すべてがFになる (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 17883
レビュー : 2342
  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062639248

作品紹介・あらすじ

2014年にドラマにもなったサスペンス小説です。天才的頭脳を持った主人公が難解な密室殺人のトリックを暴いて行きます。すべてがFになる。のFとは何か?様々な伏線が最後にひとつの答えにつながる。森博嗣さんの描く世界観が普通のサスペンスとは違った魅力を引き出しています。個性的なキャラクター、難解な密室トリック、謎解きに引き込まれてしまう作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 言わずと知れた森博嗣先生のデビュー作。
    今さら感満載ですが、拝読させていただきました。
    僕が今まで読んだことのある森先生の作品は「キルドレ」と呼ばれる戦闘機のパイロット達が繰り広げる戦闘機の空中戦を描いた『スカイ・クロラ』シリーズ、孤高の侍・ゼンを主人公とした剣客小説『ヴォイド・シェイパ』シリーズ、そして最近シリーズが終了したウォーカロンと呼ばれる人造人間をテーマとした未来社会を描く「Wシリーズ」と見事に最近のものに偏っています。
    このような順番の読み方をしている自称・森博嗣ファンの僕などは真の森博嗣信者から異端審問にかけられ焚刑に処せられてもなにも文句は言えないので、あえてそこは黙っていようと思いましたが、おっと、うっかり書いてしまいました(笑)。

    それにしても、これがデビュー作って凄いな。
    小説の完成度が半端ないし、全く古さは感じない。(一点だけ、主人公の犀川先生が煙草吸い過ぎなのは気になったw)
    本書は密室殺人をテーマにしたミステリー小説なんだけど、理系ミステリーの元祖と言われるだけあってそっち系のトリックが面白い。
    やはり森先生自身が工学博士であり、その方面の専門家というところが大きく影響しているんだろうね。

    でも一番衝撃が大きかったのが主人公の犀川先生でも西之園萌絵でもなく、やはり真賀田四季博士の存在感だよね。
    真賀田四季はWシリーズにも『伝説の研究者』ということで出てくるから存在は知っていたけど、デビュー作からここまで大きな存在感を持って登場しているとは思わなかった。

    真賀田四季博士は、天才プログラマーであり、幼少のころから天才の名を欲しいままにしてきた女性。そして15年前のある事件以来、孤島にある研究所に彼女が監禁状態になっているところからこの『すべてがFになる』は始まる。

    真賀田四季博士の外見の美しさ、独特な考え方、生死を超越した価値観、天才的な才能、そして、そこはかとなく漂う不気味さ、いずれもこの本を読む者に対して圧倒的なイメージを植え付ける。
    そして、彼女の放つセリフがそれぞれ、深い。
     「眠りたいって思うでしょう?
      眠ることの心地よさって不思議です。
      何故、私たちの意識は、意識を失うことを望むのでしょう?
      意識がなくなることが、正常だからではないですか?
      眠っているのを起こされるのって不快ではありませんか?
      覚醒は本能的に不快なものです」

     「死を恐れている人はいません。
      死にいたる生を恐れているのよ。
      苦しまないで死ねるなら、誰も死を恐れないでしょう?
      そもそも、生きていることの方が異常なのです」

    いや~、深すぎて。もう、この本を読みながら「いつ死んでも悔い無し」って心境に到達してしまう(笑)。
    森博嗣先生にとって『真賀田四季』とはどのような存在なのだろうとふと考えてみる。
    このデビュー作からその後、数々のシリーズに彼女は登場する。現在から数百年後を描いているWシリーズにですら『マガタ・シキ』として、もはや神に近い研究者のような形で姿を現す。

    森先生の自己の投影?理想の女性?人間が到達すべき完全体?神であり、あるいは悪魔かもしれない存在?

    この命題は、いちおう読書人の端くれとして自らの人生をかけて取り組む価値のあるテーマだと、今、確信しました。(真顔)
    この『すべてがFになる』が発表されたのは1996年。今から23年前、森先生が39歳の時の作品。それ以後、数々の小説が発表され、シリーズものの小説だけで72冊(最新の『それでもデミアンは一人なのか?』まで含め)もの小説が刊行されている。この20数年でこれだけの森ワールドが築かれ、真賀田四季博士はそれぞれのシリーズでキーパーソンとして機能している。

    真賀田四季の犯した『罪』を絶対に許せない、精神的に受け付けられないという読者もいるだろうし、そこは当然森先生も認識しているんだろう。しかし、あえて『真賀田四季博士にその『罪』を犯させたこと』についても、研究すべき対象となるはず。

    次作からは、先ほど掲げたテーマを念頭に置きつつ、しっかりと順番通り読んでいこう。
    という訳で、S&Mシリーズの第2作は『冷たい密室と博士たち』だね!
    あ、でもWシリーズの直接の続編であるWWシーリズの『それでもデミアンは一人なのか?』が発表されてしまったので、この本は先に読んじゃうと思います☆
    ウグイとハギリ博士は結局どうなったのかな~?

  • 森博嗣を初めて読んだが、私にはあわなかった。
    トリックは子育て中の私には納得できないものだったし、なにより登場人物に全く共感できなかった。
    犀川先生にしても萌江にしても、私の常識や道徳からかけはなれていた。四季にいたっては完全に理解不能。恐らく作者も私とは相いれない人なんだろうと思った。
    でも何より不快だったのが、研究所に窓がないというところ。太陽の光が届かない場所なんて地獄のほかにない、と私は思ってしまう。
    こういう情緒的というか、感情的なものが欠けているところを「理系」と呼ぶのに私は抵抗がある。理系というのは新しい定理を発見したり、今までにない道具を創作することで、私たちの生活を豊かにするロマンあふれるものと私は思っている。
    そういう意味で本作は、なんとなく独りよがりで、理系ミステリーというより、理屈ミステリーという気がした。

  • アニメで見たが、内容がよく分からなかったので小説を読んだ。何といっても、ヒロインの真賀田四季が魅力的だ。犀川と萌絵のコンビは、賢いのか世間知らずなのか、ユーモラスだ。16進法に代表される乾いた論理に、魅力的なキャラクターがからんで、爽快ともいえるミステリーに仕上がっている。

  • おもしろかった!
    これドラマっていうよりも、一本の映画にしちゃった方が良くないか!?っていうくらいの濃い内容と情報量。研究者しながら書いたなんて、天才は登場人物なんじゃなくて、作者じゃないかな?と感じる程に作り込まれていて、著者の頭の良さを存分に感じさせる。

    工学用語はわからなくても読める。わかったら、もっと面白いだろう。
    驚くのは、これが20年弱も前の小説であること。古くささも違和感もギャップも何もない。IT関連に関しては色々違いはあるんだろうけど、文系の私にとってはケータイとかスマホとかが出てこないだけ。声や指紋の認証システムで全部管理されているような施設での事件。むしろ今よりももう少し先の未来の建物のように感じるし、ポケベル(これくらいの世代だったよね??)なんて年代物も出てこないので、本当に違和感なく読める。
    最後まで全貌が見えないし(あいつ怪しいっていうのは直感で感じてたけど)、長いけど、飽きる事もなく読めた。自分で推理するのは難しい話だから、目から入って来る情報をただただ受取るのみなんだけど、中だるみしないから不思議。

    さて、ドラマ化と云う事で長らく積読されていた封を解いたが、何と後9作品もシリーズが続くということが今更ながら判明。なかなかエネルギーのいる本だったから、読破には時間がかかりそうだ。更にシリーズを越えて真賀田四季は見え隠れするそうなので、長く楽しめる作品となりそうで、楽しみ。急がずゆっくりと読んで行きたい。

  • 犀川と真賀田四季の会話をずっと聴いていたかった。事件が発覚したときはすごく不気味だったけれど、ラストはとても哲学的で、ミステリーだったと思えないほどの爽やかさと、少しの悲しさ。
    ちょっとだけ四季の言っていることがわかる。悲しみ。

    ラストあたりの文章はメモするか、時々読み返したくなる。

  • おもしろかった。納得できなかった。これが読み終わっての感想。初めて本格ミステリを読んだかも。孤島の研究所、牢屋のような部屋、鬼気迫る殺人現場。どんどん読み進めたくて仕方がなかった。
    地元や出身の大学のことが舞台になってるのがちょっと親しみやすい。プログラマーなので、わかるわかるっていう内容も多かった。
    ただ、動機はちょっとなあ。人間ドラマがあるよなないような。謎に主軸が置かれてるのだろう。おもしろいけど。
    シリーズは読んでみたいなあ。

  • 2017/11/16 21:34 読了。
    昔ドラマを見ただけだったので、やっとこ原作に手を出してみた。
    最終回すら覚えてないけど、調べたらいくつかの作品を2話完結でまとめてて、Fはその中の一つ。覚えてねー。
    真賀田四季が犯人って事位しか覚えてなくて、結末もネタバレも何も覚えてなかったので意外と新鮮に読めたのが良かった。
    21年前に書かれた小説を今更読むのもどうなんだと思ったけど、グイグイ読める。ネタ的に時代を感じる事はあるけど全然気にならない。
    最近は伊坂幸太郎や東野圭吾とか時間が行ったり来たりする話が多かったので、こんな風に時間軸が最初から進むのはある意味新鮮。読み進めた分だけ物語の時間が進むってこんなに楽なのね。忘れてたこの感覚。
    犀川さんの結構好きなキャラクターなので、S&Mシリーズが楽しみ。四季シリーズも読みたいんだけど、何やら結構なシリーズを読んでからの方が良いそうなので、しばらく先かな。
    とりあえず、年内は森博嗣漬けってことですね。嬉しい悲鳴。

  • 理由がわからないけど、良いのかこれで?

  • 学生時代にこの本に出会い、正に人生を変えた一冊。
    このロジックが堪らない。

  • 森博嗣さんの作品は初読了。登場人物がみんな個性的で良かった。だけども、その個性を出そうとしてか少し文章がダラダラと続いて飽きる場面もあった。トリックに関しては、理数について学んでいない人には理解しきれないと思う。現に私も理解できなかった。結末は驚きというより、やっぱりそうだったのかという気持ちの方が大きかった。とにかく、犀川&萌絵コンビのやり取りが気に入ったので同シリーズの違う作品も読んでみたい。

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著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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