パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062637251

作品紹介・あらすじ

親友の恋人は、かつて自分が一目惚れした女性だった。嫉妬に苦しむ敦賀崇史。ところがある日の朝、目を覚ますと、彼女は自分の恋人として隣にいた。混乱する崇史。どちらが現実なのか? ――存在する二つの「世界」と、消えない二つの「記憶」。交わることのない世界の中で、恋と友情は翻弄されていく。

感想・レビュー・書評

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  • 記憶とはおかしなもの
    で、

    あれこれと脚色が織り
    込まれ思い出すたびに
    景色が変わりますが、

    それは再生するたびに
    脳が内容を再構築する
    からなんだそうです。

    いやいや俺の記憶力を
    なめてもらっちゃ困る、
    という諸兄に申し入れ。

    いろいろ鬱憤を溜めて
    それを晴らすべく、

    くどくど愚痴をこぼす
    くらいなら、

    良い意味でその記憶を
    改ざんしてサッパリと

    男らしくしていた方が
    断然いいです。

    本書に登場する男性陣
    のように。

  • 『パラレルワールド・ラブストーリー』東野圭吾さん

    まとまった休暇があれば、読書棚の1冊に東野圭吾さんが並ぶという好きな作家さんのおひとりです。
    1998年作、20年以上前の小説を手にとりました。

    【物語】
    外資系医療研究機関に勤める男性Aとその同僚B。A、Bは学生時代からの友人関係である。Aには恋人がいます。
    Bは、その恋人を紹介されたときに、一つの記憶と結びつきます。
    いつもの通勤電車のなかで、すれ違っていた女性だと・・・。

    【パラレルワールド】
    今現在の物語・世界。
    次の瞬間にすべては過去・記憶の世界。
    現在と過去は、脳を通じて記憶、そう認識でつながっているという世界です。

    人の記憶は本人が作り出すもので、外部からのコントロール・介入は不可能と考えられています。

    物語は、この人間の記憶をテーマに一石を投じます。

    【読み終えて】
    自身の記憶から消したい内容。

    もし、それが医学的に可能で、さらにリーズナブルならば、あなたは、私は、その記憶を消しますか?

    そして、その消したあとの世界と私、あなたは何に違和感を感じる可能性があるのでしょうか?

    ・大切なもの、大切なひと、そして大切な記憶。

    利己主義と利他主義。
    1,ゼロではなく、個人そして世界ともにそのバランスなのかも・・・と思えるラスト・シーンでした。

  • タイトルから恋愛小説ものかなと思ったらそうでもなく。
    人間の記憶を操作する事が基となるSF小説でした。
    各登場人物が様々なシーンで立場を変えて。
    まさにパラレルワールドの中の人間模様といったかたち。
    物語が進むにつれ結末はどうなるんだろうと思ったけど。
    結局彼らはどうなってしまったんでしょう?

  • ハラハラドキドキ
    2つの世界のどちらが現実なのかと考えながら読みました
    徐々に読んでいる側も2つの世界が混ざってくる感じがして、小説でしか味わえない感覚だった

    結末に近くなると真相がわかってきて、「あぁ、そういう感じか、、」ってなりましたが
    面白かったです


  • 題名から、2つのラブストーリーがファンタジーのように交差して♡などと予想してたのに、冒頭から全く違う趣きだった。

    《○章》とその中の【SCENE○】で内容がズレながら話は進んでいく。
    私の頭まで混乱していくので、メモをとりながらも結末が気になって止まらなかった。

    人の記憶はあてになるのか? 年月を経て、都合よく記憶が書き換えられることは誰でもある。

    男の友情と恋人との比重、SF科学ミステリーは面白かった。
    男性は、東野圭吾氏の描く麻由子は、魅力的できっと許せるのね。私は異議を唱えたい(笑)

  • 久しぶりの東野さん作品。

    読み始めて数ページ...あれ?知ってるお話?
    あ...映画観たんだった‼︎

    映画あんまり印象に残って無かった(・_・;
    何書いてもネタバレしそうなので...

    映像化したものより面白かったです。

  • 『パラレルワールド(parallel world)とは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。並行世界、並行宇宙、並行時空ともいう。』
    by.Wikipedia




    電車でずっとこの本を読んでいた。
    あともう少しで真相が分かる、といったところで最寄り駅に着いた。
    私は渋々本を閉じて駅のホームに降り、改札に向かった。
    その途中、ホームにあるベンチが目に入った。
    電車が行ってしまったばかりだったのと、夕方だったせいもあってか誰も座っていなかった。
    「本の続きが気になって仕方がないけれど、早くおうちに帰りたいので帰ろう(?)」
    と、思いながら私はゆっくりとベンチに腰を下ろして結局最後まで読み進めてしまいましたとさ(^q^)チャンチャン


    そのくらい、物語に没頭してしまった。

    本作は、私が初めて読んだ東野圭吾著作品となったわけだが、「東野圭吾さんってこんな物語書くんだなー」と思った。
    また、この作品は1995年に書かれたものだということに衝撃を受けた。
    古臭い感じは全くないし、むしろ真新しい印象だ。


    もうすぐ映画化されたものが公開されるが、この膨大な情報量と、似ているようで似ていない二つの世界を108分の中にどう収めるのか、気になるところだ。


    本作を読み終えた時、真っ先に思ったのは「玉森さんがこれをやるのか」ということ。

    もちろん、これは悪い意味ではない。

    本作での台詞やシーンを玉森さんがやると思うと非常に心がぴょんぴょんする、という意味だ。←
    ましてや私は昔から玉森さんを応援している人間なので、むしろ非常に楽しみにしている。特にベッドs(ry



    さて、そろそろ本の感想にいこう。



    …と、その前に。



    ネタバレをされたくない人は、これより先は読まないことをおすすめする。

    普段の他作の感想もそこそこというかわりとネタバレになってしまっているわけだが、今回ばかりはネタバレをすると映画を観に行く人たちに怒られそうなので…。
    (「ネタバレをしないで感想を書く」という語彙力と文章構成力が私には無い。)




    ……。



    忠告したからな!?!?





    ではでは。





    本作で登場する「バイテック社」は、家庭用PCからソフト開発までを手がける総合コンピュータメーカーだ。
    そしてそのバイテック社により、最先端技術の研究と社員の英才教育を目的として作られた専門学校が「MAC技科専門学校」である。

    …この、とりあえずなんかとっても頭が良さそうな専門学校に通っているのが物語の主人公くん(崇史)。
    多分玉森さんがやる役。
    で、その同じ学校に通う親友(智彦)。
    そして、その親友・智彦の彼女(麻由子)。



    崇史は、親友の彼女である麻由子に一目惚れをする。



    ある路線同士が、ある瞬間だけ並走して走る瞬間があるという話から物語は始まり、パラレルワールドについて上手く話が流れていく。私を物語へ引き込んだ冒頭だ。


    崇史の中にある「二つの世界」と「二つの記憶」

    一つは、『自分の好きな人である麻由子が、智彦の彼女である世界。』
    もう一つは、『麻由子が自分の恋人である世界。』

    どちらも本当のようで、どちらも嘘のように感じる。
    信じたいけど信じたくない。
    そして混乱する崇史を襲う嫉妬と、不安と、自責の感情。


    多分、誰にでもあるのではないだろうか。
    その人より自分の方が優れているとか、無意識に思ってしまっている時。
    それは勉強だったり、運動だったり、恋愛だったり。
    別にそう思うことが犯罪だとかそういうことはないし、自信とかそういうのって結局人と比べないとつかないものだと個人的には思うから仕方がない。

    崇史も、親友である智彦のことを実はどこかでそういう風に見ていて。


    なんであいつなんだ、と。

    彼女を奪ってしまいたい、彼女が自分以外の男とどうにかなるのは嫌だ、彼女を誰にも渡したくない、でも彼女は付き合っている、自分の親友と。


    崇史が麻由子に抱いてしまった気持ちも、麻由子を愛するが故に智彦を恨めしく思う気持ちも、親友の恋人を好きになってしまった自分への罪悪感も、よく分かる。


    「麻由子のことを好きにさえならなければ」
    「麻由子が智彦の恋人でさえなければ」

    多分、全ての始まりはそこだと私は思っていて、それらさえなければこんなことは起きていなかったはずである。
    もちろん、意思を持った上での行動を制御するという意味ではもっといい選択ができたんじゃないの?と思う場面もあったわけだが…。

    ただ、人を好きになる瞬間など誰も決められるはずもなく。
    全ての原因を突き詰めて行った時、誰が悪いのかとか、そういう問題ではなくなってくるのが本作の気持ち悪いところだ。(褒めてる)


    人の恋愛に関する嫉妬は時に友情をも壊す。

    本当に、恋愛になると周りがどうでも良くなるというか、好きな人を手に入れるためならなんだってするみたいな考え方をする人っているんですよ。
    私も昔そういう人のせいで面倒に巻き込まれたことがありましてね、その人はもう忘れてると思うけど私は未だに軽くトラウマだし根に持っているわけですゴミ人間なので()


    …はい。
    毎度のことですが私の話はどうでもいいね。





    とにかく、
    本作は恋愛の嫉妬と友情が悲しいほど複雑に絡み合っている。

    こっちの世界では…って感じで書かれているわけではないので、今はどっちの世界の描写なんだと混乱することがあるかもしれませんが、頭をよく使って読み進めるとよいかと。

    相変わらずまとまりのない文章だけど、語彙力のない一言でまとめると、"面白い話" でした( ˇωˇ )




    ふと、疑問に思う。

    「恋愛と友情、どちらを取るか」と言われたら、
    皆さんは、自分は、果たしてどちらをとるのだろうか。

  • 最後の展開は想像できなかった。
    親友と恋人を同時に失う智彦の決断は切なかった。

  • 山手線と京浜東北線、平行して走る二つの空間。
    パラレルワールド。
    いきなりワクワクする書き出し。
    何が本当で何が空想なのか。
    人間の記憶とは、なんて曖昧なんだろうと思う。
    ドキドキするミステリーでありながら、切ないラブストーリー。
    三角関係の男二人は感情が剥き出しなのに対し、彼女はどこか煮えきらず、すっきりしない存在かな。
    でも面白かったです。

  • 親友・智也の恋人は、かつて崇史が一目惚れをした女性・麻由子だった…

    記憶改編。バイテックで開発が進められるリアリティ工学。記憶改編システムの開発を進める智也と麻由子。

    智也と麻由子に強い嫉妬を覚える崇史…
    気づくと麻由子は崇史の恋人だった…

    『パラレルワールド』、何かの衝撃で2つの世界が生まれ、その中でラブストーリーが…と、思っていたが…
    もっと軽いイメージだったが…

    意図的に記憶を改編…
    記憶改編により作り出された『パラレルワールド』。
    記憶の改編、何か重い…
    どちらが真実なのか…

    嫌な思い出、辛い思い出を消し去りたいというのは、人間の願望だろう。
    実際、子どもの頃や若い頃の楽しかった記憶は、より楽しく、書き換えられたり。
    一部の妄想が、記憶の一部になっていたりするかもしれない…

    麻由子への想いに悩む崇史。
    が、崇史は時々思い浮かぶ別の記憶に悩まされる…
    どちらが真実なのか…
    足が不自由で、引っ込み思案な親友・智彦にようやくできた彼女。その彼女が一目惚れした麻由子。
    友情と麻由子への想い、どちらを優先するべきか…

    結局、3人は記憶を…

    智也や篠崎は目覚めるのかが気になる…

    結局、記憶改編システムは何かの役に立つのだろうか…
    何か悪用されるイメージしか湧かない…

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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