イコン (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062638494

感想・レビュー・書評

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  • アイドル本人が登場しないライブにて、ファン同士の騒動の最中、少年が刺殺される。その後、学園祭にて少年の友人も殺される。パソコン通信の中で生まれたアイドルに対し、安積警部補と同期の生活安全課の宇津木警部補が犯人を追うが。
    単行本が1995年と、時代のギャップが生じるのは仕方がないが、IT系は特にその傾向が感じられる。バーチャルアイドルに対し、捜査員がいま一つピンと来てない描写があるが、逆に今の若い人が読んだら、このネット環境にピンと来ないだろう。

  • 今、この小説を読むと妙な感じです。ダイヤル回線で繋ぐのに時間がかかってイライラした時期をすっかり忘れてしまっている自分にビックリ。

  • 速水さん、芯がしっかりしててかっこいいなぁ。

  • バーチャルアイドルのアリモリの話
    生活安全課の宇津木警部補
    安積シリーズだと5冊目

  • 1995年の作品。

    当時はインターネットは、まだ普及してなく
    パソコン通信の時代。

    そのパソコン通信を背景にした連続殺人。
    今読んだのですんなり理解できたが、リアルタイムだったらどうか?

    この時期に、この題材で刑事小説を書けた今野敏はすごい。

  • 安積警部補シリーズ 第5弾
    神南署編 第2弾

    あるアイドルのライブで17歳の少年が、ライブ中に起きた騒動で、何者かによって刺され、死亡してしまう。

    傷害致死事件として動き始めた安積班だったが、このイベントを企画したのが、死亡した少年の元中学の担任であったり、同級生がライブに参加していたりと、ただの傷害致死ではない匂いがし始める。

    ネットによって人気が出たアイドルは本当に存在するのか?
    ネットによって作りだされた若者のサブカルチャーに安積は立ち向かっていけるのか?
    などの当時の時代を風刺した面が見られます。

    やがて中学時代に隠された事実が事件の背景にあることが分かっていきます。

    15年前の作品で、今ではネット云々というネタでは、あまり興味を引かないところですが、当時としては最先端の話題だったのかなと思います。

  • 安積さんは一体何年越しで村雨さんに対して複雑な胸の内を抱えているのか(笑)。
    そして、速水さんの安積さん好きは、娘自慢のパパのようだ。

  • この作品が書かれたときよりも、現在はインターネットもバーチャル空間も進化している。
    さまざまな媒体を通して個人が発信するのは別に珍しくもないし、言ってしまえばこのブログだってそうだ。
    趣味嗜好もたくさんの選択肢があるし、他の人と違う嗜好だったとしてもそれほど気にする人はいないだろう。
    何故なら、探せば同じ嗜好の人間なんていくらでも簡単に見つけることができるから。
    けれど、どんなにバーチャルな空間であっても、必ずその向こう側には人間がいるということ。
    それは変わらない。
    人の記憶とはなんて都合のいいものだろう。
    もともと、「痛み」というのは感じた本人にしか感じられないものだし、だからこそ温度差が生じるのかもしれない。
    「痛み」を与えた側と受けとった側。
    「昔のことだよ」と言ってしまえる記憶。
    「殺してやりたい」執念とも言える痛み。
    きっと安積には、永久に相川の気持ちは理解できないだろうな・・・と思った。
    いじめや、性暴力や、もっとひどい悪事でさえ、相川にとっては他人事なのだ。
    自分は何も痛くない。自分は何も失っていない。
    だからどんなことだって平然とできるし、悪いと思うこともない。
    自分以外はみんなただの記号なのだから。
    自分の身に起きて初めて実感するのだ。
    人は記号なんかじゃないと。生きていく痛みや苦しみを。
    「アリモリ・ファミリー」のCDを間にしての宇津木と息子・章の会話が印象的だった。
    ごく普通の親子の会話なのに、宇津木は質問しながらすごくたくさんのことを考えていた。
    会話が続くように、場の空気を必死で読みながら・・・。
    アイドルの話もドラマの話も、仕事の話もちょっとしたくだらない話も、あたり前のように親とも話していたので、物語の中とはいえ印象に残ったのかもしれない。
    翌朝にすばやく宇津木にねだる娘がいい。
    兄妹間では会話があるんだな・・・とわかる展開だったし、やっぱり家の中で浮いていたのは宇津木だけだったんだと実感できる場面だった。
    今野さんの作品らしい箇所もあれば、ちょっとテンポが悪いかなと思う箇所もあった。
    ネット状況も現在とはまったく違っていて、わかりにくいところも少しあった。
    でも、人物描写・・・とくに周辺の人たちのキャラクターがしっかりと伝わってくるところなど、やっぱり今野さんの作品は読みやすい。

  •  ライブハウスでアイドルファンの暴動が起こり、ファンのうちの1人が刺殺される。事件が起こる前、その場に居合わせた「警視庁生活安全部少年課の宇津木真」はひどく居心地の悪さを感じていた。なぜなら、彼は今の若者が何を考えているのか理解できなかった(しようともしなかった)からだが、ここで起きた事件を辿る内に彼の心境に変化が起きていく。。。という内容(?)
     作品自体は推理小説ですが、中年男性の若者に対する感情がメインに描かれている気がしてなりません。小説の素材自体はかなりいい線をいってるとおもいますが、登場人物(の心境)に力を入れすぎな感があります。意外な人物が犯人ではなかったのが悔やまれます。

  • 半分くらい読んだあたりから、もしかしたら・・・というカラクリが少しわかった珍しい作品。いつもは私は何も予想することができないのに・・・。1998年に第一版が発売されてるときに、すでにネットアイドルのことが書かれてるって、かなり先読み?だったんじゃないかなぁ・・・。たぶん。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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