地下鉄に乗って (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 679
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645973

感想・レビュー・書評

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  • タイムスリップもの
    確執ある父親の過去をめぐる旅

  • 浅田次郎あんまり好きじゃなかったけど、有名作品の割にこれは面白かった。流星ワゴン、とかの原型?何だかよくわからないタイムスリップで、大嫌いだった父親が実は・・・的な内容。ハッピーエンドでもないし、不倫相手?的な子が幻扱いで消えていくし色々理不尽なところがあって好きな終わり方だった。

  • 銀座線に乗るたびに、過去へ過去へとタイムスリップしていく主人公、そこで写し出される事実は、兄の死の原因、父親の人生、愛人の出生など人それぞれの秘密をあらわにさせていくのだが、なぜ主人公のために愛人を死においこみ歴史を変えさせまでしたのかが不可解な作品

  • 切実さのある小説だった。父の事情、母の事情、兄の事情、そして愛人の事情。誰が正しいとか正しくないとかではなく、みなが懸命に生きているということが描かれていた。

  • 売れすぎの感があって長らく敬遠してきた浅田次郎。数年前に『プリズンホテル』と『きんぴか。』をなかば無理やり貸してくれた人がいて(笑)、お断りするわけにもいかずに読み始めたらこれがめちゃめちゃ面白い。笑って泣いて勇気づけられ、以来、浅田次郎の虜です。敬遠していた時期も、浅田次郎原作の映画化作品はすべて観ていたので、これもほぼ10年前に観たもの。ようやく原作を読んでみたら、映画で泣いた記憶のあるシーンは、原作でもやはり泣きました。

    ひょんなことからタイムスリップした主人公が、傲慢で冷酷な印象しかない父親の若かりし頃に会います。戦時をくぐり抜けた父親のちがう側面を知り、また、現在の自分が愛する女性の出自を知る主人公。「お母さんの幸せと、私が愛した人の幸せを秤にかけてもいいですか」、「親っていうものはね、自分の幸せを子どもに望んだりしないものだよ」、このふたつの台詞には原作でも心が震えました。

    これを読む前に『かわいい自分には旅をさせよ』を読んだばかり。本作が年収百万円の時期に書かれたものであることを思い出し、きっとこの人はその頃のこと忘れることなく、今も小説を書き続けていらっしゃるのだろうと思いました。

    映画の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/f9cb848fde2919d053f8b1eaafc45888

  • 読みやすく最後までさらっと読めました。けれどいまいち話に入り込めず、期待していた分、残念です。読込みが足りないのか、それとも人生経験が足りないのか?


    何度も過去へ行き、父の人生を辿り、知らない一面を見ることができた。でも、兄の自殺は変わらず、父の会社に勤めるでもなく、父の見舞いに行くこともない。ただみちこが消えただけ。何も変わらなかった。
    不思議です。なぜ過去へいったの?父を成功させるため?みちこを消すため?どうして分かっていた兄の死を止められなかったの?どうしてみちこが消えるという改変はできたの?愛人、デザイナーという人間一人の存在が消えて、どうして真次の人生も会社の在り様も変わらないの?
    全然納得できなかったです。
    兄もみちこも、自分の存在を消してしまいたい思いに駆られたのだろうとは思うのですが、そこまでさせたくなる程の魅力を、父にも真次にも感じない。佐吉が魅力的な人だとは分かったけど、それを兄が感じていたとは思えないし。
    過去へ行き父の人生を辿っていくのは楽しかったのですが、読了の後味は悪い上「結局なんだったの?」という疑問だけが残る、消化できないものでした。

  • 数年前に母が亡くなりました。家族として長い時間を一緒に過ごしてきたけど、本当の母の姿を自分は知っていたのだろうか?

    父に反発し生きてきた主人公が父の人生を走馬灯のように眺め、初めて父の心の中を理解する。

    私にもそんなチャンスがあれば。
    もう少し母に優しい言葉をかけてあげられたのではないだろうか。

    母と大喧嘩をした時に「化粧品も買わずに我慢して頑張ってきた私の気持ちがわからんか!」
    と言われた時の記憶が蘇りました。
    そして母は泣いていました。
    その時の私はその言葉を理解するにはあまりにも若すぎた。なんと言い返したか記憶にないけど、きっとより一層母を傷つける言葉だったと思う。

    もう少し早くこの小説に出会えていれば、母が私の知らない人生の苦悩を乗り越えて生きてきた一人の人間であると理解する事ができたんじゃないだろうか。

    若いうちに読んでほしい作品です。

  • 浅田さんの他の作品が素晴らしすぎるから、それらと比べるとちょっとわかりにくかった。タイムスリップした時代とかイメージしにくいからかな?

  • 地下鉄に初めて乗ったのは小学校2年の時!椅子には座らなかったのですが、とても静かな乗り物だった様な気がします。

    東京都内の地下鉄が統合されて、いつの間にか東京メトロと呼ばれる様になった時『メトロ』という響が何故か柔らかくて、ノスタルジーな気分を運んできてくれる言葉だと思った様な気がします。



    地下鉄の駅の階段を上がると何故か其処は昭和39年だった。
    傲慢な父とのいがみあい、自殺した兄・・・

    一つ一つの誤解を解きながら運命という言葉の意味を知る事になる物語。



    因みに、浅田次郎さんの作品を読むのは20年ぶりで二作品名。一作品名の『日輪の遺産』が気に入らなかった訳では無く偶々手に取らなかっただけでした。

  • タイムスリップというファンタジーを使いながら、ありきたりの終わり方ではなく、ずんと苦味が残るラストシーン。
    その苦味は、悲劇的な感傷とも、また、違っているようです。
    賛否はあっても、この苦味が、人の心の複雑さやそれを抱えて生きていく姿をを映し出しているようにも思えます。

    父と息子の相克と和解の物語、きれいごとではない男女関係の物語、そのどちらとして読んだとしても、苦いです。

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著者プロフィール

浅田 次郎(あさだ じろう)
1951年、東京都出身。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木三十五賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞それぞれ受賞。2015年には紫綬褒章も授与されている。
2018年現在、日本ペンクラブ会長、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞の選考委員を務める。2018年12月15日、『輪違屋糸里』が藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈らの出演で映画化。

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