じがすると思いますが、紋蔵さんはすこぶる普通の人。
やっぱり出世できないのは残念だし、日々忙しく働いているのに「どうせ暇なんだろう?」的にみられるのは悔しいし、美人を見ると気になるし、気にしているように見られやしないかとさらに気にする小心者。
もらっちゃいけない袖の下も、もらえるものならもらいたい。
お菓子の箱の中に山吹色の何かを期待してみても、最後までお菓子だったのにがっくりしたり。
そんな紋蔵だからこそ、市井の人の暮らしぶりを見つめるまなざしが温かく、誰が見ていようと見ていまいと、職務に励み続けるのだ。
”筆とりて天窓(あたま)かく山二十五年
男なりゃこそ泣かねえ紋蔵”
泣くな紋蔵。きっと誰かは見ていてくれてる。 -
紋蔵は所構わずわずかな時間が空くと居眠りをしてしまうと言う奇病を持った中年男。その為、内勤の例繰り方(書記?)に配属され30年。この手のいわば窓際族を主人公にする作品は時々見ますが、紋蔵のキャラクターは一味違います。普通、ちょっと斜めに構えていたり、内・外で違う顔を見せる事が多いのですが、紋蔵はそういった境涯にもかかわらず正面を向いて、堂々としています。剣もそこそこ使え、抜刀シーンはありませんが、迫力で相手を追い切ったりします。なかなか良いキャラクターです。
回りの人物も良く描けています。佐藤雅美さんは3冊目。これまで2編は長編で、どちらかと言うとやや重苦しい印象が強かったのですが、この作品は心地よい重さで仕上がっています。続編も有るようなので是非読んでみたいともいます
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物書同心居眠り紋蔵の第一巻
お奉行さま
不思議な手紙
出雲の神さま
泣かねえ紋蔵
女敵持ち
浮気の後始末
浜爺の水茶屋
おもかげ
第一巻だというのに、登場人物の説明や生い立ちらしいものがなく、他の紋蔵シリーズ同様に普通の日常からスタートするのに驚いた。こうやってシリーズものが始まるとは、らしいと言ったららしい。
相変わらず、主人公の紋蔵は派手な活躍をしない。むしろ失敗や思い違いをして仲間同心から怒られたりする。サラリーマンらしく上司にも刃向かわない。
1番のお気に入りは「不思議な手紙」
珍しく付け届けを持った客人が訪れ、謝礼を当て込んで仲裁に立ち、首尾よく事が運んだのに客人は謝礼を持って来ない。調べると客人は藩の金を使い込み逃走していた。ただ働きをさせられたことを忘れた頃、使い込み客人から謝罪の手紙が届き、不思議な手紙だと紋蔵が空を見上げて、この物語が終わる。
可笑しな話で、騙されてタダ働きさせられて、忘れた頃に騙した本人から、また騙すような手紙が届く。本人はまだ騙したことがバレてないと思っているオメデタさが可笑しい。でも、この不思議で意外と現実でもありそうな物語がとても気に入った。 -
少し前に買っていてなかなか読めなかったのだけど、
読み始めたらすっと読み終わった。
もう少し突っ込んでも良いかなって思ったんだけど、顛末はこんな風で良かったのかもしれない。
現代にも通じる事件ばかりで^^;
面白かった。 -
ほろ苦い笑いが浮かぶ。世間は世知辛いねぇ。