異邦の騎士 改訂完全版

著者 :
  • 講談社
3.96
  • (503)
  • (375)
  • (484)
  • (34)
  • (2)
本棚登録 : 3005
レビュー : 387
  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062637701

作品紹介・あらすじ

失われた過去の記憶が浮かびあがり男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活にしのび寄る新たな魔の手。名探偵御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリ『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆修整した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 流石に改訂完全版とは云え、3回目ともなると初めて読んだ時の感動、衝撃は薄められて胸に飛び込んでくる。しかし、何度読んでも胸に残るものは確かに、在る。

    今回特に想ったのは、人を計算された駒のように扱う本格に対し、島田氏なりにアンチテーゼを示したかったのではないかという事。それは石岡が御手洗から真相を明かされても頑なに否定した一節に表れているように思える。

    女(ひと)が男(ひと)を愛した、その本統の気持ちは計算などでは生まれない黄金でありたい。

  • 順番通りに読んで本当に良かったと思える作品。
    1冊の本としても、御手洗シリーズとしてみても大好きです。

  • 絶対に順番に読んでください…

    裏表紙のあらすじでネタバレしすぎじゃないんですか?!って思って読み始めたけどまったくそんなことなかった

    ラストまで読むとあ~っ!ってなること請け合い、こんなん愛じゃんね…

    御手洗あなた…そんな…

  • スピード感のある小説が読みたいと思い、久々に手に取った島田荘司作品。
    「斜め屋敷の犯罪」、「占星術殺人事件」に続き読んだ本。
    名探偵、御手洗潔シリーズの最初の事件を描いた作品。

    主人公が記憶を無くした状態から冒頭のシーンがスタートする。
    主人公は状況に戸惑いながらも、なりゆきで独り身の女性、石川良子と一緒に暮らすことになる。
    彼女との生活の中で、新たな幸せを見つけていく主人公。

    しかし主人公はある日、石川良子が押入れに隠していた自分の免許証を見つける。
    「なぜ彼女が自分の免許証を持っているのか?」疑問を辿る中で、彼は少しづつ記憶を取り戻していく。
    そして主人公は、前の妻と娘を自らの手で殺したような記憶が蘇ってくる。
    その記憶が真実なのかを確かめるため、彼は自らが住んでいた場所に向かう。
    果たして主人公の過去には、どんな秘密が隠されているのか…

    先の展開が気になり、一気に読んでしまった。
    いやー、もう圧倒的に面白い。
    「さすが島田荘司だ」と納得せざるを得ない、これが約30年前に書かれたということが全くもって信じられない。
    ミステリーというジャンルにも関わらず、ストーリーに古さを感じない、それどころか未だにここまで作り込まれた作品を自分は見たことがない。

    主人公が日記を見て記憶を取り戻すシーン、同じ目線で完全に騙されました…
    最後のオチまで、全く予想できず。
    気持ちよく騙され、伏線もすべて気持ちよく回収され…
    やはりミステリーでは最高峰だと思う。
    とにかく、「よく出来ている」の一言に尽きる。

    御手洗さんの登場シーンが少ないので、いつもほど御手洗節が炸裂しないのは少し残念…

    <印象に残った言葉>
    ・ 名前というものは記号にすぎません!(P75 御手洗)

    ・クイズは、作るより解く方が何倍もやさしいんだ。作るよりも解き方が才能を要するなんてパズルはあり得ない。もしあったとすれば、それは偶然の産物、大いに偶然が手助けしているはずだ。だからね、古今東西、巧妙な犯罪や事件に真の芸術家がいるとすれば、それはホームズやポアロなんてやからじゃなく、その犯罪を計画し、実行した勇気ある犯人たちだよ。それなのに昔から、犯人の尻を追っかけてめいっぱいもたもたしたあげく、やっと謎を解いたような連中が天才だ偉人だともてはやされる。これが道徳的配慮でなくてなんなんだろう。(P152)

  • まさか主人公が彼だとは思わず、全く情報が無いまま読んだ本だったので、最高に楽しめた。

    記憶喪失から始まるストーリーも展開が早くて全く飽きさせず、常に一体何が起こるんだ!?これからどうなるんだ!?の期待が消えることが無い。

    幸せな結末ではなかったが、とても引き込まれる話だった。御手洗シリーズでは、私的には一番好きかもしれない。今のところ。。。
    他の作品ももっと読んでみたい。

  • ミステリーそのものよりも主人公が置かれた特殊な境遇やリアルな恋愛模様、それから御手洗との友情を楽しみながら読むことができた。わりと序盤のほうからあれ?もしかしてこの人…と思っていたけれど、最後の最後に正体がわかった時は手足が痺れるほどの衝撃を受けた。これですっかり御手洗シリーズの虜になってしまった!鏡恐怖症や良子の自棄行為には首をかしげるものの、そんな野暮な違和感など押し流してしまう程の感動がある。“知恵遅れの弟がいるとお金がかかる”のところは解せないけれど、そういう時代だったのだと解釈した。

  • 一時期著者の新刊が出る度に内容も確認せず即買いしていました 周りにも勧め何人も島田荘司中毒に^_^
    この作品は一番好きな作品です ミステリーとしても恋愛小説としても最高傑作だと思います ミステリーは一度読むとその後あまり読み返す事は普通ありませんが、この作品は何度読んでも感動します 特にヒヨコのおもちゃの場面で

  • そうきたかのどんでん返しが二回。
    途中途中違和感はありながらも、
    最後にはすっきり。

    ハッピーエンドではないし、
    明るい部分は少ない話だけど
    暗くなりすぎないのはやはり
    御手洗のキャラクターあってこそ。

    変だけど憎めない、
    そしてこの物語に欠かせない人物だった。

  • 人は、大義名分あればなんでもしてしまう

    少しずつ読みば読むほど手が止まらなくなり夢中になってあっという間に読み終わった一冊
    御手洗潔シリーズを占星術殺人事件から1冊ずつ順番に読んできたのは正解だった
    これを読むなら多くの人と同じように
    私もやはり、1冊目の占星術殺人事件から読むことをオススメしたい

  • ある男は公園で目が覚めると一切の記憶を失っていた。あたりをうろつくうちに石川良子に出会い、互いに惹かれ、同棲することになる。男は石川敬介と名乗り良子と幸せな生活を送っていたが、一方では記憶がなくなる前の生活を気にしていた。誰かに相談しようと、偶然見かけた占星学教室の看板のもとへ行き、御手洗と出会う。変人同士話があったため、良子との近況も含め、様々なことを相談する仲になっていた最中、敬介は自分の免許証を良子のタンスから見つけ、過去の自分の住所を知る(良子は敬介が記憶を取り戻すことで敬介に捨てられたくなかった)。
    自分が住んでいた場所に行くとノートがしまってあり、かつて自分に妻と幼い娘がいたことが分かった。そして、その家族は井原と山内という裏世界の住人に金を騙し取られて殺されたことを知り、その憤りから山内を殺し、井原を殺害しようとしていたことを思い出し、井原を殺害する最中に手下に襲撃されて記憶を失ったものと想像した。愛する人を奪われた恨みを果たすべく、敬介は再び井原を襲撃しようとしたが、それを阻止しようとした良子を刺してしまう。それだけでなく、井原の邸宅前で待機していた御手洗と出会う。
    訳が分からず自暴自棄になっている敬介に御手洗は次のような真相を述べた。すなわち、敬介が記憶喪失になったのは確かであるが、それは交通事故によるもので、また、思い起こしたと考えていた記憶はでたらめであるということである。敬介は、かつての住所、家族構成、記憶すべてを免許証や日記などの書面によって思い起こしているが、この書面全てが良子とその家族に仕組まれていたものであって、良子らは井原の殺害だけを目的としていた。ただ、良子が敬介と暮らすにつれ、恋愛感情が芽生えたこと(すなわち、家族の企みに一部反抗した)は事実で、それゆえに事が複雑になっていたのであって、記憶全てはその家族によって意図的に作られたものであった。敬介は、良子が亡くなる前に残した封筒から、良子の敬介への恋慕と謝罪の念と敬介の本当の免許証を得ることで、壮絶な悲しみから救われた気になり、本当の名前である石岡和己として新たな人生を歩む決意をするのであった。

    御手洗潔と石岡和己がいかにして出会い、今後ともに難事件に挑んでいくことになるのかといういきさつが分かる作品であり、感動系の作品でもある。本格推理小説という要素には乏しく、与えられた条件の中での推理や作者との挑戦を楽しみたいという者にはおすすめできないが、島田荘司の作品における御手洗潔と石岡和己の関係を知るためには、本書が読まれるべきである。また、御手洗の推理には読者が想像しなかった結末が待っている点は他の作品と同じである。ところで、本書で登場する「どこかで釘を引き抜く音が聞こえた」(98、214頁等)の表現が何を意味するのか最後まで分からなかったことを付言しておく。

全387件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1948年広島生まれ。武蔵野美術大学卒。『占星術殺人事件』での衝撃的なデビューから現在まで日本ミステリー界の旗手として傑作を多数刊行。同時に新人の発掘にも力を尽くしている。現在その読者は世界に広がる。

「2020年 『改訂完全版 毒を売る女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島田荘司の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

異邦の騎士 改訂完全版を本棚に登録しているひと

ツイートする
×