地下鉄に乗って (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 679
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645973

感想・レビュー・書評

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  • ―――永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。
    さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。
    だが封印された“過去”に行ったため…。
    思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド

    息子としての主人公
    夫としての主人公
    父としての主人公

    全部好きです

  • 大きな余韻を残します。
    すばらしい作品です。

    自分の人生の主役は自分である。
    自分を中心にしてこの世界を見ている。
    自分を苦しめるモノを憎みたくもなるだろうし、逃げ出したり、排除したくもなるだろう。
    お互いが「自分が主役だ!」とエゴをぶつけ合えば、衝突して、崩壊してしまうことも起こりえるでしょう。

    だけど、その「自分目線」の世界は 真実を映し出せているのだろうか?
    ・・・映し出せていないと思う。
    なのに、目に映ったものを想像して勝手に創りあげてしまう。
    そして創りあげたものは真実であると錯覚してしまう。

    本当のことはその人自身しか知らない。
    その人の言葉の裏の思いや、その人の歩いてきた人生や、その人に置かれた環境を全て見ることは出来ないのだ。
    だったら、目を背けたり、見ないふりをしたり、勝手にこうであろうと決め付けたりしてはいけない。
    広い視野を持て!想像力を働かせ!優しい眼差しで物事を見よう!
    そうすれば、きっと何かが見えてくる。憎しみあうことも少なくなるのではないか。
    それでも、全てを知って「理解」は出来ても、受け入れることが出来ないこともあるだろう。
    人間の心はそんなに簡単なものではない。
    それはそれでいいのだと思う。
    憎しみや怒りの炎は勢いを弱めるだろうから。
    そんなことを、この本を読んで感じたのでした。

    それにしても切ない。みち子の最後の行動。みち子の大きな愛。
    大きな余韻が押し寄せています。

    2007/7/3

  • 描写のうまさと読みやすさ、思わぬ方向へ進んで行く物語に引き込まれた。
    安直なハッピーエンドにならずに尚且つ爽快さと感動が後味に残るのはさすが。

  • 読むの二度目。子供の頃に乗ってた銀座線で駅に着く直前に一瞬車内の電気が消え、ドアの近くの非常灯がつくのがワクワク大好きだった。そんな雰囲気や音も読んでてよみがえる。
    切ないお話にじーんときた。

  • こんなに儚くて悲しい、結ばれない愛の形があろうとは・・・

    • まささん
      同感です! 悲しい結末でしたが、とてもいい物語でした。
      同感です! 悲しい結末でしたが、とてもいい物語でした。
      2012/11/02
  • 地下鉄に乗りながら読みました。確かに地下鉄って独特の雰囲気があるなと思う。どんなに晴れていても暗く、タイムスリップしてしまいそうな雰囲気。物語は、どんどん時代が変わるので、話についていくのが大変なところはありましたが、面白かったです。現実離れをした設定にも関わらず、どこか本当に起こりそうな現象に感じてきます。しかし、切ないなぁー。これが浅田ワールドなんですね

  • 2006年に堤真一の主演で、映画化もされました。

    タイムスリップした先で出会う男がねぇ、
    自分に因縁浅からぬ男だとは。
    単なるタイムスリップの話ではなかったんですね。
    結構深いストーリーになっています。
    だから、映画化もされ、舞台でも演じられたんでしょうね。

    それと、結末が結構悲しい。
    こう言う話だとよく出てくる時間パラドクスの問題は、
    無いんでしょうかね?

  •  東京の地下を何年も走り続ける地下鉄。その無機質な空間を媒体に現代と過去を行き来する事になった2人の男女。(真次とみち子)
     この物語の主人公である小沼真次は成り上がりの成功者・小沼佐吉の次男であり、父を憎悪していたが過去に戻る事によって父の真の姿や、兄が自殺した本当の理由を知る事となる。みち子は真次の恋人であるが、なぜ彼女まで一緒にタイムスリップするのだろう?それが大事なところ。

     僕はこの小説で描写された戦後の混乱期の感じが好き。ガラクタの中から明日に向け生きてゆこうとする若者の姿に心打たれる。東京に住むようになって地名が分かるようになったといいうのも、この本を面白く感じた理由の一つだと思う。

  • 「椿山課長」からの連続しての読み返しをしました。
    自分の脳みそを疑ってしまうほど忘れている。
    参りました。

    お陰さまで
    またこの小説を堪能することが出来て良かったんですが。

    主人公が地下鉄に乗って
    時代時代にタイムスリップして行ってしまう!
    行った先での時代の情景がリアルに描かれている。
    そして今は不仲になってしまった主人公の父が
    行った時代での父の本来の姿を主人公が見る。

    ちょっとした謎が少しずつ解き放されていく・・・
    そして点が線へとつながっていく。

    ラストが予想を反して切なく感じましたが、やはり名作ですわ。
    素晴らしい。

  • 独特の世界観で、同じ空間の中での時間的場面展開を有効に利用しながら、物語が進められていく。全くの他人として、若き日の実の父親と会うのって、かなり興味深い話ですね。

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著者プロフィール

浅田 次郎(あさだ じろう)
1951年、東京都出身。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木三十五賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞それぞれ受賞。2015年には紫綬褒章も授与されている。
2018年現在、日本ペンクラブ会長、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞の選考委員を務める。2018年12月15日、『輪違屋糸里』が藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈らの出演で映画化。

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