インド三国志 (講談社文庫 ち 1-56)

著者 :
  • 講談社
3.27
  • (3)
  • (13)
  • (24)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 140
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062636896

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本では貴重な、近世のインドを舞台にした歴史小説。
    インド亜大陸の大半を支配するムガル帝国の6代皇帝アウラングゼーブ、後にムガル帝国を脅かすインドの土着勢力マラーター同盟の創始者シヴァージー、そしてフランスやイギリスといった西洋帝国主義の尖兵、東インド会社を興亡を描いている。

    上記3勢力を中心に諸勢力が権謀術数や戦争を繰り広げる描写はまさに三国志といったところ。
    この時代のインドに興味がある方や、群雄割拠ものが好きな方は楽しめる一冊だと思います。

    また、上記の三勢力以外にも、ムガル帝国とは持ちつ持たれつ、時には帝国に反旗を翻すラージプートやアフガニスタン諸族なども登場するが、マラーター同盟も含めこういった諸勢力の描写が、イギリス支配という形で統一される以前のインドのバラバラぶりが垣間見え興味深かった。
    (現代のインドはある種、EUより先んじて複数国家の統合を果たしたという考え方もあるようだが、統一前の多国家感を感じた。)

    惜しむらくは本作の最終章を「最終章兼序章」と題しながら、続きが描かれなかったことか、、、
    (続き読みたかった!)

  • 「三国志」とついているので、古代インドの英雄の攻防か?と思って読んで見れば、比較的歴史の新しいムガル帝国の事を書いた本。ムガル帝国といえば、アクバル大帝やタージマハルを作ったシャー・ジャハーンが有名ですが、シャー・ジャハーンの帝国最盛期後、イギリスの植民地化されるまでが結構短期間なのが不思議だったのですが、本著はその疑問を埋めてくれます。
    「三国」の三者はシャー・ジャハーンの次の皇帝アウラングゼーブ、マラーター族、東インド会社。イスラム至上のアウラングゼーブが帝国内にマラーター族のような敵をつくり、不要な内戦を引き起こし国力を弱めた事と東インド会社の台頭が、急速にムガル帝国の衰退を招きます。…というところで何故か本著は終わってしまいます。続編書くべきだがやめたらしい。何とも中途半端。これだから陳瞬臣は嫌いだ。

  • 何の心境の変化があったのか、
    戦争ものの本を読んだ感想が違ってきます。

    戦争はやはり無くならないのだろうかという気持ちはぬぐえない。

    ちょっと悲しい気持ちになりますね。

    戦争を起こすのも、戦争が無くなるのも宗教の意味合いは大きいのかなと思います。

    いったい、戦争は何を求めているのでしょうか。

    だれもが専守防衛となれば戦争は起こらないとおもうのですが、

    裏切りものが誰かでる。

    攻撃してくるのだと気づけば前もって叩くとなるわけですわな。

    疑心暗鬼の世界ともいえる。

    誰もが利己的です。

    私だって自分勝手ですが、

    戦争を起こさない方が利益が多いと思うのです。

    戦争を起こす人は戦争が起きたほうが利益が多いと思っているのでしょうね。

    道徳的に、戦争はいけないのだ、人を殺す事なんてもってのほか
    だと
    おもうのですが、

    その面だけでなく、
    戦争を起こさないほうが、得ですよ
    なんて言い方もありなんじゃないかな。

    なんでも損得ってのもねー、ですが。

  • 「董卓が部下の呂布に殺されたあたり」で終わってしまっているのが残念。イスラム教スンニ派皇帝に対する、自分の帝国をせっせと弱体化させた、という評価は正しいのだろうが物悲しい。狂信者はろくな事をしない。

  • アウラングゼーブ、シヴァーシー、東インド会社を取り上げた物語。

    アウラングゼーブは敬虔なスンニ派すぎて、自分の帝国を滅ぼしてしまう。
    ムガル帝国の王の継承は長兄相続でもなく、統治してる王の指名でもなく、子供どうしの戦いによってきまった。
    シャージャハーンは生きてるときから幽閉されちゃったんだよーー。かわいそう。ずっとムムターズ=マハルのことを思ってたんだろうなーー。

    2代フユマーンは大のアヘン好き。デリーにあるフユマーン廟は世界遺産にもなってるよ。
    3代アクバルは、イスラーム教とヒンドゥー教の争いが嫌だったじゃら、「アクバル教」を作ったりした(笑

    けっこう勉強になった小説でした。

著者プロフィール

1924年-2015年。神戸市生まれ。大阪外国語大学印度語部を卒業し、終戦まで同校西南亜細亜語研究所助手を務める。61年、『枯草の根』によって江戸川乱歩賞を受賞し、作家活動に入る。その後、93年、朝日賞、95年には日本芸術院賞を受賞する。主な著書に『青玉獅子香炉』(直木賞)、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』(日本推理作家協会賞)、『実録アヘン戦争』(毎日出版文化賞)、『敦煌の旅』(大佛次郎賞)、『茶事遍路』(読売文学賞)、『諸葛孔明』(吉川英治文学賞)、『中国の歴史』(全15巻)などがある。

「2018年 『方壺園 ミステリ短篇傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

陳舜臣の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
コナン ドイル
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×