文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 12117
レビュー : 1521
  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062638876

感想・レビュー・書評

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  • 「うぶめのなつ」と読む。

    うぶめは産女とも書き、人に害をなす妊婦の妖怪であったり、中国の伝承(姑獲鳥=こかくちょう)と結びついて人間、なかんづく幼児の命を奪う化け物であったりする・・・。

    とかなんとかも含め、「脳と心のせめぎ合いから宗教や幽霊妖怪の類いが生まれる」といった、激しく理屈っぽいというか余りにも衒学的というかなコンニャク問答から始まっていて、大いに困惑する。え、これって普通の(?)怪異譚、伝奇小説じゃないの? 夏のひととき、ちょっとゾっとしてみようかと思ったのにぃ・・・って感じ。

    とても読み通せないかと思ったが、まあなんだかんだ読了。(京極夏彦氏一流の「サイコロ文庫」で、一冊600ページくらいあるが)リズムに乗ったらまずまず面白く最後まで読めた。

    探偵が出て来たり、謎解きが筋であったり、ミステリーではあるんだけど、やはり前後のうんちくが主眼というかキモになっている。超常チックな設定もあるが(探偵の能力とか)、総じて怪異に合理的説明がつく内容になっていてコクがある。

    読後によく調べてみたら、京極夏彦氏のデビュー作だった。

    ページごとにパラグラフが終わっている(見開きの終わりは必ず「。」になっている)のも特徴とか。

  • 友人に京極夏彦、それも京極堂シリーズしか本を読んだことのない男性がいます。他の本は一切です。
    シリーズの1から作品名を覚えていて、語り出すと日頃寡黙な彼が豹変し熱い蒼い炎を口から吐きます。
    あまりのおすすめに打ち負かされてとりあえずと読んでみたところ・・・・
    なんとまあ分厚い、長い、でもあっという間、おもしろい、難しい、百科事典が必要、わあ、ほお、えっ?、うむ~ すごい本だった。

  • 挫折本
    つまらなくはないが、図書館で借りてきて期限が切れたので読むの諦めた。
    難しい説明がダラダラ続き100ページちょっとで挫折


    その後、後半は絶対面白いと思い再挑戦。
    高評価なだけあって面白かった。
    憑き物とかタブーとか、そっち系好きなので◎

  • 「ただの怖い話じゃなかった!」というのが1番の感想だな。
    まどろっこしさは感じるけれど、言いたいことが分かれば、一本道なのでそんなに分かりにくい文章でもなかったかな。でも、きっと読み返すほどに感じ方は変わるんだろうなぁ、と。
    後半の種明かし部分で、家族とか人間関係とか、行き違いとか、怖さ・気持ち悪さだけじゃないところが、読後放心状態にさせてくれました、よかった!

    追記(2019.02.02)
    「認識」する、させるということがひとつ大命題になってると思うんですが、それが日常にも意識されていて、良い読書経験だなと思わされている。。

  • 到頭手に取ってしまった。本が好きな人なら誰でも一度は目にしたことがあるであろう、大学の赤本やサカつくの攻略本よりも分厚い小説……京極夏彦の百鬼夜行シリーズ……。その第一弾を読み終えた今、圧倒的な満足感と心を蝕まれるかのような読後感、あとちょっぴりの達成感でなんかもう、文句なしの星5つです。もの凄く久しぶりに絶賛したくなる小説を読んだ。
    ただでさえその膨大な知識量、博識っぷりには舌を巻くレベルだというのに、前半から容赦なく繰り広げられる蘊蓄、けどその内容が面白いから読めてしまうし、個性の強すぎるキャラクター達が織りなす会話はもちろん地の文までもが洗練されていて、気付けばページをめくる手が止まらない。実は携帯性を重視して上下巻に分冊されてる方を買ったんですが、上巻を読み終えた瞬間から下巻が欲しくて眠れない夜を過ごし、書店を3軒ほど回ってようやく手にしてその日のうちに読み終えるという……こんな思いをしたのは本当に久しぶりです。そのくらい面白かったんすよ。
    (ちなみに一つの作品を二冊分として登録するのがなんか嫌だったのでこっちを選びました)

    以下は若干内容に抵触してくるけど、どうやら百鬼夜行シリーズは、というよりも京極先生の作品全般なのかもしれないけど、怪奇に伴う人の業を真摯に、深部まで踏み込んで書くからこそ、性描写からも一切目を背けていないわけで。となると、自分みたいな即物人間は言うまでもなく頭がピンク色になってしまって……つまり、その……

    りん、と風鈴が鳴った。

  • 映画公開当時に購入しながらも、序盤の蘊蓄に挫折し、随分と長い間積読本に。再度読み始めたら、他者には決して真似出来ない唯一無二の世界観にすっかりトリップしてしまった。その蘊蓄も実は物語の核心にきっちり落とし込まれていて、思わず感嘆の息。力技での押し切りは否めないものの、デビュー作らしく詰めに詰め込んだ濃密でドラマチックな展開も魅力。脳科学を先取りしたかの様な事件の真相に驚くものの、果たしてこれをトリックと呼ぶべきか否かは判断に困るところ。終盤、関口の発する『"姑獲鳥"は"うぶめ"になった』には思わず鳥肌が。

  • p.31
    「りん、と風鈴が鳴った。
    縁側に差し込んでいた西陽はとうに薄れて、外はぼんやりと霞んでいた。」

    鈍器と名高い京極堂シリーズ。
    関口、京極堂、榎木津、木場が、20ヶ月妊娠し続けている、夫が密室から消えた、呪われた久遠寺病院の謎を解く。京極堂達の会話も楽しいし、風鈴や目眩、鳥居などが出てきて視覚的心理的な雰囲気、姑獲鳥、ホムンクルス、カエルの胎児といったおどろおどろ感、適度な改行による文体や言葉で雰囲気の出し方がとても良かった。
    最初の訳の分からぬ醜聞と怪異の塊であった謎たちが、(実現可能性はともかく)理知的に納得できる形で鮮やかに解き明かされていく様が良かった。

  • 夢野久作や皆川博子が好きな私としては、どこかで聞いたような話・・・という印象を覚えてしまう。
    多分そのどこかで聞いたような話を越えようとしての衝撃の結末なのかなぁという。
    ただ、その後も全部きれいに説明をつけようとしているところがなんだか白けてしまった。
    ミステリにも幻想小説にもどちらにもなりきれてない印象。
    とはいえ、あれだけの長編小説を最後まで読み切ってしまったということは面白かったということだとは思う。
    好みの問題もあると思う。私はもう少しぼかしてある話のほうが好き。

  • 叙述トリックの一つの極限形。

  • ミステリーなのかなぁという先入観で読み始めたら、ちょっと違う雰囲気でした。
    ファンタジーとも違う…どちらかというと、SFに近い感覚(世界の理を定義するという意味で)を覚えました。
    しかしとにかく読みづらい。文体も相まって、とにかく読みづらい。
    漢字に強くて良かったーと思いながら読んだ本は久しぶりでした。
    榎さんの存在によるものなのかそれ以外の意図なのかは分かりませんが、五感のうち極端に視覚からの情報量が少なく感じられたような気がします。
    触覚、嗅覚、聴覚の表現は(割合的に少ない、地の文の中では)割合描かれている気もするのですが、視覚からの情報が少なくてもやもやしました。
    なんというか、論理的に(と言っていいのかは分からない)描かれている作風のせいか、映像が目に浮かびにくいと感じたのは私だけでしょうか。
    とはいえその論理的な描き方が好きな人はとことんハマってしまうんだろうなぁという印象。
    予想以上に癖の強い作品でした。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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