本格ミステリー宣言 II ハイブリッド・ヴィーナス論 (講談社文庫)

  • 講談社 (1998年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784062638067

みんなの感想まとめ

テーマは、作家の営みとその難しさに焦点を当てています。前作への批判に対する誠実な反論から始まり、著者の不器用さや孤独な奮闘が描かれています。読者は、作家が自らの考えを広めることがいかに難しいかを実感し...

感想・レビュー・書評

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  • 前著である「本格ミステリー宣言」を読んでいませんが、積読になっていたものを取り出して読み始めました。

    とはいえ、大体の様子は本書で前作で巻き起こった批判や疑問への反論を試みているのでわかります。

    島田氏って、クソ真面目な作家だったんですね、ある意味、偏屈という表現の方がしっくりくるかもしれません。

    推理小説のさらなる興隆を目指しての提言のようですが、この体を張った提言が本当に文壇の為になっているのかは不明です。

    もちろん、有望な新人のために作品の加筆を手助けしたり、大御所がここまでやるの?という献身的な行為には頭が下がりますが、推理小説の作家の執筆動機って、基本はトリック次第だと思うんですが・・

    つまり、このトリックの内容如何で推理小説になったり、本格推理小説になったり、新本格推理小説になったりするような気がしてなりません。

    つまり、トリックの優劣がこうしたジャンル(あえて分類する必要性を感じませんが)を既に決定づけており、人物描写や時代背景やプロットの展開の甲乙はすべて作者の作家としての力量に依存しますが、それさえも作品の彩の一つに過ぎないのでは。

    私が推理小説に期待するものは、見事なトリック、謎解きの鮮やかさ、必然性のあるストーリー展開であり、もし、人物描写や時代背景が書き込まれてなければ作品として劣るのであれば、短編での推理小説は成立しえないことになります。(島田氏も大坪砂男「天狗」という超短編を賞賛しているので、この点では異論はありません)

    私の違和感は、そもそも幻想性だとか風俗社会派だとかリアリズム重視だとかに拘る必要はなく、それはトリックに見合う設定を考えたときの結果であって、最初から狙うものではないと感じるからです。

    つまり島田氏の分類自体が大きな意味を持っていないのでは思う根源的な疑問です。

    とはいえ、最近読んだ島田氏の長編「暗闇坂の人喰いの木」「眩暈」よりも面白く読めたのは皮肉でもなんでもありません。

    この精力と時間をここまで注ぐ熱意に感服しました。


  • 本格ミステリー宣言(無印)に引き続き。

    前作への批判に対する反論から始まるところが誠実だな、と思う。

    そして今作まで読んで、島田荘司は不器用な人なんだな、とあらためて。

    大枠の叩き台として提出した論を思うように受け取って貰えないなんてなあ。

    結局、作家の営みなんてのはスタンドプレーでいいじゃんってのが結局、当時の世間の出した答えなのかな。

  • 2013.6.18処分

    私には少し難しかった。
    (しかも「本格ミステリー宣言」は未読…)
    他の方も言われているように、面白い小説があればそれで十分という感じ。

    詩美性のある、もしくは幻想性のある謎を、精緻な論理的推理によって解き明かす…その謎と論理のバランスが、本格ミステリーを最大限に輝かせる第一条件である、という主張を実践したのが、自作「眩暈」であるそうだ。
    興味深いのは、綾辻行人さんが「自分とは考えが違う、面白いと思わない」と発言している点。
    さらに、「眩暈」と同年に綾辻さんが発表した館シリーズの作品で、同様のトリックが使われているらしい。
    「眩暈」は未読なので、ぜひ読んでみたい。

    「ハイブリッド・ヴィーナス」
    =ポーとドイルが産み落とした「本格ミステリー」の島田氏による別名

  • 神秘的謎と鮮やかな解決
    ガチガチでは詰まる

  • 新規購入ではなく、積読状態のもの。
    2008/10/3博多のホテルで読み始め、同日家で読了
    島田氏の言いたいことはわかるような気もするが、やはりこの議論は最後までかみ合わないのではないか。観念的な部分まで作家全員(あるいは大多数)の認識が一致するとは思えない。
     まあ、読者としては、面白いミステリを望みます。

  • 20年以上の積読本。書かれた当時もミステリを読んでいたので、そのころならもう少し状況が分かったのかもしれないけれど、今となっては誰に批判されていたのかよく分からない。森博嗣さんを思い出しながら、ミステリ界、あるいは、文壇?の外側からの視点で見ると、すごく小さな範囲の中でゴニョゴニョと揉めているように見える。読書自体がマイナーな趣味であって、ミステリを読んでいる人となるとさらに小さいグループとなるからだ。イギリス人が自分たちで作ったルールに縛られる傾向にあるという記述は印象に残った。森博嗣さんが『ツベルクリンムーチョ』で「イギリス人は理屈っぽい』と書かれていることにも通じるのかも。

  • 自らの考えを啓蒙する行為が如何に困難であるかをまざまざと見せつけられた感がある。言葉が魂を有するだけに各々の捉え方で誤解・曲解を生み、それに対する補足説明にも同様な効果が生まれ、さながらウロボロスの輪のようだ。

    巨人は当時、その只中で孤軍奮闘していた。しかし光は見えたように思う。
    山口雅也氏の、島田氏を指して「あなたはボブ・ディランなんだ」という一文。
    この一言で作者は大いに救われた。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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