冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.40
  • (335)
  • (924)
  • (2078)
  • (149)
  • (18)
本棚登録 : 7977
レビュー : 751
  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645607

作品紹介・あらすじ

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。究極の森ミステリィ第2弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2019.09.16 読了。

    まず、タイトルが斬新。
    だし、森博嗣らしさ全開なタイトルだと思う。

    前作「すべてがFになる」は正直、ミステリーなのかこれ?という疑問が多く、あまり楽しめなかったが、太田忠司氏のノベルス版解説にも書いてあるとおり、本作は“ストレートな本格ミステリー”なので、楽しんで読めた。

    理系ミステリーな雰囲気がありつつ、2時間ドラマ的な人間的な部分がある犯人や動機は良かったし、謎が解けてなるほど!と納得できるくらい最後まで展開が分からないし、本当によく出来た作品。
    犀川助教授が「実に面白い」って言っているのが「ガリレオ」シリーズの湯川助教授を彷彿とさせるな、と思った。ポジション的にも同じだし。

    個人的には西之園萌絵というライトノベルみたいなキラキラ感満載なキャラクターが好みではない。そこだけ残念だけどシリーズ主要メンバーだから慣れるしかない。

  • 既読
    再読

  • S&Mシリーズ二作目。前作の『すべてがFになる』もそうですが、本作も理系ミステリーの魅力爆発です。
    本作もある大学の研究室内で起きた密室殺人事件をテーマにしています。森博嗣先生のデビュー作『すべてがFになる』は、真賀田四季博士の存在が強烈すぎて密室殺人事件だったことをすっかり忘れていましたが(笑)。

    そもそも「理系ミステリー」って何なんでしょうか。
    ネットで調べると『理系ミステリーとは、題材やトリックに科学や生物学など、理科系の学問を使ったミステリー』となっています。理系ミステリーで有名なのはこの森博嗣先生の『すべてがFになる』に続くS&Mシリーズや東野圭吾先生のガリレオシリーズですね。
    実を言うとガリレオシリーズは『容疑者Xの献身』しか読んだことがないので、ガリレオシリーズが理系ミステリーだっていうのはあまりピンときてません←。
    本作を読んでみて、やっと、理系ミステリーとはなんぞやということが分かりましたw。

    通常のミステリーでは、殺人事件が起こって、刑事や探偵がやってきて、現場や被害者、被害者の家族や交友関係のことを調べていき、数々の参考人や目撃者から話を聞いて、犯人を見つけていくという流れになるかと思います。
    本書では、密室殺人事件が起こって、主人公の犀川先生や西之園萌絵が探偵役として事件を調べていきます。
    ここから通常のミステリーと理系ミステリーとの違いが分かれます。

    理系ミステリー(少なくとも本書の犀川先生の推理)は、警察でいうところの「鑑の捜査」をしないんですね。
    「鑑の捜査」とは、被害者の身辺調査や犯行動機の捜査や目撃者・参考人からの聴取やその場所の土地鑑を有する者なんかを捜査することです。

    犀川先生や西之園萌絵は、殺人事件の起こった状況から、
      この殺人を実行することが可能な人物は誰か?
    という命題だけで、捜査を進めていきます。
    この方法は、通常のミステリーしか読んだことがない人にとっては、とてつもなく限られた手がかりだけで捜査をしている様に感じます。
    例えるならば、算数の文章問題で

      ある大学の実験室の中でケンジロウ君が死んでいました。その奥の実験室ではタマコさんが死んでいました。二人とも背中にナイフが刺さっています。他の部屋には、大学の先生や他の学生がいました。この実験室は鍵がかかっていて、出入りするには特別な手続きをしなければなりません。この二人は誰に殺されたのでしょうか。なお、この二人とこの建物内にいた他の人々との間には特別な関係はないものとします。

    みたいな感じです。

    つまり、捜査の基本である被害者の身辺調査も詳細な鑑識活動も無しという状況で犯人を割り出していくのです。
    犀川先生の天才的な推理によって、現場の状況から犯人が誰であるかという問題を証明していく。
    そう、殺人事件の犯人は誰であるかを『証明していく』って言葉が一番この犀川先生の推理方法を語るときにしっくりくる言葉だと思います。

    結論的にいうと、本書、面白かったです。
    もちろん、犯人が割り出された後は、動機とかが解明されますが、それはあくまでおまけみたいなもの。犀川先生の『証明方法』を楽しむのがこのS&Mシリーズの醍醐味なんですね。

    そして、いちいち犀川先生の言葉が小気味良いんですよ。
    本書で僕が一番良かったと思った犀川先生のセリフは、「数学が何の役に立つのか」という答えに対して犀川先生の答え、

      『だいたい、役に立たないものの方が楽しいじゃないか。
      音楽だって、芸術だって、何の役にも立たない。
      最も役に立たないということが、数学が一番人間的で純粋な学問である証拠です。
      人間だけが役に立たないことを考えるんですからね。』

    うん、格好いい。萌絵じゃなくても犀川先生に惚れちゃいますね(笑)。

    犀川先生と西之園萌絵の恋愛の行方も楽しみですし、このS&Mシリーズはゆっくりと楽しんでいこうと思います。

    • くるたんさん
      こんにちは♪
      素晴らしいレビュー、今回もじっくりひきこまれました(⁎˃ᴗ˂⁎)
      私は理系ミステリというだけで鳥肌が立つんですが、なるほど!「...
      こんにちは♪
      素晴らしいレビュー、今回もじっくりひきこまれました(⁎˃ᴗ˂⁎)
      私は理系ミステリというだけで鳥肌が立つんですが、なるほど!「証明していく」ということなんですね♪その言葉でなんだか一気に心がふわっと軽くなりました♪
      ハードルが高く思っていたこのシリーズ、「証明していく」過程を楽しみながら、いつか、いつか…(笑)読んでみたいです✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      2019/07/19
    • kazzu008さん
      くるたんさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます!
      今まであまり理系ミステリは読んだことがなく、しかも根っからの文系人間なのでコ...
      くるたんさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます!
      今まであまり理系ミステリは読んだことがなく、しかも根っからの文系人間なのでコンピュータプログラムを使ったトリックとかよく分からないのですが、森先生のミステリはそんな僕でも分かりやすかったです。

      「証明していく」っていうのも読みながら、思いついた言葉なので、もしくるたんさんのお役に立てたのならすごくうれしいです。
      このシリーズはもう20年以上前のシリーズなので、多少古さも感じますが、十分楽しめますよ。タイミングが合った時に、ぜひ読んでみてくださいね!
      2019/07/19
  • リンク友のページから刺激を受けて手を出したのに、第一巻​『すべてがFになる』​だけ​読み​、その後の「S&Mシリーズ本」が2冊ほど積読になっていたもの。今頃?と言われそうだが、謎解き本に賞味期限はあるようでないから。
    大げさに言えば、ドイル、クリスティーでもわたしの好きな松本清張にしても古くてもいものはいい。ミステリー小道具の変遷も妙味にになる。
    例えばこの『冷たい密室と博士たち』初版は、1996年だからWindows発売故に爆発的にコンピューターが一般化し始めた時期で、ネットワークへ入り込むのやハッカー存在なども新しかったはず。それを思い出すのも楽しく、それに悪いけど密室の謎も手垢にまみれていが、ストーリー展開が面白いミステリーには賞味の期限はないということ。

  • 面白かった‼そしてまたまたトリック見抜けず! 動機はなんなの⁇と思ってましたが、切なかった… 時々、難しい文章があって、むむう、って感じだけど、やっぱり面白かった。 理系の頭脳ってこんな考えかたなのかなぁ。 森作品に絶賛ハマり中です。それしかいうことない☆

  • 「役に立たないものの方が楽しいじゃないか」

    *****

    犀川創平、西之園萌絵のふたりが今回も事件に遭遇。
    最初、また密室!?と少し思った。
    とは言え、前作は「密室」っていうところに軸をしいていなかったといえばそうかなと。
    もう私の頭はいっぱいいっぱい。
    作品中…というより、解説にもカタカナや普段口に出して使わないレベルの単語が飛び交い。
    理系科目が不得意な私は”変数”がすでにおぼろげ。

    気が抜けない森博嗣作品。
    隙間隙間から何かがはまっていくような、はめていかないといけないような感覚。
    でも、癖になりそう。

  • "学問の虚しさを知ることが、学問の第一歩”というフレーズがとても好き。

  • 冷たい密室と博士たち

    190425読了。
    今年36冊目今月15冊目。
    #読了
    #森博嗣
    #冷たい密室と博士たち

    シリーズ2作目。

    実はこれが処女作なのか。
    主人公2人の造形や、思考志向、理系人の生態などは、興味深い。
    「すべてがFになる」のインパクトが大きいが、刊行順を変えてまでそれを世に出した編集者の眼は正しかった。
    表紙は新版もいいけど、これもいいよね。

  • 前作が凄すぎて少し霞んで見えたが、普通に面白かった。

  • 読み終わったの数日前なのでもう内容の忘却の彼方、という感じですけれども…うーん、まあ、これなら「すべF」のがクオリティが高いように感じられますねぇ…つまりは編集部の意向は正しいと言えましょう!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    ちょっと凡庸なミステリというかね…というか、僕はこのトリックがあんまりよく理解できていないのですが…。

    確か、すべF読んだ時にも感じたことですけれども、どうにも登場人物たちがフワフワとしていて、地に足がついていないというか…ファンタジーみたいな感じを受けましたねぇ…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    それとやはりデビュー作だからなのか、あるいは理系の大学教授の人が書いたせいなのか、文章が説明的というか、淡々としていてどうにも物足りなく感じましたねぇ…まあ、こればっかりはしょうがないか…。

    けれどもまあ、つまらないというわけでもなく、このシリーズはまあ、アレですね、雰囲気を楽しむ小説だと認識しましたよ! さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

全751件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)のその他の作品

森博嗣の作品

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする