少年H(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 1383
レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645911

感想・レビュー・書評

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  • 『少年H』下巻。

    これを読んで「戦争とは何だったのか」がやっと分かった気がします。学校でも勉強したし、ヒロシマにもナガサキにも行きました。戦争を描いた小説もいっぱい読みました。戦争はダメです、悲惨ですと、表面上では理解していても、どこか他人事で自分とは違う世界のこと。そんな状態だったと思うんです。でも、読み終えた時、ストンと腹に落ちた気がしました。

    子供の目から見た大人の愚かさ。戦争を続け、体面のために後に引けなくなり、周りが見えなくなっている軍人たち。自分が大人になったからなのか、大人側の考えていることも分かりますし、子供の目からはそう見えるんだよな、と改めて身を引き締める思いです。

    それにしても少年Hの記憶力に脱帽。ん?ノンフィクションテイストだけど、敢えて「小説」とうたっているからには、脚色や作り話のところも多々あるんでしょうね。

  • これは深い1冊となった。
    普通の人の体験した戦争がリアルに描かれてる本だと思う。

    戦時中にどのような生活を送り、何が知らされ、強いられていたのか。
    戦後がどのように人々に訪れて、どうやって立ち直っていくのか。
    知ってるつもりだったのに、本当は知らない事ばかりだった。

    これは戦争を知らない、そして戦争体験者からのお話を聞くことの出来ない子供たちにはぜひとも読んでもらいたい本だと思う。

  • 戦争激化から終戦、そして周囲が激変していく様子に戸惑うHの下巻。
    この時代の中学生はしっかりしているなぁ。
    Hもそうですが、射撃部先輩・杉田さんが終戦を冷静に受け止め、銃の管理を任された身として何をすべきかを考え遂行しようとする姿勢はもう尊敬します。
    こんな感想、小学生のころ読んだ時は抱えていなかったなぁ。
    その頃は私も中学生になったらこんな風になるとでも思ってたのかな…w
    二中の面々は先輩だけでなく先生もいろんな人がいるので読んでいておもしろかった。
    田森教官の変貌ぶりはびっくりしたけど…w

    後半、Hが精神的に不安定になった際の父の対応が素晴らしかった。
    父の反応を見て、自分を客観的に見つめられるようになるHも流石です。
    空襲で焼けてしまったミシンを修繕するシーンが素敵だったので、映画でどんな映像になっているのか楽しみ。

    2013/08/10-12

  • この本中身が嘘だらけと悪名高いらしい。けど少年だったHからすれば小説に書いてあることが事実だったんだろう。お芝居とか小説は史実に忠実でなければならないという考え方はあまり好きじゃない。その時代に生きた人にとっては生きるのが必死でその人生を物語として楽しむ余裕はない。あとになって振り返って初めて物語となる。その時代の出来事に関しては捉え方は人それぞれ。この小説は嘘だらけといってもその程度の違いだと思うけどなぁ

  • 文化的センスがある人は、論理的思考をしているのだな、とHの思考に新鮮味を感じた。
    情報操作され、多くの人が極限に近く、自分の意思で物事を判断することが難しかったころも、Hは自分で考え、判断した。
    下巻は特に、家族の関係がよく描かれていたように思う。
    空襲から母と逃げ惑う場面で、父のミシンを家事から守ろうとする気持ちに涙が出た。
    自殺する直前までいったはかない心理状態、母や父への反発、ちょっとしたことへのいら立ちも、思春期を経験した者はたいてい共感できると思う。
    つらい夜間訓練、学校での一人暮らしは、なんでも受け止めてくれる存在や、愉快な仲間がいたから、乗り越えられたのだろう。
    同じことは繰り返したくない。

  • 久しぶりに読了後の何か湧き上がってくるものを感じた。
    戦争文学として読み始めたが、少年の成長物語という要素が強く、その中にたまたま戦争があったのだという描き方だった。
    今までに触れたどんな作品よりも戦争を恐ろしいと感じた。ぞくぞくしてしまった。自分が死ぬかもしれないという恐怖もだが、これからどうなるのだろうという漠然とした、しかし大きな不安を抱えながら暮らしていること、そしてその不安がいつ終わるのかわからないという恐怖を感じた。
    また、同じ状況になった時、日本は戦争を戦争を止められないだろうと思った。Hがあの時どうすればよかったのかなんてわからない。どう行動したって変わらなかったと思う。そして戦後もあまり変わらない日常が続く。その救いようのない結末が、また絶望感をもたらす。
    自分と同じ世代の少年が主人公であったため、共感性が高かったのかもしれない。しかし共感できるリアルな物語だからとして、その事実を鵜呑みにすることは危険である。
    違った作品を読むことも必要だと感じた。また、戦後の価値観で、言い訳をしているように感じられるシーンもあった。妹尾河童自身の戦争体験とどのように違っているのかも知りたいと思った。
    少年を主人公にしているが、筆者は彼に戦争責任を取らせた。戦争が終わった後、様々な人戦争についてどう思っていたか質問して回るのだ。それは大人だけでなく、同世代の子供達にもだ。子供が主人公の作品は被害者の面の強いものが多いが、加害者にもなりうるということを示した点はとても面白いと思った。
    このような世の中に戻りたくはない。ほかの人もそう感じているから様々な研究、検討、対策などがとられているのだが、本当に意味があるのかわからなくなってしまった。ただ、やらないよりははるかに良いということだけは確かである。
    たくさん考えさせられた。この本に出会えてよかったと思う。

  • 中学生くらいのとき読んだ。
    名作ですよね。また読みたいな。

  • 自由に遊んでいた少年時代から、徐々に戦争が近づいてくる
    当時の生活の様子とか、少しずつ近づいてくる戦争の足音とか感じられる

  • 少年Hの好奇心旺盛な所にドキドキしたり
    H少年のお母さんに対する思いとか読んでて一緒にイラついたよ(笑)
    H少年は頭の切れる賢い子だったんだ~ってでも一言多いのよね
    まぁ素直とも言うが・・・
    下巻の後半の方はH少年の苦しみや苛立ちが凄く伝わる。
    下巻はほぼ戦争の話だけど子供の視点だからか全体的に暗くなりすぎずに読める。
    が、やはり戦争は怖いと改めて思った。

  • 最後がちょっと無理ある感じだったな・・・
    子供が学校の合鍵を作って学校に住んじゃうとか、無理っしょ。

    戦争の責任は誰にあるのか、と少年Hは考える。
    天皇はやはりきちんと謝罪したほうがいいんじゃないかなぁ。
    だって、天皇のために死ぬのが正当化されていたのだし、日本人にも他のアジアの人にもきちんと謝罪してほしい。

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著者プロフィール

妹尾河童
1930年神戸生まれ。グラフィック・デザイナーを経て、1954年、独学で舞台美術家としてデビュー。以来、演劇、オペラ、ミュージカルと幅広く活躍し、「紀伊國屋演劇賞」「サントリー音楽賞」など多数受賞する。また、エッセイストとしても、『河童が覗いたヨーロッパ』『河童が覗いたインド』などの大人気シリーズで知られている。著書多数。『少年H』は、著者初の自伝的小説で、毎日出版文化賞特別賞受賞作である。

「2013年 『少年H(下巻) (新装版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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