文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 9557
レビュー : 1036
  • Amazon.co.jp ・本 (1060ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646673

感想・レビュー・書評

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  • たためるのか不安になるくらいに風呂敷を広げながら、目前で一挙に回収された気分を味わった。前作に引き続き膨大な情報量や蘊蓄(毎度のことだが)の至るところに、匣というキーワードがちりばめられていながら、出来事が一括りにならないもどかしさに思わず唸ってしまう。
    読者は中禅寺以外の視点で物語を眺めることになるのだが、木場や関口と同じ場所でウンウン唸っている読者の遥か頭上で、中禅寺がずっと高次元な憑き物を前に頭をかきむしっている。
    そこが作者の巧いところで、目の前の問題を意図も簡単にブレイクスルーしてしまう中禅寺に推理も結末も任せてしまいたくなる。
    ちょっと納得し難い非現実も、このトリックで納得させられてしまう。
    物語の全貌を見通せているように錯覚させておいて、最終的に中禅寺が絡まった謎をほどいて再構築してくれるのが悔しくも爽快だった。

  • やっぱり長い京極夏彦。

    列車事故、誘拐事件、バラバラ殺人。

    それぞれ違う犯人が影響しあっている。

    複雑な人間関係が難しかった。

    ラストで久保が匣に入るけど、そこは天国ではなく無間地獄。
    そこは因果応報かなと思えた

  •  高橋悠治が曲をつけているので、谷川俊太郎の「箱」という詩を知っている。
     空っぽでも気にしていなかった箱は、ある日、人柄が変わって、小声でヴェルディのアリアを歌い、中に何か入れるんだ、手足のもげた人形でもいいと涙ながらに言い張るのだ。
     といった内容の詩を京極夏彦は知ってか知らずか、手に持てるような箱に生きた少女がみっしりと詰まっているという小説、つまり作中作の断片を示しながら、『魍魎の函』という話を進めていく。私は15年くらいぶりに読み返す。

     14歳の頼子と加奈子、ふたりは親の目を盗んで夜の小旅行に出かけるが、頼子の目の前で加奈子は鉄道事故にあって、瀕死の重傷を負う。ちょうどその列車に乗り合わせた警視庁刑事・木場が事件に巻き込まれる。加奈子が担ぎ込まれる箱のような形をした怪しい医学研究所。母子家庭で無理をしてお嬢様校に入れてもらっている頼子は母とうまくいっていない。母は家に取り憑いた魍魎を箱に押し込めて除いてくれるという怪しい霊能力者を家に呼び入れる。
     この木場や頼子の視点で三人称で語られる部分と、小説家・関口の一人称の部分が初めのうちは交互に配置される。関口はカストリ雑誌の編集者・鳥口とともに連続バラバラ殺人事件の取材に行く。今回の舞台は神奈川なのだが、相模湖に人間の足が箱に入れられた沈められていたのだ。そこでたまたま、箱のような異様な建物とそこにいる木場に出会う。さらに鳥口は霊験あらたかな箱を用い、信者たちをどんどん不幸にしていく霊能力者を取材しようとしている。
     関口と鳥口は京極堂のところに話を持ち込む。さらに推理しない探偵・榎木津のもとにも関連した依頼が舞い込む。榎木津、快刀乱麻の活躍だが、何も解決しないのはさすが。
     箱は箱だけでいいのか、中身が必要なのかという問いを幾人かの登場人物のあり方に投げかけながら話は進む。しかしこれらの事件は連続した事件ではないのだと京極堂はいう。だいたい5人くらいの殺人者がいるのだよ、この小説は。京極堂は何かを知っているのだが、それを明るみに出したくないと思っている。

  • あまりの分厚さに躊躇してはいけません。読みだして3分後、その分厚さの戸惑いがわくわく感に変わるでしょう。
    前作同様、医学・社会学・民俗学・心理学・・・といろんな専門的言語が飛び交い、読書中の言葉の検索回数は圧倒的だけれど、それがまたこのシリーズの読書の醍醐味のような気になりアドレナリンが爪の先まで行きわたる。
    私が生まれる前の知りもしない時代背景だけれど、モノクロームの少しピントの合わないような映像が私の頭の中で確かに再現される、タイムワープした気持ちにさせる変な現実感を感じさせる作品だった。

  • 1995年出版。

    まだ年齢が一桁のうちにジョジョや多重人格探偵の洗礼を浴びた私にとって、その分厚さに尻込み、その不吉を畏れ、また万一拍子抜けする中身であったらという仮設された落胆を忌避して触れてこなかった作品ですが、いやはや……言葉もありません。凄まじすぎて。大作ですよ。スケールが違いすぎた。精密さも。だめだ、まじで、なんもいえねぇ

  • はあ〜〜!箱匣筥、、、!

    中身もそうだけど、構造がすごい。
    1作目以上に、層が厚くて、追いかけていたものが見失ったかと思ったら層をなして結びつくことを繰り返していて、そこにも感動した。

    言葉にならないので、他の人の感想を見ていて。その中で1作目は認識の話だったのが、「順番」の話というものがあってなるほどなと。
    わたしは何かなと考えてるんですが、的確な言葉にするの難しいな。。
    何かと言うと、ぐるぐるして惑わされる感じが、この感覚が、魍魎がつく感覚なのかなと思ったりもするな。

    宗教とか信条も1つテーマかなあ。今自分が日常で考えてること(信じること)と一致するってこともあるけれど…。
    広い意味での、宗教、「信心」かなあ。

    他人のものが羨ましくなることあるよね!って思うし、でも大切なのは何を自分が大事だと思うかだし、それは人との関わり合いで見つかるといいなと思うよね。。
    あとは、「欲求」とか…?満ち足りてない(箱をいっぱいにしたい)ということ?

    「とおること、魔がさすこと、感情的になること」と「理性的でいること、感情をださないこと、理屈でやってしまうこと」の対比も面白かった。

  • 10数年ぶりの京極堂シリーズ再読ブーム第2弾。
    厚みがあって、いくら読んでも終わらない幸せを味わえる本です。重くて手が疲れるのが難点。
    姑獲鳥同様断片的に覚えていた内容。
    改めて読むとすごい作りこんである……ううう面白い。
    複雑なのに京極夏彦の文体が読みやすいしわかりやすい(蘊蓄除く)。
    姑獲鳥同様、事件は実際起きたらとんでもなく猟奇的なんだけど、ただ『異常者による猟奇殺人』とはならないのが京極堂シリーズの好きなところ。
    占い宗教オカルトの解釈が面白かった。

    関くんの黒歴史に続く
    木場の黒歴史巻。
    なのに結局関くんダメージを受けている。大丈夫か。
    そして榎木津礼二郎、さらっと命を救う。

  • 初京極夏彦デビュー。
    もっと魑魅魍魎奇怪なお化け寄りな感じかと思いきや、ずっしりとしたミステリーで意外だった。
    出てくるキャラがどの人も個性的。
    ただ京極堂のうんちくが長くて長くて長くて…
    面白いうんちくの時はスラスラ進むけど、そうじゃ無い時はしんどくて、正直本編の話がなんだったのか忘れてしまうことも…
    でもまた機会ぎあれば他のも読んでみたい。

  • 活字が書いてある鈍器シリーズ、もとい百鬼夜行シリーズ第2作目。
    一番有名な気がする。

    またしても風変わりな面々によって複数の視点から事件を辿っていくのが面白い。みんな狂ってる。

    「匣」が重要な鍵らしい。箱。魍魎。虚ろ。周りの景色が唐突に歪んで多重に見えていく、雰囲気と言葉のひねくれ方が好きです。
    重苦しくかび臭くいて軽快な。

    姑獲鳥の夏の、ほんとは有ったのだけど私には無かった!認識と妄信の産物!どんな読者も解決できまい!みたいな怪奇事件の方がインパクトあって良かった。

    加菜子殺人未遂、加菜子誘拐事件はぼんやりとネタが分かってしまったので。
    それでもこの詭弁だらけの訳の分からない分厚い話を一気読みさせる勢いと文章がすごいなあ。

  • 一作目を読んだ後に、少し休憩して軽めの本を読もうと思ったが、つい手に取ってしまった。
    めちゃくちゃ面白いが、流石に分厚すぎて萎えてしまい結構読むのに時間がかかった。本当に箱のような本。
    今度こそ当分京極堂シリーズは休憩したい。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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