- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062636124
作品紹介・あらすじ
人口百万を数え、近世では世界最大の都市といえる江戸。膨大な日常消費は草の根レベルの活発なリサイクルで支えられていた。藁、竹、灰、みな太陽エネルギーの有効利用でよみがえる。現代では忘れられ、失われてしまった江戸庶民の合理的でムダのない暮らしの知恵を描いた「大江戸事情」シリーズ第四作。
感想・レビュー・書評
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持続可能な社会のお手本は、日本である。もちろん、持続可能な社会を手放しで推奨できる体では、僕らはなくなってしまったけれど、世界が本気で持続可能な社会を目指すなら、江戸文化を輸出すべき。
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人口100万人以上と推定され、当時世界有数の大都市だった江戸。
それほど大勢の人が集まりながら、同時代のパリやウィーンが屎尿タレ流し・汚臭たちこめまくりの汚都市だったのに比べ、ごみや糞便臭はほとんどなかったという。
なぜか?
それは、江戸人のリサイクル意識が発達していたから。
もちろん、彼らが「リサイクル意識」を持っていたわけではなく、手に入るものを徹底して使い切る生活をしていただけのことである。
例えば照明、燃料、服飾素材、肥料(糞便である。それも農民が我先に調達しに来る“売り手市場”だったという)…いずれも過去数億年蓄積された化石燃料を100年かそこらで燃やし尽くすような営みではなく、1年、長くても2年太陽の恵みを受けた植物から調達され、しかもほとんど棄てるところなく徹底して使われた。
経済成長はほとんどなかったが、自然破壊もなく資源枯渇の心配もなかった。
今と比べて不便で貧しかったかも知れないが、なんと豊かなことよ。そういう本である。
ただ、筆者も指摘することだが、そんな安静な生活を羨ましいと思ったとしても、今さら我々はその頃の生活に戻ることはできない。石油資源などが本当に枯渇しちゃったり、大災害や人間の生物学的限界(ここ100年余の環境変化に人間は適応できていないらしいですぜ)、経済の大変動などがあって、否応なくそうせざるを得なくならない限りは。
せいぜい、もっとムダを出さないようにしましょうよみなさん…という素朴な感想が残るのみである。 -
あらゆる植物を利用していた江戸時代の生活が詳しくまとめられている。
那珂川沿いの乾燥した平野では、綿が栽培された。木綿が普及する前、庶民向けには大麻、藤、楮、葛、シナノキなどの丈夫な繊維が使われ、上等の衣服にはしなやかな苧麻が使われた。
武蔵野の原生林が消えて、ススキの原になったのは、古代から焼畑農業と牧経営のために火入れが繰り返されてきたため。
13世紀末か14世紀初め頃の絵に揚水水車があるが、動力として使われるようになったのは江戸時代中頃からで、大部分は精米用だった。19世紀になってから上掛け水車が記録されている。茨城の大子の粉こんにゃくの製造、日光の線香製造、高野山の豆乳製造に水車が使われた。 -
洗練の極致に達した、持続可能な文化だった。
何も増えず減らず、
廃棄物も、大気や水の汚染もほとんど発生しない。
筆者の文章が、すごくスパイス効いています。
おいしい、いや面白いです(笑)。
説明は細やかです。※ -
江戸時代のリサイクルの仕組みに驚嘆しました。
この生活は私にはとても勤まらにけど、
できることはしたいなと思いました。
手間をかけるって素敵だなと思いました。 -
図書館 借
昔の日本はすごい!
江戸時代って、地球にも人間にも良いピークの時代だったのかも? -
前から気になっていた「大江戸シリーズ」をようやく読みました。期待よりも良かったです。「本当の循環型社会は、前年の太陽エネルギーのみで生活する」ということが、江戸時代の具体例とともに分かりやすく書いてあります。