地下鉄に乗って (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645973

感想・レビュー・書評

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  • ミュージカルを見て、興味をもって視聴。
    アムールかっこいい。
    でも、ラストはあれしかなかったかのか・・・
    という感じ。
    でも、先が気になるいい小説だと思う。

  • さすがは浅田次郎読ませるねぇ。
    さいごの終わり方は少々気の毒だが、地下鉄を軸にした世界観は楽しめた。映画をみたい。
    そういえばタイムスリップものはありきたりだが、作品として読んだことがないなぁと思った。
    そもそもSFをなぜかあまり読まないんだよな。
    すこしふしぎ。

  • 東京の地下鉄は戦前、戦後の日本の歴史とともに歩んできたんだなぁ。作者は東京の地下鉄にノスタルジックでミステリアスなイメージを見出し、それを作品全体のモチーフとしている。
    地方に住む僕にはその感覚はなかったが、昔から東京に住む人々は地下鉄に対してそんなイメージを共有してるのかな。

    主人公の父親の生き様を通して、戦前から戦後の混沌とした東京の情景が浮かび上がる。その激動の時代を強かに生き抜く日本人の姿に、自分の父母や祖父母が生きてきた道のりを重ね想いを馳せてしまった。

    全体として作者お得意の良質なファンタジーに仕上がってるが、腑に落ちない点も多かった。
    なぜみち子は自殺、というより自分の存在自体を消す必要があったのか?自分が生まれる事で真次を不幸にしてしまうって理屈がわからない。異母兄弟の不倫関係だから?でもお互い結婚できないこと納得ずくなら別にねぇ...
    それと、若き日の人懐っこくて面倒見の良い父親が、なぜ今では冷酷無比のキャラを装っているのか、その真意も明かされないままだった。

    浅田次郎作品の切なくノスタルジックな雰囲気は大好きだけど、なんだか消化不良な読後感が残った。

  • 父の過去を知っていく過程は面白かった。軽蔑していた父は、一人の人間としてみると、壮絶な時代を生き抜き、事業で成功を掴み取ったとても魅力的な人物だった。

    でもこの魅力的なアムールと、息子に嫌われる父の佐吉とがあまり一致しなかった。アムールだったら、困難な中でももう少し暖かい家庭が築けたんじゃないかな、、?その過程には何があったんだろう・・

    そして、真次もまた結局その父と同じ道を歩んでいて・・。最後はもう少し父や弟との関係が良くなってほしかったな。

    あと、母、兄への電話の時、このタイミングでそんな発言してはいけないでしょ・・それを悔いてるんだろうけど・・

  • 情景が目に浮かぶ。
    登場人物の1人になった気分になる。
    現実味のない話なのになぜか現実感がある。
    ノスタルジー感が半端ない。
    総じて面白い。

    映画化されてるみたいだが、文章だけで想像しながら読むことをおすすめする。
    視覚化しない方がより楽しめることを証明した1冊なのではないかなと。

  • 悪くない。タイムスリップ物で、どことなく重松清「流星ワゴン」と似た匂いのする作品。一気に読めてしまう文章も好感。

    背表紙から〜
    永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため・・・・・・。思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド。吉川英治文学新人賞に輝く名作。

    うん、背表紙に書いてある事に嘘はないけど、そこまでの感動は・・・微妙かなぁ。
    最後も好みのラストじゃないんだよな。もちろん、ウルッとくる描写は所々にあるんだけど。

    限りなく☆5個に近い☆4個

  • 2007年5月20日読了。

    SFか、ファンタジーか。前回の短篇集でも感じたが、浅田作品の共通したイメージ。
    タイムトリップ体験。それ自体は、SF。過去に遡り、反目している父親の若き日を見ることになる真次。同時に巻き込まれるみち子。彼らの間柄はいわゆる「愛人」関係。何らかの力で過去に行ったり、現在に引き戻されたりしながら、このトリップにより次第に明らかになっていく父親の姿。真実。ぐいぐい引き込ませる。そして、なんという結末。それでも彼はまた、地下鉄に乗って出かけるのだ。

  • 最高、俺の原点

  • 資料番号:010437598
    請求記号:F/アサダ

  • 2015.01.20読了。
    今年2冊目。

    この作品のほうが先に書かれたものなんだけど、流星ワゴンと似てるなーと思ってしまった、ごめんなさいw

    地下鉄を通じて過去にさかのぼり、自分の父の人生を見るというお話。
    これを読んで私も若い頃の父に会ってみたいなと思った。
    私の知らない父の人生を見てみたい笑

    途中までは面白かったったんだけど、最後がなんとも切なくて後味悪い感じだった。
    他に方法はなかったんだろうか。
    父との関係がどうなったのかも気になり少しもやもや。
    どうせならキレイなハッピーエンドが良かったなと。

    いろんな時代にさかのぼり、美しい東京も荒んだ東京も描かれていてとても興味深かった。
    見たことないのに実際に見ているかのように景色が想像できて面白かった。
    確か映画化されてた気がするので映像でも見てみたいなと思える作品でした。

  • 電車のお供②映画は以前に観た記憶が。主人公が地下鉄の階段を上がると、そこは兄の自殺する直前の風景。タイムスリップにより、反発し続ける父の過去、兄の自殺の理由、様々なことが解かれていく。そしてやはりこのラストは涙なしには読めない・・・。この本を読むと、離れて暮らす父に会いたくなる。そんな自分は明日も地下鉄に乗って出社。名作でした。

  • お兄さんがつらい…

  • 独特。暖かくて切ない懐かしさ。
    戦後の混乱と、テンションの高さ。生き抜くための必死だけどどこか和やかな空気。
    タイムスリップの話というSF要素を背景に(前面にではなく)、戦後の生々しく灯りの灯る生活と、地下鉄が運ぶ今のつまらなく閉塞感のある世界とにまたがる血と愛。

  • 最初にこの本を読んだのは2003年前後だったと思います。当時、僕は二十歳前後の大学生でした。残念ながら読んだ時にどのような感想を持ったのかは記録していませんが、印象に残ったことだけは間違いありません。たしか10年前に読んだときは、主人公の真次の視点で物語を読んでいましたが、今回は父親の気持ちを考えながら読んだ部分が多かったように思います。自分の成長(あるいは老い)とともに読み続けることができる作品に出逢えたことに感謝です。

  • SFですね。少し不思議の意味での。
    親の過去を話しに聞くことは出来ても、実際にその目で見ることは子には出来ない。
    憎んでいた父も時代を一生懸命に生きたのだ。
    兄の死を回避したと思っても、今は変わらず。そう思って過去に干渉出来ないと思っても、実は過去に干渉していた。
    みちこが選んだ方法が良かったことなのか?
    浅田さん、みんな幸せにしてやってくれよと思います。

  • 浅田次郎さんのデビュー作。たしか映画にもなってましたよね。

    日本人得意のタイムワープものですw

    テーマは家族で、重要なアイテムがタイトル通り地下鉄。ただ、地下鉄が、わりととってつけた感があって、よく分かんなかったです。登場人物が、地下鉄地下鉄言っているだけで、あまり感情移入できなかったというか・・・時代が違うのかな。

    あと、余韻を残すといえばいいのかもしれないけれど、最後のほうが説明少なかったです。

    戦後直後へのタイムワープ話って結構多い気がするんですけど、この時代の話は、苦しいながらも未来に希望があって、わくわくします。

    この作品は、むしろそういう姿を活き活きと描いていて素敵でした。

  • 物語が繋がって行く感じがぞくっとする

  • ミュージカル化された時の動画を偶然観て、その曲の旋律に感動したから原作も、というだいぶゆがんだ理由。
    浅田次郎は食わず嫌いだったけれど、読んでみてよかった。

    父に対するわだかまりをかかえた主人公が、地下鉄でタイムスリップを繰り返し、過去をみてゆく。
    戦時中、戦後のくわしい描写に、地下鉄の絶妙なあわせかた、そこにタイムスリップという現代的なお題。
    不思議な雰囲気をまとった作品。
    そして張り巡らされた伏線が、ハッとさせられるタイミングで回収されてゆく。
    期待が高まるだけに、ラストはちょっと物足りなさもあったけれど、それでも、苦しさを抱えて読了する作品というのは、やはりのめりこんでいたということなのだろう。

    主人公はこれからも生きてゆかねばならない。
    周りの登場人物の描写が少し粗いのは、あくまで彼を軸に据えて描いているからなのかなとも思う。
    群像劇のようにすると、誰もが必死で、誰もが苦しみながら一生懸命生き抜いてたんだ、というありきたりの話になりそうだし、これはこれでいいのかなあと。
    やっぱり自己中心的なのがふつうの人間だとも思うから。

    地下鉄に乗って、ぼんやりと景色を眺めてみたくなりました。

  • ラストでの、みち子の行動は理解しがたいなぁ。
    もっと違う方法があったはず。

    昭和初期の躍動感あふれる空気を感じさせるダイナミックな展開だったのに。最後はやるせなさだけが残ってしまったのが、残念でならない。

  • 自分自身が地下鉄通勤者で、しかも銀座線利用。その銀座線はレトロスタイルの車両に最新化されつつある今、この本を読むことができたのは何か運命的なように感じた。

    ファンタジーの要素もありながら、とにかく切ない。
    存在が無かったことになってしまう女性があまりにも衝撃的で、のめりこんでしまいあっという間に読み終えてしまいました。浅田次郎の著作は初めて読みましたが、ほかの作品も読みたいと思わせる素晴らしい一冊でした。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

浅田次郎の作品

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