すべてがFになる (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062639248

感想・レビュー・書評

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  • 言わずと知れた森博嗣先生のデビュー作。
    今さら感満載ですが、拝読させていただきました。
    僕が今まで読んだことのある森先生の作品は「キルドレ」と呼ばれる戦闘機のパイロット達が繰り広げる戦闘機の空中戦を描いた『スカイ・クロラ』シリーズ、孤高の侍・ゼンを主人公とした剣客小説『ヴォイド・シェイパ』シリーズ、そして最近シリーズが終了したウォーカロンと呼ばれる人造人間をテーマとした未来社会を描く「Wシリーズ」と見事に最近のものに偏っています。
    このような順番の読み方をしている自称・森博嗣ファンの僕などは真の森博嗣信者から異端審問にかけられ焚刑に処せられてもなにも文句は言えないので、あえてそこは黙っていようと思いましたが、おっと、うっかり書いてしまいました(笑)。

    それにしても、これがデビュー作って凄いな。
    小説の完成度が半端ないし、全く古さは感じない。(一点だけ、主人公の犀川先生が煙草吸い過ぎなのは気になったw)
    本書は密室殺人をテーマにしたミステリー小説なんだけど、理系ミステリーの元祖と言われるだけあってそっち系のトリックが面白い。
    やはり森先生自身が工学博士であり、その方面の専門家というところが大きく影響しているんだろうね。

    でも一番衝撃が大きかったのが主人公の犀川先生でも西之園萌絵でもなく、やはり真賀田四季博士の存在感だよね。
    真賀田四季はWシリーズにも『伝説の研究者』ということで出てくるから存在は知っていたけど、デビュー作からここまで大きな存在感を持って登場しているとは思わなかった。

    真賀田四季博士は、天才プログラマーであり、幼少のころから天才の名を欲しいままにしてきた女性。そして15年前のある事件以来、孤島にある研究所に彼女が監禁状態になっているところからこの『すべてがFになる』は始まる。

    真賀田四季博士の外見の美しさ、独特な考え方、生死を超越した価値観、天才的な才能、そして、そこはかとなく漂う不気味さ、いずれもこの本を読む者に対して圧倒的なイメージを植え付ける。
    そして、彼女の放つセリフがそれぞれ、深い。
     「眠りたいって思うでしょう?
      眠ることの心地よさって不思議です。
      何故、私たちの意識は、意識を失うことを望むのでしょう?
      意識がなくなることが、正常だからではないですか?
      眠っているのを起こされるのって不快ではありませんか?
      覚醒は本能的に不快なものです」

     「死を恐れている人はいません。
      死にいたる生を恐れているのよ。
      苦しまないで死ねるなら、誰も死を恐れないでしょう?
      そもそも、生きていることの方が異常なのです」

    いや~、深すぎて。もう、この本を読みながら「いつ死んでも悔い無し」って心境に到達してしまう(笑)。
    森博嗣先生にとって『真賀田四季』とはどのような存在なのだろうとふと考えてみる。
    このデビュー作からその後、数々のシリーズに彼女は登場する。現在から数百年後を描いているWシリーズにですら『マガタ・シキ』として、もはや神に近い研究者のような形で姿を現す。

    森先生の自己の投影?理想の女性?人間が到達すべき完全体?神であり、あるいは悪魔かもしれない存在?

    この命題は、いちおう読書人の端くれとして自らの人生をかけて取り組む価値のあるテーマだと、今、確信しました。(真顔)
    この『すべてがFになる』が発表されたのは1996年。今から23年前、森先生が39歳の時の作品。それ以後、数々の小説が発表され、シリーズものの小説だけで72冊(最新の『それでもデミアンは一人なのか?』まで含め)もの小説が刊行されている。この20数年でこれだけの森ワールドが築かれ、真賀田四季博士はそれぞれのシリーズでキーパーソンとして機能している。

    真賀田四季の犯した『罪』を絶対に許せない、精神的に受け付けられないという読者もいるだろうし、そこは当然森先生も認識しているんだろう。しかし、あえて『真賀田四季博士にその『罪』を犯させたこと』についても、研究すべき対象となるはず。

    次作からは、先ほど掲げたテーマを念頭に置きつつ、しっかりと順番通り読んでいこう。
    という訳で、S&Mシリーズの第2作は『冷たい密室と博士たち』だね!
    あ、でもWシリーズの直接の続編であるWWシーリズの『それでもデミアンは一人なのか?』が発表されてしまったので、この本は先に読んじゃうと思います☆
    ウグイとハギリ博士は結局どうなったのかな~?

  • 学生時代にこの本に出会い、正に人生を変えた一冊。
    このロジックが堪らない。

  • 再読。ドラマ化されて、「こんなんじゃない」感に滅茶苦茶読みたくなって(苦笑)
    タイトルも英語タイトルも中身もやっぱ秀逸だわ。凄い好き。初めて読んだ時の衝撃がちゃんと思い出された。
    元プログラマなのに、Fに、犀川先生に説明されるまで気がつけなくて凄い悔しかったのを覚えてる(^^;

    で、改めて、真賀田四季は実写は無理だよ…。どうしてもやるなら栗山千明にやってほしかったなぁ。
    <本の感想じゃなくてドラマの感想だよね、これ(-_-;)

  • 文系人間だし、普段ミステリ読まないので心配だったけど、「今夜はパラシュート博物館へ」が面白かったので読み始め。久しぶりに、“気が付いたら朝小説”でした。笑

    確かに理系なのかも。
    何をもって理系と言うのかわからんけど。
    コンピュータとかバーチャルとかを「理系」というなら、確かに理系要素がある小説です。でもそういう知識が必要不可欠な小説ではないから、別に文系人間が読んでも支障はないと思う。なぜあえて「理系ミステリ」みたいな言い方をするのかしら。

    事件の起こり方、真相の解き明かし方、とても緊張感があって面白かった。「なんでだろう」「どうしてだろう」って考えさせる素材をしっかり書いてくれているから、先が知りたくなる。要所要所にある、それぞれの登場人物の哲学みたいなもの(記憶について、生物について等)も読んでいて興味深かった。きっと他の作品も読むと思う。

  • 初版当初はまだvrやらネットワーク構築が一般的じゃなかった(と思ってます.違ったらすみません)時代.現代でもちょっと近未来的な話だから全然違和感なく読めちゃいました.
    こんなミステリーわかるわけない笑
    にしても未だに犯人が殺す論理がしっくりこない

  • 孤島の殺人事件、とてもありきたりに感じる設定なのに、理系ならでは表現や独特な人物達が魅力的だった。様々な伏線も想像を膨らませてくれて、長い物語を飽きずに読ませてくれた。

  • 「すべてがFになる」の意味が分かった時に、自分にない分野の才能を感じられて楽しかった。「有限の微小とパン」へ続く序章

  • Xシリーズから読み始めてしまった私にとって、萌絵が19歳というのがとても新鮮。

    そして、Xシリーズの「ムカシ×ムカシ」のエピローグで、真賀田四季を思わせる人物(天才)が出てきていたから、時間軸的に、真賀田四季は殺されていないんだろうなぁっていう頭で読み進めたけど、犀川&萌絵の謎解きまで何も分からなかった…。

    真賀田四季・犀川・萌絵の、レベルは違っても、頭の回転の早い主要人物達の会話や専門用語についていけなくて、途中で挫折しそうになるけど、真相を知りたくて、頑張って読んだ。
    とはいえ、プログラミングについては、私も少しだけ学んだので、強い抵抗はなく読めた。
    その点は自分をちょっと褒めたくなった。

    謎解きがいよいよ始まる「10章 銀色の真実」からは、それまでの倍速で読める。

    森博嗣の作品で、動機なんて…っていうスタンスの原点になったのが、本作なのかなと思ったけど、
    実は本当の時系列としては、森博嗣の処女作に当たるのが、シリーズ次回作の「冷たい博士と密室たち」というのだから驚き。
    それを頭に入れながら、次作を読む。
    贅沢な楽しみが1つ増えた。

    これからは、出版順を守って読むことを決めたのである。

  • 約15年ぶりに読み直した。
    森博嗣ワールドにハマるきっかけとなった本。
    前回は萌絵世代だった私も今は犀川世代。

    今読み直しても、やっぱりスゴイ。
    犯罪の手法ももちろんだが、
    登場人物の発言・会話が本当に魅力的。
    15年前の私は、
    間違いなく犀川に魅了されたのだと気づいた。
    (もちろん私はコテコテの理系です・・・)

    押入れに眠っている森博嗣作品を、
    改めて読み直してみようと思った。

    ただ難点が1つ。
    初読当時は愛煙家だった想い出も重なってか、
    煙草への誘惑を久々に思い出してしまう・・・(笑)

  • 孤島の密室殺人。
    (ネタバレ)何年も前から緻密なにプログラムを仕込んで実行した真賀田四季は天才だけど、そもそも森博嗣という作家が天才なんじゃないかと感心しました。
    理科系頭脳を持ち合わせていない私は、16進法のFの謎を理解するのに必死でしたが(笑)
    犀川先生の頭脳と萌絵のひらめき、このコンビのシリーズをもっと読みたいです。

著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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