線路のない時刻表 全線開通版 (講談社文庫 み 37-3)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062637213

感想・レビュー・書評

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  • 再読。全線開通版は初めてかな?初版から三十年近くになるわけで、状況の変化は多々ある。中でもある鉄道のその後を考えると胸が痛む。そして今でもマイレールたることに。

    処分日2014/09/20

  • 国鉄再建の混乱の中で建設が凍結され、開通見込みが立たなくなった新線の沿線紀行。宮脇氏の数ある紀行文の中でも、社会派色のとりわけ強い傑作です。

    誰のために、何のために鉄道は敷かれ、そして廃棄されていくのか。いつも通りの淡々とした筆致ながらも、鋭い問題提起を放つ1作。
    「いいんですよ。もうやることないんですから」
    「またひと仕事や」
    現地の諦観と憤怒がリアルに伝わってきます。

    原著は1986年刊行。97年の宿毛線を最後に、取り上げた路線全てが日の目を見たことから「全線開通版」として加筆・再発売されました。
    加筆部分の描写はいまひとつですが、本書は刊行されたことそのものに意義があると思います。水子供養のつもりが杞憂に終わったわけで、めでたい限りです。

  • 宮脇俊三は鉄道に対する愛だけでなく,鉄道に関わる人たちへの愛情を持っていることが感じられる。

  • 実は、この本の旧版を十数年前に読んだことがありまして、
    その本は、ほとんど完成しながら、工事が中断されたローカル線や、当時工事中の青函トンネル・瀬戸大橋のレポートでした(だから「線路のない…」)。
    それから数年後
    「全線開通版」は、そのレポートしたすべての線が第3セクターなどで開通したことから、
    その開通後の状況をくわえたもの。
    著者の想像がどう実現したのか…。

    当初一般雑誌向けに書かれたものなので、
    とても読みやすい本でした。

  • 収録されているのは七線区。開通の見込みの高い場所ばかり選んで回っていたので現在は線路も時刻表も存在する。 奮闘していた三陸を除いてだが。いま読み返すと津波に関する記述がたくさんある。田老町の堤防の話が全国的にさらに有名になってしましたのが悲しい。先日再建が厳しいという新聞記事を目にした。一旦は中止した工事を再開させてまで開通させた苦労がこの本を読むとよく伝わってきた。

  • 私が子供のころはまだ国鉄で、JRと言う名称に変わった頃変な名前になったな、なんて思ったぐらいでした。その頃労働者の問題をどうする、とニュースでみた覚えはありますが漠然とした記憶でしかありません。

    この本を読んでなるほど採算の取れない赤字線は第三セクターが運営することにより何とか生き残って来たんだな、と言うことがよくわかりました。その地域に住んでいる方にとっては死活問題なのにわりと頻繁に電車が通っている所に住んでいる身としては他人事になっていたなあと思いました。

    とりあえず久留里線は乗ったから今度は夷隅鉄道に乗りに行きたい!といつから言っているだろう。いやいや、今年こそは!!

  • 05/03/12読了

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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