風来忍法帖 山田風太郎忍法帖(11) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (708ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646277

感想・レビュー・書評

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  • 極悪非道な香具師たちの心境の変化と、非戦闘員である彼らが強大な敵(風摩忍者)に立ち向かう絶望感と、誰もが魅了されずにはいられない麻也姫が、本作の魅力。
    そこそこボリュームがありながらも、香具師たちの陽気な騒々しさが全篇にみなぎり、停滞や失速なく一気に読ませる疾走感がすごい。
    後半は思わず涙ぐんでしまうこともしばしば。
    間違いなく忍法帖シリーズベスト5に入る傑作だと思う。

  •  下ネタ満載シリアスコメディかと思ってたら予想外に面白かったです。女性を犯しては売り払う最低集団が自分たちを馬鹿にしたお姫様を付け狙う内に成り行きでお姫様を守ることになり、最終的には心底お姫様に惚れぬいてお姫様を守るため絶望的な戦いに身を投じるってどんだけ私好みの展開なんだ。
     香具師たちの性格や設定がきっちり活かされてて、使い捨てにされていく くのいちたちにも言及があったのは好感、なんですが、お姫様のキャラクターが若干ブレ気味だったのが気になるかな。聡明なんだか勇敢なんだか無謀なんだか無邪気なんだか、それらひっくるめてってことなのかもしれませんけども。

  • 人を騙し、女を売り歩き、戦場を荒らし、やることなすこと常識外れのとんでもない7人の香具師が主人公。行いを見れば到底ヒーローにはなりえない悪者達ですが、その大胆不敵、自由奔放な生き様はどこか憎めません。

    冒頭からの彼らの非道な行いに呆れたころに、絶世の美女、麻也姫が彼らを一刀両断するのがなんとも気持ち良く、風のように捕らえどころがなく、女を物のようにしか見ていなかった彼らが、強烈な一発を食らわせた麻也姫に執着することとなるこの場面が見事です。
    悪者の顔を踏んづけて決め台詞を吐く麻也姫に、7人の香具師同様読んでいる私もぐっと心を捕まれました。

    7人の香具師が恥をかかされた復讐の為だ!とかなんとか言いながら、麻也姫に近づきたいが為に、厳しい忍者修行に耐え、あの手この手で頑張る姿は微笑ましい。とくに悪源太は好きな女の子をいじめてしまう悪ガキのようです。
    しかし、口では薄汚いことを言いながらも麻也姫へは純粋な敬愛を持っているのとは反対に、麻也姫以外の女達には相変わらず冷淡で、特に女忍者達の扱いには胸が痛みました。
    麻也姫という絶対的なヒロインがいる限り女忍者達の末路は決まっているようなもので、それ故あのラストはなるべくして、という感じがします。

    政治的な謀略によって敵味方の構図が変化していくのもおもしろく、忍城での攻防、忍術合戦も迫力満点。
    旗を立てるシーンなど名場面が多いです。

    それにしても麻也姫がかわいい。
    近づきがたい気高さと親しみやすさが同居した魅力的なヒロインで、悪行三昧だった香具師が彼女に命を懸けてしまうのもうなずけます。

    香具師たちの声が哀しく響くラストは、彼らの生き様、麻也姫への想いを包括した、もうこれ以外にないという素晴らしい結末だったと思います。

  • これは面白かった。
    忍法帖のなかでも一番いい!
    7人の香具師たち、人間としては最低だけどたくましい生き方。忍者じゃない(スーパーマンじゃない)ところもまたいいです。ま、人間離れした特技は持ってますが。

    舞台となっている忍城、「のぼうの城」と同じ石田三成が攻めて、北条滅亡時に唯一負けなかった城。
    麻也姫のちょっと天然なところもよかった。

    そして悪源太のラストシーンはちょっと涙しちゃいました。

  • 関白秀吉の時代に小田原で暗躍する7人の香具師が風魔小太郎のもとで忍法修行を受ける。彼らに与えられた任務は「秀吉の千成瓢箪を盗む」こと。7人はこの難題に挑む。忍術に伝奇的要素を絡ませた奇抜なストーリーは面白いこと間違いなし!山田風太郎の真骨頂、文句なしの傑作長編。

  • 私は「のぼうの城」より
    断然「風来忍法帖」派です!

  • 再読。

    個性の強いキャラクター群。
    途中まではいつもと違う陽の雰囲気でこのままいくか?と思ってしまうほど忍術合戦までが長い。
    超人的な忍術に対して知恵とハッタリで戦うのかと期待したんだがなぁ。
    題材が忍城戦というとこはものすごく楽めた。
    「のぼうの城」が当然読み返したくなった。

  • やってることは最低だけど剽軽でどこか憎めない七人の香具師たち。
    そんな彼等を追いかける七人のくノ一。
    自由気ままな彼等に感情移入しちゃった分だけ、後半に一人また一人と減っていくのが寂しくてやりきれなかった。

    それでも大好きな姫君や悪源太のためにみんな命を張って見せ場を作って、明るく悲しくそして痛快な物語だった。

  • 山田風太郎 著 「風来忍法帖」を読みました。

     豊臣の大軍勢に対し、わずか数百人の手勢を率い、北条方の小城・忍城を守る美貌の麻也姫。その麻也姫を守って、敵の忍者と命を賭けて戦う7人の香具師(やし)たち。

     この7人の香具師たちは、一癖も二癖もある一筋縄ではいかない荒くれどもで、はじめは麻也姫を襲うおうと姫に近づくのに、いつの間にか、命を賭けて姫を守るはめになってしまいます。

     ここら辺の展開がなんともうまく、さすが山田風太郎ここにありといった感じです。

     姫を守るため、敵の無敵の忍者にも、悪知恵を使いながら、命を落としてまで、立ち向かっていく様は、男の生き方として、憧れを感じてしまうほどです。

     特に、ラストのシーンは、あまりにせつなく、人を思う心の清らかさに胸が打たれます。

     やっぱり、風太郎忍法帖はやめまれません。

  • 5月1日読了

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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