- Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062646680
感想・レビュー・書評
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芥川賞受賞の表題作は、崩壊している家族の物語。他2篇収録。
柳美里は、「命」シリーズ以外はもう読むまいと思ったのに、また読んでしまい、後悔している。彼女は人にまで絶望を押し付けている気がして、耐えられない。救われたいから書いているわけではないにしても、こんな小説を書いている限り、本当に一生救われない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
登場人物たちの気持ちにいまいち入り込めない部分が多かったが、それでも人間の業の深さや複雑さなどがよくわかった。
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「シヌわけがない」印象に残るなぁ、これ。
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芥川賞受賞作。柳美里の若き才能溢れる本。
書き出しも素晴らしい。これほど表現力が豊かな作家もそうはいないだろう。また、硬質な心理描写もいい。人間の心の内面を描くとすれば、女性作家としては高村薫よりうまいんではないかと思う。
表題の他、2編の短編を収録しているが、どれもいい。特に表題作はお勧め。見事に作者が意図する“家族”と“シネマ”のつくりものの滑稽さと、もろくも崩れる不安定なバランス感覚がマッチして、絶妙な一つのテーマが融合されている。 -
風景描写の巧みさに舌を巻く。鋭い観察眼とそれを見事に表現する語彙と文体。すっげえと思いながら読んでた。
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初めて読む柳美里。
10代のころに「石に泳ぐ魚」のあれこれで知った名前で、そういや小説読んだことないな…と思ったら面白いじゃん…もっと早く読めばよかった…
読んだ後に知ったけど、これも私小説に近いのかな?
いやらしくない陰鬱さで、女ーーーーって感じで、よかったな。 -
表題の家族シネマはビジュアルに斬新さを感じたが、訳のわからない家族の行動や会話に苛立ちを感じた、しかも長い。
真夏は良かった。日常のほんの一時に、回想シーンも含め、主人公の内面を描写する構成が好きかもしれない。
潮合いはいじめをテーマにして、子供たちの内面を淡々と描いた短編。
家族シネマは映画化されたよう、どう映画にしたのか気になる。面白くなさそうだが