- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062636896
感想・レビュー・書評
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日本では貴重な、近世のインドを舞台にした歴史小説。
インド亜大陸の大半を支配するムガル帝国の6代皇帝アウラングゼーブ、後にムガル帝国を脅かすインドの土着勢力マラーター同盟の創始者シヴァージー、そしてフランスやイギリスといった西洋帝国主義の尖兵、東インド会社を興亡を描いている。
上記3勢力を中心に諸勢力が権謀術数や戦争を繰り広げる描写はまさに三国志といったところ。
この時代のインドに興味がある方や、群雄割拠ものが好きな方は楽しめる一冊だと思います。
また、上記の三勢力以外にも、ムガル帝国とは持ちつ持たれつ、時には帝国に反旗を翻すラージプートやアフガニスタン諸族なども登場するが、マラーター同盟も含めこういった諸勢力の描写が、イギリス支配という形で統一される以前のインドのバラバラぶりが垣間見え興味深かった。
(現代のインドはある種、EUより先んじて複数国家の統合を果たしたという考え方もあるようだが、統一前の多国家感を感じた。)
惜しむらくは本作の最終章を「最終章兼序章」と題しながら、続きが描かれなかったことか、、、
(続き読みたかった!)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何の心境の変化があったのか、
戦争ものの本を読んだ感想が違ってきます。
戦争はやはり無くならないのだろうかという気持ちはぬぐえない。
ちょっと悲しい気持ちになりますね。
戦争を起こすのも、戦争が無くなるのも宗教の意味合いは大きいのかなと思います。
いったい、戦争は何を求めているのでしょうか。
だれもが専守防衛となれば戦争は起こらないとおもうのですが、
裏切りものが誰かでる。
攻撃してくるのだと気づけば前もって叩くとなるわけですわな。
疑心暗鬼の世界ともいえる。
誰もが利己的です。
私だって自分勝手ですが、
戦争を起こさない方が利益が多いと思うのです。
戦争を起こす人は戦争が起きたほうが利益が多いと思っているのでしょうね。
道徳的に、戦争はいけないのだ、人を殺す事なんてもってのほか
だと
おもうのですが、
その面だけでなく、
戦争を起こさないほうが、得ですよ
なんて言い方もありなんじゃないかな。
なんでも損得ってのもねー、ですが。 -
「董卓が部下の呂布に殺されたあたり」で終わってしまっているのが残念。イスラム教スンニ派皇帝に対する、自分の帝国をせっせと弱体化させた、という評価は正しいのだろうが物悲しい。狂信者はろくな事をしない。
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アウラングゼーブ、シヴァーシー、東インド会社を取り上げた物語。
アウラングゼーブは敬虔なスンニ派すぎて、自分の帝国を滅ぼしてしまう。
ムガル帝国の王の継承は長兄相続でもなく、統治してる王の指名でもなく、子供どうしの戦いによってきまった。
シャージャハーンは生きてるときから幽閉されちゃったんだよーー。かわいそう。ずっとムムターズ=マハルのことを思ってたんだろうなーー。
2代フユマーンは大のアヘン好き。デリーにあるフユマーン廟は世界遺産にもなってるよ。
3代アクバルは、イスラーム教とヒンドゥー教の争いが嫌だったじゃら、「アクバル教」を作ったりした(笑
けっこう勉強になった小説でした。