本格ミステリー宣言〈2〉ハイブリッド・ヴィーナス論 (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062638067

感想・レビュー・書評

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  • 前著である「本格ミステリー宣言」を読んでいませんが、積読になっていたものを取り出して読み始めました。

    とはいえ、大体の様子は本書で前作で巻き起こった批判や疑問への反論を試みているのでわかります。

    島田氏って、クソ真面目な作家だったんですね、ある意味、偏屈という表現の方がしっくりくるかもしれません。

    推理小説のさらなる興隆を目指しての提言のようですが、この体を張った提言が本当に文壇の為になっているのかは不明です。

    もちろん、有望な新人のために作品の加筆を手助けしたり、大御所がここまでやるの?という献身的な行為には頭が下がりますが、推理小説の作家の執筆動機って、基本はトリック次第だと思うんですが・・

    つまり、このトリックの内容如何で推理小説になったり、本格推理小説になったり、新本格推理小説になったりするような気がしてなりません。

    つまり、トリックの優劣がこうしたジャンル(あえて分類する必要性を感じませんが)を既に決定づけており、人物描写や時代背景やプロットの展開の甲乙はすべて作者の作家としての力量に依存しますが、それさえも作品の彩の一つに過ぎないのでは。

    私が推理小説に期待するものは、見事なトリック、謎解きの鮮やかさ、必然性のあるストーリー展開であり、もし、人物描写や時代背景が書き込まれてなければ作品として劣るのであれば、短編での推理小説は成立しえないことになります。(島田氏も大坪砂男「天狗」という超短編を賞賛しているので、この点では異論はありません)

    私の違和感は、そもそも幻想性だとか風俗社会派だとかリアリズム重視だとかに拘る必要はなく、それはトリックに見合う設定を考えたときの結果であって、最初から狙うものではないと感じるからです。

    つまり島田氏の分類自体が大きな意味を持っていないのでは思う根源的な疑問です。

    とはいえ、最近読んだ島田氏の長編「暗闇坂の人喰いの木」「眩暈」よりも面白く読めたのは皮肉でもなんでもありません。

    この精力と時間をここまで注ぐ熱意に感服しました。


  • 本格ミステリー宣言(無印)に引き続き。

    前作への批判に対する反論から始まるところが誠実だな、と思う。

    そして今作まで読んで、島田荘司は不器用な人なんだな、とあらためて。

    大枠の叩き台として提出した論を思うように受け取って貰えないなんてなあ。

    結局、作家の営みなんてのはスタンドプレーでいいじゃんってのが結局、当時の世間の出した答えなのかな。

  • 2013.6.18処分

    私には少し難しかった。
    (しかも「本格ミステリー宣言」は未読…)
    他の方も言われているように、面白い小説があればそれで十分という感じ。

    詩美性のある、もしくは幻想性のある謎を、精緻な論理的推理によって解き明かす…その謎と論理のバランスが、本格ミステリーを最大限に輝かせる第一条件である、という主張を実践したのが、自作「眩暈」であるそうだ。
    興味深いのは、綾辻行人さんが「自分とは考えが違う、面白いと思わない」と発言している点。
    さらに、「眩暈」と同年に綾辻さんが発表した館シリーズの作品で、同様のトリックが使われているらしい。
    「眩暈」は未読なので、ぜひ読んでみたい。

    「ハイブリッド・ヴィーナス」
    =ポーとドイルが産み落とした「本格ミステリー」の島田氏による別名

  • 神秘的謎と鮮やかな解決
    ガチガチでは詰まる

  • 新規購入ではなく、積読状態のもの。
    2008/10/3博多のホテルで読み始め、同日家で読了
    島田氏の言いたいことはわかるような気もするが、やはりこの議論は最後までかみ合わないのではないか。観念的な部分まで作家全員(あるいは大多数)の認識が一致するとは思えない。
     まあ、読者としては、面白いミステリを望みます。

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著者プロフィール

島田 荘司(しまだ そうじ)
1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。
1981年、『占星術殺人事件』でミステリー界に衝撃的なデビューを果たして以来、累計600万部に達した名探偵・御手洗潔シリーズや、刑事・吉敷竹史のシリーズを中心に数々の傑作、意欲作を発表。
2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。
「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の立ち上げ、選考を務めるなど、新たな才能の発掘と紹介にも積極的に取り組み、名実ともに現代本格ミステリーの旗手となっている。
近著に『アルカトラズ幻想』(2012年 文藝春秋)、『星籠の海』(2013年 講談社)、『幻肢』(2014年 文藝春秋)、『新しい十五匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険』(2015年 新潮社)がある。

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