文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

著者 : 京極夏彦
  • 講談社 (1998年9月14日発売)
3.83
  • (1724)
  • (1694)
  • (2467)
  • (103)
  • (26)
  • 11581人登録
  • 1483レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062638876

作品紹介

この世には不思議なことなど何もないのだよ-古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  •  「面白い本に出会ったら、その著者のデビュー作を読みなさい。そこには著者の全てが詰まってるから」
     子供の頃、本を贈ってくれた伯父が、手紙に書き添えてくれた言葉です。
     本書は、作家・京極夏彦のデビュー作ですが、京極夏彦そして京極堂の魅力がぎっしり詰まった作品だと思います。

     元々、親父が『鉄鼠の檻』を読んでいたのがきっかけで京極堂シリーズと出会いました。
     確かそのとき、
     「それ、面白いの?」と聞いたところ、
     「むちゃくちゃ面白い」と親父が答え、
     「じゃ、読み終わったら貸して」と頼むと、
     「これ、シリーズもんやから、順番に読まんとあかんぞ」と言われました。
     で、調べてみたら、『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』『狂骨の夢』そして『鉄鼠の檻』と、目の前で親父が面白がって読んでいる作品に到達するまでには、アホみたいに分厚い三冊のノベルスを読破しなければならないと知り、愕然としたのを覚えています。
     が、読み始めたらどハマりしました。寝食こそ忘れませんでしたが、学校の勉強は全部忘れて読みふけったのを覚えています(ヲイ

     冒頭、京極堂と関君が、徳川家康とダイダラボッチを引き合いに、延々100頁にわたり実存について議論するところで、一気に京極ワールドに引き込まれました。
     冷静に考えれば、「これ、いつ話が始まるねん?」と思うところですが、そんなことを考えさせない筆致で、知的にスリリングな会話が続くので、貪るように読んだ記憶があります。

     いよいよ事件が始まっても、鬱々とした関君の視点から物語が語られるため、いつしか自分も関君の気持ちに感化されたのか、暗いモノトーンの世界で物語世界を見ていることに気づきました。
     二十か月以上も妊娠中の女性。記憶が見える超能力探偵・榎木津。そして、久遠寺涼子と関君の過去…話はどんどんややこしくなります。
     眩暈坂を登るところから話は始まりましたが、僕も読み進めるにつれ、そんな感じがしてきました(笑)。「これ、ちゃんと風呂敷たためるの?」と少し心配になりながら、読み進めたのを覚えています。

     が、最後、全ての憑き物を落とすため、黒装束に身を包んだ京極堂が出てきたとき、ここまで読んできた僕の、心の中に澱のように溜まった憑き物も一緒に落としてくれたように感じました。
     こんな訳のわからん事件の真相が、京極堂の説明を聞くにつれ、オセロが一気にひっくり返されるように、きれいに説明されていきます。「この世には不思議なことなど何も無いのだよ、関君」というセリフは、著者から自分に向けられた言葉のように刺さりました。人生で体験したことのないレベルの「アハ!体験」だったと思います…って、何かオセロだのアハ!体験だの、比喩がセコいですね…orz

     今更私なんぞがあれこれ書いても屋上屋を架すようなものですし、なるべく予備知識なく読んで欲しいのでモヤーッとした感想しか書けませんが、とにかく未読なら読んで下さい。というか、これ読んでないって時点で人生損してます!

  •  民俗学やら心理学やら、薀蓄満載でとても濃厚だった。その薀蓄が、ストーリーの前提になっているので、他のミステリーと比べて少し骨が折れるところはあるかもしれない。小説以外の本をあまり読みたがらないくせに知識だけはいろいろと欲しがる私としては、結構ありがたい作品だった。

     人間は自分の都合のいいように世界を認識する、というのはわかったけれど、登場人物のひとりひとりが作者の都合のいいように出来すぎている気がしないでもなかった。
     それでも、そのひとりひとりが持つ濃密な背景が複雑に絡み合って出来た巨大な謎が解き明かされていく様は、硬く閉じた蕾が少しずつ緩んで、大輪の蓮の花が咲くような、そんな絢爛さを感じた。

     連綿と続くミステリ小説の歴史の中でも、関口はアンリライアブル・ナレーターの際たるものだろう。彼がいるからこそミステリは生まれるが、逆に言えば彼さえいなければ(久遠寺家を訪問したのが榎木津と敦子だけだったら)、こんなこじれることなかったんじゃ……(笑)でもまあ、真実が白日の下にさらされるためには、京極堂のアレが必要だったわけか。。。

  • 京極夏彦氏のデビュー作品「姑獲鳥の夏」を読了。
    先日京極氏の作品「虚言少年」を読んだ後、京極堂シリーズを読んでみようと思い、どうせなら一番最初の作品でと読み始めたのが本作品だ。

     手に取った瞬間にページ数が多く、これは読み通すのが大変な本ではとその時は思った。確かに読み始めた最初の100ページ強でこの小説の語り部となる関口君とかれが敬愛する京極堂の二人が実存という哲学的テーマに関して延々とやり取りを続ける下りでは、こりゃどんな話なんだいという疑念が浮かび始め、本書を選んだのは失敗だったかなあなどという気持ちを少しばかり持ち始めたのは正直なところだ。

     ただ「虚言少年」でもいかんなく発揮されていた会話の中に盛り込まれる京極夏彦氏の軽妙なギャグセンスを楽しむことができる人はどんどんんと話しに引き込まれ,事件の解決まで一気に読み進むことができるだろう。もしかしたら京極作品を楽しめる否かは無駄な言葉の羅列とも受け取れるくだらない会話が楽しめるかどうかかもしれない。

     実はくだらない言葉遊びにちかい最初の100ページのやり取りがが事件解決の大事な伏線となっていて、事件解決自体はなーんだというくらいとてもとてもシンプルに実行されてしまう。複雑でわかりにくい事象も見方を変え冷静にきちんと整理すると、本当に実存するものとしないものが明確にわかるはずということが読者に伝えられる最後となっているのだが、最初から最後までどたばたとただ動き回っている印象の強いダメキャラの関口君の存在が教訓めいたお話の締めもこんなんもありかといった思いにさせてくれた。

     さてこのシリーズを読み進めたいかと聞かれたら、まあそのうち読むものに悩んだときといまは答えるだろう。僕自身としてはそこまではまらなかったのかもしれない。ただはまった人がいるからこそ『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』『狂骨の夢』そして『鉄鼠の檻』という600Pを超える作品が存在しているわけで、ちょっと古めいた探偵物語が好きな人にはチャレンジしがいのある作品だろう。

     そんな京極夏彦氏の伝説的なデビュー作を読むBGMに選んだのが精神科医でありでありジャズピアニストでもあるDenny Zeitlinの"Denny Zeitlin live at the Trident"だ。やはりちょっと理屈っぽいサウンドだなあ。
    https://www.youtube.com/watch?v=bLEEFvxLFOU

  • 再読
    読んだことを忘れてもう一度何も知らない状態で読み直したい、という本がいくつかあるけど、これもその一冊。
    初めて読んだ時の衝撃が忘れられない。

    途中までは長い講義があるけど、挫折しちゃだめ!中盤で混乱した頭が、最後には解されて整頓されてはあーっと溜息がでる、心臓がばくばくする本です。

  • aの林檎はbの林檎ではない、に再度なるほど。(2015.12.14)

    見たいものしか見ない、見えているのに見えないこと、あると思う。この世には不思議なことなど何もないのだよ(不思議なものはある。オカルトと解釈)、の台詞がとても好き。

  • 京極夏彦との出会いがこの本で良かったと心底思います。

  • 京極夏彦はこれが初めてだったが、これでハマった。
    主人公の京極堂がウンチクを話すところがあるが、このあたりはあまりハマらないようにしないと、疲れてしまう。
    予想できない結末や、京極堂の推理力がすごかったり、読んで損はなかった。
    ちなみに本の厚さは鈍器(笑)

  • 面白かった!

    怪奇ともチョット違うと思います。
    呪詛や陰陽師 それに科学的なこと

    摩訶不思議と理論的な洞察力が合体し、
    本を放すことができませんでした。

    複数の探偵役が登場しますが、京極堂は凄すぎる!

    この小説が初めて描いた作品だなんて…

  • 強烈 の一言。
    ウィキぺディアで「レンガ本」として言われるだけあり、なかなかに分厚いです。
    ですがこの分厚さが京極シリーズの始まりであったことを、後々に思い知らされるのです。

    読み終わった後は分厚さから来る重さで達成感を感じました。
    面白い。わかりやすい。

    後日、京極夏彦さんが「暇だからこれを書いた」という事実を知っておっかなびっくりでした。
    暇だから書いたものが、本になるってすごい。

  • ずっと読みたかったので読みました。京極堂シリーズということはふわっと知っていたのでもっと京極堂が出張るのかと思いきや、語り部は関口くんだったのね。またこの、信用のできない語り部のおかげで読んでて惑わされまくりでした。あと京極堂めっちゃ喋る。もう京極堂が喋るとずっと京極堂のターンでちょっと笑ってしまった。関口くんはポンコツ愛されキャラでとてもよかったです。話の展開がこれはもしや?と予想できることと予想できないことがあって、ラストは一気に読みました。次も楽しみー!

全1483件中 1 - 10件を表示

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)のその他の作品

姑獲鳥の夏 単行本 姑獲鳥の夏 京極夏彦

京極夏彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)に関連する談話室の質問

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)に関連するまとめ

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする