すべてがFになる (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062639248

作品紹介・あらすじ

2014年にドラマにもなったサスペンス小説です。天才的頭脳を持った主人公が難解な密室殺人のトリックを暴いて行きます。すべてがFになる。のFとは何か?様々な伏線が最後にひとつの答えにつながる。森博嗣さんの描く世界観が普通のサスペンスとは違った魅力を引き出しています。個性的なキャラクター、難解な密室トリック、謎解きに引き込まれてしまう作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 【ミステリーレビュー300冊目】天才たちの密室殺人劇場、伝説シリーズの始まり #すべてがFになる

    ■『すべてがFになる』を読むにあたって
    レビュー300冊目は、みんな大好きS&Mシリーズ。第1回メフィスト賞を受賞、その後同シリーズが計10作品、さらにVシリーズ、四季シリーズと続いていく伝説の一作目です。

    理系ミステリィの金字塔と呼ばれ、鬼才天才の真賀田四季をはじめ、犀川創平、西之園萌絵など、愛らしくも聡明で個性あふれるキャラと、人間関係の描写が読み手をひきつけてやまないミステリィシリーズです。

    S&M、V、四季シリーズまでは全部読んでいるのですが、今回300冊目ということで『すべてがFになる』を再読しました。

    私が国内シリーズものを1つだけ推すのであれば、このS&Mシリーズです。
    面白いっつーか、もはや人生のイベントですよ。生まれてはじめて海外旅行に行く、スキューバーダイビングを体験する、宝塚を観劇する。みたいなもんです。まさかまだ読んでない人は「生まれて初めてS&Mシリーズを体験する」チャンスです。死ぬまでに絶対読みましょう。

    ■あらすじ
    過去の犯罪歴から、孤島に隔離されて研究を続けている天才博士、真賀田四季。大学の助教授である創平と学生の萌絵は、その孤島へキャンプ合宿に出かけることになった。
    二人は特別に研究所内を見学させてもらえることになり、四季博士に会うため部屋の前で待っていた。そこで突然へやの扉が開くと、現れたのはウェディングドレスを着た死体だった…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ○キャラクター
    なによりスゴイのは真賀田四季。第一章の一節目から、もう天才ぶりがスゴイ。常人にはまったく理解できないけど、会話がめっちゃ面白いし、これからのストーリィに期待が膨らむ。

    頭がいい人は、物事の本質をとらえるのに長けているというが、そういうレベルではない。善悪や損得とかいう価値基準の次元の話ではなく、もはや精神とか生き方の世界。凡人から見ると、底知れぬ恐ろしさしか感じない。

    並の人間でも何とか理解できるのは創平先生。
    とはいえ彼の価値観も的確で鋭く、すでに芸術的でもある。ぼんやり生きている我々に、その考えは本当に正しいですか? と、指摘をしてくれるのです。

    本書引用 P367
    時計盤には12までの数字が書かれているが、1時間は60分なので60までの数字を書かれてないのは不便である。もしくは1時間を12分と定義すればよい。そうすれば子どもに時計の教育をする必要がない。

    そして本作の天使、西之園萌絵ちゃん。
    理系ミステリィで凄惨な事件であるため、全編通してどこか冷たく、硬いイメージなんですが、彼女のキャラクターが作品全体を甘くしてくれています。
    彼女と創平、四季、世津子とのやり取りを見てると、大学生時代の可愛かったあの子を思い出して、微笑んでしまうんですよね。

    ○ミステリィ「すべてがFになる」
    何度読んでも、この意味が判明する瞬間は寒気が止まらない。
    ぞわぞわっ… す、すげぇーーーーー

    解けなかったパズルが、一気に解き明かされるこの快感ですよ。この快感のために、今まで生きてきたに違いない(大げさ

    ○先端科学や技術
    本作は1996年の作品、windows95が発売された翌年です。
    登場人物たちが作中で使っているのは、VR、音声認識、リモートワークなど、先端技術です。はやっ

    仕事を合理的に進めるための新しい働き方を手助けしてくれる、今やどこでも使われています。私の仕事でも毎日のように利用していますが、人との繋がりが希薄になっているのは課題なんですよね。
    なーんて、この発想自体も、能力のない凡人の課題感なんでしょう。

    ■ぜっさん推しポイント
    このシリーズを読んでいると、以下の問答を思い出す。

    問い:人は何のために生きているか
    答え:死ぬまでの暇つぶし

    絶望的な回答ながらも、これが真理ではないかと思うことがある。どんなに社会に貢献しても、たくさんの人命を救っても、多くの子孫を残しても、所詮は死ぬまでの暇つぶし。

    しかし私は好きなミステリィを読んで、この乱筆なレビューを書き連ねている。誰かの役に立って欲しいと思いながらも、まったく役に立っていないかもしれない。

    でも私は自身の信条をもとに、思い切り楽しんで、自信をもって、堂々とレビューを書いていきたいんです。

    何故あなたは○○するんですか?
    という問いに、本作はヒントをくれるような気がするのです。

    • autumn522akiさん
      aoi-soraさん、ありがとう~
      それは読まなきゃですよ!
      森先生の作品は、まさに沼にハマりかねない魅力が満載です。

      ぜひぜひ読...
      aoi-soraさん、ありがとう~
      それは読まなきゃですよ!
      森先生の作品は、まさに沼にハマりかねない魅力が満載です。

      ぜひぜひ読んでほしいんですが、私生活に支障をきたす危険性があるのでご注意を^^

      raindropsさん、こんちわです。
      そうそう、S&Mシリーズしか勝たんって感じですよね。

      まだ四季シリーズまでしか読めてないので、もっと別シリーズも
      読みたいんですけど、時間がとれねぇ&もっとハマりそうで怖い。
      そして「すべてがFになる」の真相… ものすごかったですよね…うんうん

      コメントありがとうございました^^
      2023/03/31
    • バス好きな読書虫さん
      いつもレビュー楽しく、拝見させていただいております。
      初めて、コメントさせていただきますが、記念にこの作品を再読と言う気持ちが痛いほど、分か...
      いつもレビュー楽しく、拝見させていただいております。
      初めて、コメントさせていただきますが、記念にこの作品を再読と言う気持ちが痛いほど、分かって…
      私も何度読んでも、今作は最高傑作だと思います。
      Vまで何度も読み返しましたが、最近は再読をする機会が無くなって来ていたので、久しぶりに読みたくなってしまいました!
      2023/03/31
    • autumn522akiさん
      読書虫さん、こんばんわ!
      初コメントありがとうございます。
      ねーねー、最高傑作ですよね。

      Vシリーズもさらに突飛なキャラクターが大...
      読書虫さん、こんばんわ!
      初コメントありがとうございます。
      ねーねー、最高傑作ですよね。

      Vシリーズもさらに突飛なキャラクターが大暴れして、
      めちゃくちゃ面白いんですよね。そして色んな驚きも満載ですし^^

      読みたいけど読み始めたら止まんないんだよなぁ~ 困るー
      2023/03/31
  • 森博嗣さんの第一回メフィスト賞受賞作でデビュー作。皆さんの本棚でたびたびお見かけして気になっていました。
    何がどうなってFになるのって、タイトルだけで魅惑的。
    天才少女の理解を超えた知性と孤独と猟奇。
    工学者作家の“Fになる”は、私の知識と経験では、全く予測できる物ではありませんでした。16進法そのものから知らず、まさかアルファベットを使うとは。重松さんの“ビタミンF”なら幾つか付き合えるんですけど。
    近未来的研究所や設備の描写は、30年ほど前とは思えない現実味。
    私は、理系トリックは、ついていけないけど、森さん原作「スカイ・クロラ」のアニメ映画が好きなんですね。(掴みきれないけど)このS&Mシリーズとはまた違った、と思ったけど、抽象的で思惑的な雰囲気は、共通点があるかもしれない。
    鮮やかな理系トリックが目立つけれど、天才少女から女性になった四季の哲学的っぽい思想が何故か気になる。調べたら“四季シリーズ”は、そのタイトルが五行説からとられているようなんですね。
    この作品だけだとわからないけど、森さんは陰陽五行説取り込んでくるのかな。
    気になる作家さんです。


    この作品はautumn522akiさんの素敵なレビューで、理解させていただきました。
    ありがとうございます♪

    • おびのりさん
      ウ→ラでした。
      ウ→ラでした。
      2024/01/08
    • 土瓶さん
      ザルのように素通りする頭です。ウッキー♪
      ウッキーは、ザルやなくてサルやがな。いーかげんにしなさい。
      m(__)m

      まあ、そもそも...
      ザルのように素通りする頭です。ウッキー♪
      ウッキーは、ザルやなくてサルやがな。いーかげんにしなさい。
      m(__)m

      まあ、そもそもブグログを始めたきっかけも読んだ本と読んでない本の区別をするためだし。
      だから本棚の名前は「記憶と記録の本棚」(笑)
      さすがに子供のときに読んでた怪人二十面相とかルパンとかホームズとかはどれを読んだかすでにわからないから入れてないけど。
      あ、アガサ・クリスティーとかもか。
      おびのりさんは俺の十倍くらいは読んでそうで恐いわ^^
      2024/01/08
    • おびのりさん
      私なんか、レビューしたことも忘れる。
      私なんか、レビューしたことも忘れる。
      2024/01/08
  • 「すべてがFになる」の意味が分かった時に、自分にない分野の才能を感じられて楽しかった。「有限の微小とパン」へ続く序章

  • すべてがFになるのタイトルの意味が本文を読んでもあまり理解できなかった笑。

    真賀田女史の頭脳は凡人があとから解説するのが限界で最悪の結果を想定していても真賀田女史は島から脱出していた。

    その後は捕まらず行方不明になっていた。
    天才には凡人はどうあがいても為辿り着けないのを感じた。

    殺人のトリックも、動機もすべてが度肝を抜かれました。ぜひ一度読むのをおすすめしたい。

    • りさん
      めちゃくちゃネタバレじゃないですか⋯?
      めちゃくちゃネタバレじゃないですか⋯?
      2023/02/15
    • 音あんさん
      ネタバレに変更しました
      Fになる部分は載せなかったので大丈夫かと思いました
      ネタバレに変更しました
      Fになる部分は載せなかったので大丈夫かと思いました
      2023/02/26
  •  本書の魅力は天才を具現化した人物が登場する事だと私は考えます。その人物が真賀田四季博士です。四季博士は物語の中では天才であったが、親を殺した理解不能な女性として語られています。しかし、本書を読み進めていくと四季博士は天才でもなく、異常者でもなく、神に近い存在であるかのような錯覚に陥りました。実際物語の中でも四季博士と隣り合わせで会話をした人物は「触れる事ができる距離なのに無限に遠いような気がする」と書かれています。  
     本書は推理小説であり、仰天するようなトリックももちろん楽しめますが、四季博士が語る言葉はどれも深みがあり、啓発書のような楽しみ方もおまけとして付いてきます。私が特に気に入っているのは四季博士が死を恐れない根拠として、人は意識を保ち続けると眠りたくなる。つまり意識を失いたがっている。眠っているのに起こされると不快になる。よって人は死を望んでいる。と言った内容を語るシーンです。  

     そして私は本書が何年に書かれたものか知らずに読み切りましたが、最後に1996年に発表されたものと知りおどろきました。デボラという人工知能に施設を管理させVR空間にゴーグルをして潜る。今でこそ主流ですが、これを20年以上前に執筆していたという点から、筆者の森博嗣さんも天才なのだと感じました。

  • 森博嗣、初読み。

    ミステリーなのであれこれは語れないけど、全てがFになるの意味がわかった時スッキリしました。

    最後も清々しく終わったと思います。

    ストーリーもさることながら、単行本が出た1996年当時、このような現代で使われているテクノロジーが数多登場するのは感心しました。
    発行当時に読んで夢を描いて、現代に再読したら面白さはもっと膨れただろうに。
    今書かれた物語のようです。

    ザ・理系小説で、論理的に謎が解かれていき私は腑に落ちました。

    映像化されているということなので観てみようと思います。

  • 理系ミステリーというジャンルを未読、さらにあの高名な森博嗣さんの作品も読んだことが無いという己の無知を恥じて読むことにした。無知は罪である。食わず嫌いは嫌いだ!

    読んだ第一の感想はさすが理系大学教授、悔しいが難しい。高校受験の時から思っていたがどうやら自分は空間把握能力が低いらしい。僕の目の前にも浮かぶディスプレイで建物の立体図を見せてくれと研究所のコンピュータに願わざるを得ない。
    謎解きのトリックがどうとか言うつもりは毛頭ない。それはこの作品の魅力はそんなところにあるのではないと思うからだ。天才女史が凡人の我々(皆を巻き込んですまない)に示唆した、身の回りにすでに謎が存在するという事実こそこの作品の面白いところだと自分は思った。
    今でこそ人との接触をできるだけ避け、オンラインミーティングとかいうものが蔓延っているが、果たして感染が収まったとして無駄なエネルギーを消費して人と触れ合う必要があるのか。自分は妃真加島にある研究所のような生活に憧れた。厄介な人間関係に頭を悩ませる日々は嫌だからだ。悩むほど関係のある人間もいないが。

    ともあれ、天才という生き物は羨ましい。だって凡人ではないから。僕の中に天才が眠っていないかと期待するばかりである。きっといるはずである!

  • 面白かった〜!

    離島にある研究施設での密室殺人事件。
    まったく内容を知らずに読んだので、大胆な殺人事件とトリックがとても好みでした。
    アニメやドラマ化もされていたのですね、、、映画だと思っていました。

    主人公の犀川は大学の建築学科の教師なのだが、とてもクールで、理系キャラ独特の変わった思考が魅力的。
    同じく主人公の西之園萌絵は、超お金持ちのお嬢様。計算が早く、とても賢いミステリー好きの女の子です。

    内容知らないで読んだ方が面白いと思うので、あまり書けません。笑

    2人の出てくるS&Mシリーズ、全部読みたいです。

  • すごく面白かった!
    これが20年以上前に書かれたものとは信じられない。
    今読んでも違和感ない技術がたくさん登場してて、理系ミステリーと言うだけあって専門用語も多い。
    だけど、とても読みやすくてスラスラ読めた。
    個人を掘り下げた心情やくどい情景描写などはなく、全体的にあっさりしてる。

    登場人物は基本的にみんな頭が良い。もちろん犯人も言わずもがな。
    どれほど緻密な計画を立てたのかとゾッとするし、それに挑戦した犀川先生もすごい。

    犀川先生と萌絵がダブル主人公だけど、他の作品でよく見るような片方が片方のアシスタントをしているという訳ではなく、双方が自立して考えているのが良かった。
    続きのシリーズも読みたい。

  • 複数のお気に入りさんの推薦本。自分なりに犯人をロックオンして読み進めていきましたが、外れた~!っていうか、今回の犯人及びその真相について、分かるわけないじゃないかい!でも、犀川と萌絵のコンビのプラトニック的男女の関係性は好感を持った。最初にクローズドサークル・十角館の殺人を彷彿とさせるミステリーを読むようで、最後まで手に汗握る展開。また、森さんの理系的知識のてんこ盛りに中々ついていけない部分もあったが、それはそれでよいスパイスでした。詳しくネタバレはできないが、真賀田四季の半生は気の毒としか言えない。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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