完全無欠の名探偵 (講談社文庫)

  • 講談社 (1998年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (490ページ) / ISBN・EAN: 9784062637787

みんなの感想まとめ

複雑に絡み合った事件を解決する物語が展開される中、主人公の山吹みはるが持つ特異な能力が鍵となります。彼は気のいい大男であり、相手を饒舌にさせることで隠された真相に迫ります。このユニークな設定と土佐弁を...

感想・レビュー・書評

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  • 大財閥の総帥白鹿毛源衛門の孫娘りんの監視役として山吹みはるが高知の女子短大に送られる。この山吹みはるは2メートルの大男で、極めて気のいい男なのだが、相手を知らず知らずのうちに饒舌にしてしまう。喋りまくった後に自分自身で隠された真相に気付くというのだ。一種の超能力だ。この山吹みはると白鹿毛りんが、複雑に絡み合ったある事件を解決するというもの。複雑な関係も最後にはお互いにピタッとはまり込む。これにもちゃんと理由が用意してある。
    作者のデビュー第2作だそうだが、結構力作だ。使われている土佐弁も面白いし、みはるの人柄がいい。シリーズにしても面白かったかもしれない。後の神麻嗣子の超能力事件簿に繋がる作品だ。

  • ’21年3月11日、読了。

    西澤保彦さん、大好きですが…まあ、感想としては、「彼にしては…」という感じでした。ただ、デビュー2作目の作品だそうで…凄いですね。

    様々なエピソードのピースが、最後にピタッとハマる様は、流石!あとがきによると、若竹七海さん「僕のミステリな日常」に強く影響されての作品、らしいですが…。

    僕としては、青磁と朱華房子のその後、なんか気になるなぁ…。

  •  業師西澤保彦のこれは2作目なのだそう。幻想的なfragmentと現実的なscheneの各話を交互に綴る二面構成だが、白鹿毛りんが両方の主人公で探偵役なのだなとはすぐわかる。主内容である高知での現実編では狂言回し的なキーパーソンである山吹みはるの超能力によって隠されているべき事実が次々に読み手には明らかになり、全体の事件が解決に至る。と枝葉を刈り取れば単純な話なのだが、実際にはいずれも変わった名前の登場人物たちがメインの事件やら関係ない挿話やらのあちこちでからみあってややこしいことになっている。ミステリとして読めば主事件の謎や解決は大したものではないが、それより何より土佐弁で繰り広げられるドタバタ劇がなんといっても本作の魅力だろう。地元とはいえうまいものだ。

  •  タイトルからして、メタ的なミステリィかな、と思っていたのだけど、意外とちゃんとした(って言い方もあれだけど)ミステリィでした。ご都合的な部分も多々あったものの、それも含めて作品の味になっているのが巧い。物語としては陰鬱でどろっとしたものなのだけど、それをあまり感じさせない軽妙さで、とても読みやすかった。
     そしてなんと言っても、本作は土佐弁に尽きる。実際に聞いたことがあるわけではないのだけど、血肉の通った方言ってこういうもんだよな、と。ちょっと音で聞いてみたくなった。方言を文字で書き表すのってもの凄く難しいはずなのだけど、いやはや脱帽です。

  • 山吹みはる、彼を前にすると何故か脈絡もなく話をしたくなってしまう。そしてそれによって過去の事の真相に話した本人自身が気付いてしまうという、一風変わった探偵ミステリー。
    勿論、彼自身は自分のそんな不思議な能力に気付いていないし、会話をしている人が自分の過去に思考を走らせているとは思っていないところが面白いです。
    そしてそんな展開で果たしてストーリー展開は大丈夫なのかというと、みはるが派遣された原因でもある白鹿毛りんという大財閥の孫娘、彼女が鍵を握っていました。彼女もある“能力”を持っていてそれによってきちんと物語は進行していくのです。
     少女視点の“鳩の死骸”の話と白鹿毛りんが高知にとどまっている理由を探っていく話と並行して話は進んでいきます。
    登場人物の名前がまた個性的で読むのに難儀しました(苦笑)。

    いろいろと普通とは違うなぁと思いながらも、読み終わった時なるほどと思えたのだからミステリーとしてそこそこ楽しめたということです。

  • 特殊能力を持つ山吹みはる。彼を前にすると人は忘れていた些細な記憶を思い出す。
    その彼を取り巻く人々の記憶と現在の事件が絡み合う。

    登場人物が多い上に一風変わった名前だから、誰が誰か分からなくなること多々。
    あまりにも多くの謎がありすぎて、どう纏めるんだろうと思っていたが、綺麗に纏めていたので読み応えも十分。
    読みながらだいたいのことは予想できたが、満足のいく話だった。

  • 小さな輪が最終的に全てつながるというそんな話。
    一つ一つは大きな事件じゃないのですが
    つながった時はピリッとしました。

    タイトルが良いですね。

  • 訳の分からぬ“大がかりな”事件を調べるりんの元へ訪れた青年みはるは,人の心の奥にわだかまる不審事を当人に推理展開させ,真相を喋らせてしまう“超能力者”だった。みはるの周辺では,浮気,脅迫,殺人と様々な事件に潜む真相が,泉が湧くように顕わにされる。さて,りんの掴んだ“大がかり”な真相の連鎖とは。
    出会った人の話がちょっとずつ関連していて,最後に一気につながる。
    ストーリィはぜんぜん違うが京極堂シリーズのような展開。

  • ずっと積ん読してた本。かれこれ四、五年ぐらい?高知に行きたくなる本。
    ミステリとしてみると、小話がいくつもあって実は繋がってたって構成。登場人物が自分でサクサク謎解きしていくため、こちらが考えてる時間はそんなになかった印象。ただ本全体で扱われる事件に関しては、自分で謎解きできるのかも。フラグメントは必要なのかと戸惑ったが、解説によると必要らしいですね。

  •  予想しない方向性の名探偵。
     これは確かに完全無欠の名探偵だわw

  • 本作品における探偵役のみはるは自らは全く推理しない。みはると語る人物が勝手に自分で推理しながら謎を解くだけである。まさに触媒探偵と呼ぶべき存在である。SF的設定がしっかりしており、高知の方言を使ったりとユーモアにも富んでいる。ひとつひとつの謎は個別に解決しながらもそれらはみごとに結びついていき最後には解決すべき謎が解けていく構成もみごとである。おもしろかった。

  • この複雑な構成にして2作目なんですか。暗さはありますが設定といい構成といいおもしろい。みはるのキャラもいいですね。

  • ちょっとくどかったので中盤にだれた。ファンタジーにせず、SF設定にしたところが感心した。

  • 勝手にしゃべる
    実は生きてる

  •  「完全無欠の名探偵」とはどんな人か?この小説に出てくる探偵は、自分が探偵であるという自覚はない。事件の謎を自分が解いているとは夢にも思っていないし、目の前に謎があることすら気づいていなかったりする。彼はただ相手の話を聞いているだけだ。話を聞くだけで相手の潜在意識に働きかけ、無意識の中にしまい込んでいた記憶をよみがえらせ、結果的に、今まで誰にも気づかれなかった真相を暴くのである。というより、話をしている人が、勝手に真相に気づくのである。

     全体を通じて大きな事件がひとつある。そしてそれを物語る過程で、さまざまな小さな謎が提示され、解決される。たとえば、乗った飛行機で隣り合わせた無関係な人と話をしているうちに、昔の出来事が思い出され、語られ、なるほどそうだったのか、と真相が出てくるって感じである。この部分だけを取り出していけば、連作短編である。そういう小さな謎が、メインの事件と微妙に絡み合うあたりにもおもしろさがあるのだが。

     気をつけておきたいのは、そういう独特なスタイルの名探偵が、SFの枠組みの中で存在しているということである。つまり彼の能力は、文句なしの「超能力」としてとらえられているのだ。その部分のために、作者は小説そのものに構造的な仕掛けを組み込んである。最後にきて、「なかなか味なことをやるわい」と思えた。ただ、個人的にはこのテイストはあまり好きになれなかった。素直に、「ものすごい聞き上手」ってやってくれた方が気が利いているような気がする。主人公である名探偵に魅力があるだけに、超能力じゃなくて、能力にしてあげたかった。

     同じような「推理という名の解釈」は、その作者の得意とするところであり、僕も大好きである。同じ作者のタックシリーズでは、この作品に描かれている「青春の残酷さと美しさ」を受け継ぎながら、超能力の代わりに酒(を飲む場の独特の雰囲気)を活用している。僕にはそっちの方がいい。

     今「青春の残酷さと美しさ」なんてすごい言葉を使ったけど、考えてみれば、ここに描かれている犯人も被害者も、多くは残酷な人たちである。愛と性のどろどろしたところで生きているような感じがする。さわやかで、ちょっとユーモラスな文体で書いてあるからすっと読めるけど、ちょっと考えてしまうとやりきれなくなるような怖さがある。
    2009/5/25

  • 人の心にひっかかった謎をその人自身に推理解明させてしまう男が、金持ちじいさんの高知で就職した孫のもとに送りおまれる話。
    高知のお国言葉が出てきます。

    小さな事件が解とかれて、それがどんどん連鎖して、という話です。事件ひとつひとつが実はピースで、最終的に大きな絵ができあ

    がる感じ。つながる短編。
    人物がいまいち好きになれずにいたんですが、それでも楽しめました。おもしろいです。

  • 可愛い孫のために送り込まれた、どうやっても毒にも薬にもならなさそうな男。
    それが巻き起こす…というか、起きてる話、ですね。

    高知に着くまで、ついてからも続いていく人からの話。
    世間はせまい、と言いましょうか、すごい確率といいましょうか。
    小説ですから、で終わらせるには、本が分厚すぎます。
    むしろこうなってこうなるのか…という
    別の楽しみがちょっとあったりw

    最後の落ちがすごいです。
    三段階使用(笑)
    しかし、物語の狭間狭間に出てくる人物の謎も解決できましたが
    その説明をしてくれた人の謎が!!w
    これはもう、そんなものだとしておいた方がいいですね…。

  • 白鹿毛グループの総帥・白鹿毛源衛門は、高知に行って帰って来ない孫娘を溺愛していた。
    なんとか、孫娘のりんを東京の自宅に戻って来ないかと悩む日々が続いていた。
    源衛門は、運転手兼秘書の黒鶴に相談する。
    黒鶴が、提案したのは一人の男を高知のりんの就職先に潜入させる事を提案する。
    源衛門は、その男に会いその特殊な能力を実体験する。
    その男の名は、山吹みはる。
    警備員をしてる巨漢の男だった。
    人々は、彼が短い相槌を打つだけで、勝手に記憶の糸を手繰り隠された真相へと導かれる。

    山吹みはるは、りんの住む高知へと旅立つ。
    みはると接していく人々は、自分の中で燻っていた謎の真相にたどり着く。
    そして、一つ一つの話は、隠された大きな事件を暴き出す。
    りんが高知に残った理由とは?
    何もしないで謎を解き明かすみはるの活躍に乞うご期待?


    連作短編のような作りになっているミステリー?です。
    会話がほとんど高知弁。
    標準語の会話が少ないのが印象に残ります。
    殺人の動機、不倫に隠された秘密が一つの大きな事件に絡んでくる所は西澤さんらしい感じですね。
    もちろん、論理・理論でいく安楽椅子探偵物です。
    でも、ちょっと面白さがたりないような・・・。

  • 最後に能力がなくなるので、続編が期待できないのが残念…

  • その男に会うだけでどんな謎も解明する。

    その男に対峙するだけで……。

    全ての謎が自ら解明されるのだから。


    そんな完全無欠の名探偵の活躍?を描く西澤マジックここに!!

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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