密やかな結晶 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.83
  • (294)
  • (292)
  • (400)
  • (25)
  • (7)
本棚登録 : 2369
レビュー : 315
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645690

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 閉ざされた島を舞台に、あらゆるモノの存在や記憶が失われていく世界を描いた物語。

    秘密警察や記憶狩りという言葉が大戦当時のドイツを想起させる。

    記憶をなくさない人を匿う生活を中心に描きながら、次第に人の存在までも失われていく過程があまりにも切なくて悲しい。

    喪失が止まることなく救われることはないが、最後の結末はほんのちょっとの希望なのかもしれ無い。

    それが希望かはわからないが。

  • 小川洋子さんの小説は少し辛くて、不思議な読後感になる。
    あらすじを読んだ時は“消滅”をどのように描くのかわからなかったけれど、文体のなせる業なのか、見事に表現していたと思う。
    切ないラストもよかったと思います。

  • 童話のような世界観。静かな文体の中に温かさや切なさがあふれてる。
    挿入されるタイピストの話がだんだんと「わたし」にリンクしてくるところが奇妙でした。
    バッドエンドなんだろうなーと思って読んでいました。
    読了後は寂しい気持ちです。でも、後味が悪いわけではない。ただひたすら、じりじりと希望が奪われていく物語。

  • 『密やかな結晶』という小説の中の「私」も、作中で彼女が書いていた小説の中の「私」も、最後には閉じられた部屋の中で、静かに消えていく。
    どちらの「私」も自らの消滅を淡々と、抗うことなく受け止める。その、ため息が出るような物悲しさ。

    最後まで島で消滅という現象がおきる理由については明かされないままに終わることも合わさって、どうにもできない無力感のようなものが、心に張り付いた。

    ありふれていて、当たり前のように存在しているけれど尊い。そんなものたちが消滅してしまう切なさは、やはり小川さんの文章だからこそ、際立っているように思う。

    星は、4.5。じわじわと利いてくる小説なので、いずれ5になると思います。

  • ひとつひとつ言葉がなくなっていく世界の話。
    「香水」ということばがなくなると、それは無臭の水になってしまうとか、そういう世界。
    終盤「これも消えていくのか」と衝撃を受け、ただただ切なくなりました。なんというラストなんだ。

  • 様々なものが消滅し続ける島。
    衰弱する心と忘れない人。
    声をなくしたタイピスト。

  • 小川洋子さんらしい美しい文章です。
    結局、何一つ解決しなかったので少し悶々とした感情が残ります。
    作品中のもうひとつの物語も魅力的です。

  • ひっそりと仄暗くてかなしくて狂気じみててひんやりしてて、でも美しい

  • この人の世界観は魅力的だけど、どっちかというと短編の方が秀逸だと思う。

  • 【ただただ涙した】

    美し過ぎる消失。こんなにも愛しい感情。超越した世界観。今年読んだ作品で一番素晴らしい。胸が苦しくなるくらい、この本が存在していることをありがたく思う。

    愛は、灰色の雪の中で、死はなによりも赤い流れのそばで、夢はエメラルド色の暗闇の中で。

    本当にいい作品だった。

全315件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

密やかな結晶 (講談社文庫)のその他の作品

密やかな結晶 単行本 密やかな結晶 小川洋子

小川洋子の作品

ツイートする