文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 12119
レビュー : 1521
  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062638876

感想・レビュー・書評

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  • 京極夏彦氏のデビュー作品「姑獲鳥の夏」を読了。
    先日京極氏の作品「虚言少年」を読んだ後、京極堂シリーズを読んでみようと思い、どうせなら一番最初の作品でと読み始めたのが本作品だ。

     手に取った瞬間にページ数が多く、これは読み通すのが大変な本ではとその時は思った。確かに読み始めた最初の100ページ強でこの小説の語り部となる関口君とかれが敬愛する京極堂の二人が実存という哲学的テーマに関して延々とやり取りを続ける下りでは、こりゃどんな話なんだいという疑念が浮かび始め、本書を選んだのは失敗だったかなあなどという気持ちを少しばかり持ち始めたのは正直なところだ。

     ただ「虚言少年」でもいかんなく発揮されていた会話の中に盛り込まれる京極夏彦氏の軽妙なギャグセンスを楽しむことができる人はどんどんんと話しに引き込まれ,事件の解決まで一気に読み進むことができるだろう。もしかしたら京極作品を楽しめる否かは無駄な言葉の羅列とも受け取れるくだらない会話が楽しめるかどうかかもしれない。

     実はくだらない言葉遊びにちかい最初の100ページのやり取りがが事件解決の大事な伏線となっていて、事件解決自体はなーんだというくらいとてもとてもシンプルに実行されてしまう。複雑でわかりにくい事象も見方を変え冷静にきちんと整理すると、本当に実存するものとしないものが明確にわかるはずということが読者に伝えられる最後となっているのだが、最初から最後までどたばたとただ動き回っている印象の強いダメキャラの関口君の存在が教訓めいたお話の締めもこんなんもありかといった思いにさせてくれた。

     さてこのシリーズを読み進めたいかと聞かれたら、まあそのうち読むものに悩んだときといまは答えるだろう。僕自身としてはそこまではまらなかったのかもしれない。ただはまった人がいるからこそ『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』『狂骨の夢』そして『鉄鼠の檻』という600Pを超える作品が存在しているわけで、ちょっと古めいた探偵物語が好きな人にはチャレンジしがいのある作品だろう。

     そんな京極夏彦氏の伝説的なデビュー作を読むBGMに選んだのが精神科医でありでありジャズピアニストでもあるDenny Zeitlinの"Denny Zeitlin live at the Trident"だ。やはりちょっと理屈っぽいサウンドだなあ。
    https://www.youtube.com/watch?v=bLEEFvxLFOU

  • 禁断の扉を開けてしまった気分です(笑)。

  • 最初の京極堂でのやりとりが結構長い上にだらだらしてたけど、事件が本格化してからは、面白く、楽しく読めました。
    死体がもともと床に転がっていたとか、事件の大きな原因になった人が行方不明だったりと、謎解きはちょっとどうかと思いましたが、キャラがたっていて、今後のシリーズに期待できました。
    詳しい紹介はこちら→http://monogatarigatari.blog.fc2.com/blog-entry-66.html

  • 最初は、この厚さ大丈夫なのか?と思ったが、入り込んだらあっという間で。
    独特の雰囲気のあるミステリィでした。
    京極堂のああ言えばこう言う喰えない態度に、分かっていながら関わっていって、案の定掌の上で転がされてる関口が好きだ。

  • 映画公開当時に購入しながらも、序盤の蘊蓄に挫折し、随分と長い間積読本に。再度読み始めたら、他者には決して真似出来ない唯一無二の世界観にすっかりトリップしてしまった。その蘊蓄も実は物語の核心にきっちり落とし込まれていて、思わず感嘆の息。力技での押し切りは否めないものの、デビュー作らしく詰めに詰め込んだ濃密でドラマチックな展開も魅力。脳科学を先取りしたかの様な事件の真相に驚くものの、果たしてこれをトリックと呼ぶべきか否かは判断に困るところ。終盤、関口の発する『"姑獲鳥"は"うぶめ"になった』には思わず鳥肌が。

  • な、長かった…il||li _| ̄|○ il||li

    『いつになっても良いからね』と貸していただき、読み進めましたが
    さすが拍子木…!
    京極作品初挑戦だったもので、幾度も単語を調べながら読み進めたことも、時間のかかってしまった要因なんだろなと思います。

    …同時期に読み進めてしまった道尾秀介さんの『背の眼』とオーバーラップしてしまい、失敗しました。並行読書の場合、ミステリーは一本が良いんだな。

    とにかく、登場人物は誰もが超個性的かつ魅力的ですが、私的には榎木津さんの次回作での活躍がたのしみでたまりません。

  • こんな系統の話は他に読んだことがない。
    少し横溝正史を連想しました。
    京極堂の話は長過ぎて、、、笑
    後半のびっくり展開に思わず一気読みしました。
    関口君はいい人だと思います。

  •  多分遠い昔に挫折していた本なんだけど、百器徒然袋を読んだ流れで再挑戦。
     主要人物、徒然袋でいう一味の関係性がわかりにくいんだけど、あちらを読んだ後に見てみるとなんだかんだでみんな仲良いんだなというのが分かって、読んでいて心地よかった。
     思いやりを持って接している彼らのありかたがとてもよい。半月口をきけなくなったのを中禅寺と榎木津が看病していたエピソードとても好き。

  • キャラクター小説。とても楽しく、知的て不思議なエンターテイメント。好きだ。

  •  20か月近くお腹に子どもを宿している女性がいるといううわさが流れる。さらに彼女の夫は密室から忽然と姿を消したらしく、文士・関口は奇妙な縁から彼女の姉と知り合いになり……

     前半の認識論や民俗学的な視点などかなりの情報量が詰まった作品です。昨今ライトミステリが流行ってますが、そういうのと真逆の位置にある作品だと思います(笑)。
     
     そのため面白さのエンジンがかかってくるまでは遅い印象ですが、後半の怒涛の解決部分は前半を読んでいるからこそ受け入れることができるものとなっていて非常に読みごたえがありました。

     ミステリ小説でありながら、幻想小説的な関口の語り口に、20か月の身ごもり、呪いや因縁などミステリらしからぬ雰囲気が終始漂っています。しかしそれを最後に現実世界の謎解きに持っていくのは、探偵役の京極堂が語るように「この世には不思議なことなど何もないのだよ」という言葉の実践であるように思いました。

     これまたすごい本を読んだなあ、と読み終えて思いました。ミステリの枠を広げた作品、という話を聞いたことがあるのですが、それを嫌というほど実感させられた作品でした。

    1995年版このミステリーがすごい!7位

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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