詩的私的ジャック Jack the Poetical Private (講談社文庫)
- 講談社 (1999年11月12日発売)


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本 ・本 (474ページ) / ISBN・EAN: 9784062647069
作品紹介・あらすじ
死体に残された傷は何を意味するのか!?
女性が死んでいた。みな密室で。歌詞のとおりに1人、また1人。
大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!
感想・レビュー・書評
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S&Mシリーズの4作目である本作。本作の印象として、前回までのシリーズとは打って変わって主人公である犀川が不在の中、もう1人の主人公である西之園が事件に巻き込まれていくことがとても印象的でした。
本作はまず、大学教員が密室のログハウスで女子生徒の遺体を発見することから始まります。その遺体は絞殺された痕跡とともに、衣類が脱がされ、ナイフによる切り傷で作られたメッセージが残されています。そして、事件が連鎖していく中で1人のミュージャンに疑惑の目が向いていきます。果たして、殺人犯はどのようにして、密室を作り、なぜこういう犯行に至ったのか…というストーリー。
事件のトリックと推理の導き方に関しては、森さんの特徴とも言える、理系工学に基づいたトリックであり、かつ論理の筋道も思考過程を踏まえながら主人公が話してくれるので、知的好奇心がそそられるようで相変わらず面白いなと思いました。
また、少しずつ主人公の関係性にも変化が見えてきて、シリーズも深まってきたなぁと個人的には思いました。 -
森博嗣先生のシリーズ作品をすべて読むというのが僕のライフワークのひとつであるが、本作はS&Mシリーズの4作目である。
本作も理系ミステリーの魅力爆発であるが、今回は正統派な密室殺人が複数発生する。
前作の『笑わない数学者』に比べるとトリックもかなり入り組んでいて読み解いていくのに力量がいる感じだ。
さて、S&Mシリーズは理系トリックを解き明かすのも魅力だが、犀川先生と西之園萌絵との恋愛の行方が気になるところだ。
今回は萌絵ちゃんがかなり大胆に犀川先生に迫っていく。お酒の力を借りたとはいえ、萌絵ちゃんからはっきりとああ言われてしまうと犀川先生も誤魔化しきれないよね。
21歳の萌絵ちゃんをお子様扱いするのも気が引けるし、かといって13歳も年下で、幼いころから知っている自分の教え子に邪な気持ちを抱くのも大人の男性としてどうなんだ……と考えてしまう犀川先生の気持ちも良くわかる。
まあ、この二人がどうにかなるのはいずれにしても萌絵ちゃんが大学を卒業してから考えるというのが一般常識的には一番波風が立たないのだろうな。
このS&Mシリーズで僕がもう一つ楽しみにしているのが、犀川先生の名言だ。
今回の犀川先生の名言はこんな感じ。
犀川先生が萌絵ちゃんから大学院に進むことについて『自分は研究に向いているか?』と質問された際に答えるセリフだ。
犀川『研究ってね。何かに興味があるからできるというものじゃないんだよ。
研究そのものが面白いんだ。
目的を見失うことが研究の心髄なんだ。
君が、今、殺人事件に夢中なのと同じ。
君だって、殺人が好きなわけじゃないだろう?』
萌絵『不思議なことって、あまり日常にないでしょう?』
犀川『勉強すればたくさんあることがわかるよ。
わかっていないことばっかりなんだ。
ただ、みんな、不思議を見逃しているだけだよ。
ブーメランがどうして戻ってくるのか、
ヘリコプタがどうして前進するのか、
工学部の学生だって誰も知らない』
う~ん。犀川先生の言葉にはいちいちうなずかされる。こういう風に言われると、じゃあ、勉強ちゃんとしようかなって思ってしまうよね。
僕はもう40をトウに超えた中年男子だけど、中高生の時にこのS&Mシリーズを読んでいたら人生変わっていただろうなって思うなあ。-
kazzu008さん
こんにちは。
1月から、その月の最後に読んだ本に、その月のベスト3を載せています。
きょうから始めています。
...kazzu008さん
こんにちは。
1月から、その月の最後に読んだ本に、その月のベスト3を載せています。
きょうから始めています。
やま2020/02/23 -
各位
こんにちは。
1月最後に読んだ本は、「新・浪人若さま 新見左近【四】-桜田の悪 (双葉文庫) 」です。
見つけ方は、私のページの...各位
こんにちは。
1月最後に読んだ本は、「新・浪人若さま 新見左近【四】-桜田の悪 (双葉文庫) 」です。
見つけ方は、私のページの「読書グラフ」の2020.01をクリックして、1月、本、27(冊)をクリックして、一番最後までもって行くと最後に読んだ本の所に行き当たります。
やま2020/02/23
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今回は今までのシリーズ3作品より犀川先生の名言が多いような気がした。「夢と希望の違い」に対する犀川先生の答えがお気に入り。
事件や密室の仕組みもよかったですが、犀川先生と萌絵の掛け合いなども面白く読めた。
「S&Mシリーズ」はミステリー要素もありつつ、それぞれの人間模様にも魅力が詰まっていて、他にはない面白さがあると思う。 -
S&Mシリーズ4作目。
今作は今までと少し違うテイスト多めかも。
でも面白い!
今作は特段、天才は出てこない。
なので、S&Mの知的な会話が存分に楽しめる…
かと思いきや、
犀川助教授が出張で不在となる期間が発生。
今までのシリーズではここまで
別行動する期間が長いのは無かったかも。
また萌絵が大人になりつつある、
というのが物語のあちこちでアピールされてる。
犀川が何度もそれを感じる場面もある。
萌絵が犀川のことを
別の見方から知りたいと思うようにもなる。
萌絵の友人がいろいろ出てきたのも新しい。
今まではちょっと出るくらいだったのに、
今作では物語全般を通して出てくる。
今まではただ2人の会話と
2人の共通の人間とのやりとりでしか、
2人のことを把握できなかった。
それが今作では
それぞれの友人との会話、
2人が揃っていないところでの振る舞いから、
2人の普段を知ることになる。
また天才が少なかったからか
いつもより会話や表現が易しい感じも。
言葉の大切さや男女の違いなどが、
凡人にも分かるレベルで語られてる。
今作で一番印象的なのは
夢と希望のくだりも良いけど
「酸化するというよりは、錆びるといった方が
ずいぶんロマンチックだろう?」
のシーン。
錆びるって全くロマンチックに思えないのに
こう言われるとマシかも…
と納得させられてしまう不思議。 -
S&Mシリーズ第4弾
詩的私的ジャック
タイトルから全く中身が想像できませんでした
まさか萌絵が解決してしまうのかと思いきや
そこは犀川先生が、、、
改めてこのシリーズがどハマりしてまして
なんでだろうと整理してるんですが
・誰が(who done it)
・どうやって (How
・何を(what
---------
・なぜ(why
ここの線引きが凄いはっきりして
なぜかとか興味もないし、理解しようとも思ってないし、(本人)犯人も言語化正しくできるのかすらわからないでしょというこの構図がしっくり
きているのだと感じてます
しっくりくるというのは、読者に考えさせる(問いてる)なので、読んだ後もあれって結局って余韻が残るので、心地よい頭の疲れと思考が連続するんだなと(昇華してます)
登場人物の成長(萌絵がどんどん冴えまくってくるところ)と冷静な犀川。そして、国枝さんとかまわりの警察とか本当にバランスがよく。ひとつひとつ言葉が考えさせられます
いくつか
夢と希望の違いって。。。
物理的に実現できそうなことを夢という言葉は
私は使わないと(国枝)
男前すぎるでしょw
学ぶのは、平等になるためだ
(犀川先生、、、)
他人に説明して、理解してもらえるなら、人殺したりしないよ
犀川先生の言葉の重さが素晴らしいんだよな
森博嗣さんの言葉選びと頭脳の凄さよ
続いて第5弾「封印再度」へ
※全くタイトルから想像つきませんねw
(who inside) -
S&Mシリーズ第四弾
大学で連続密室殺人事件が。
捜査線上に浮かぶのは有名ロック歌手。歌詞が事件内容と酷似している。
犀川創平が中国出張から帰ってくる中盤から一気に面白くなりました。やっぱり二人の会話が楽しくて読んでるようなもの。
謎自体は難しくてさっぱりでした…。
読後、思い返せばヒントはちゃんと散りばめられてた気がする。
そんなことより西之園萌絵の恋模様が気になって仕方ない。くっ付いてほしいけど、まだヤキモキしていたい( * ॑꒳ ॑*) -
暗示的な連続殺人に、今まではバリバリの合理的手法で殺人が起こっていたのに今回はちょっと趣向が違う?と思いながら読み進めていったら、やっぱりトリックが潜んでいた。
最後の殺人のトリックは全く予想外で驚いた。
犯人の頭脳も凄いけれど、ほとんど萌絵から聞いた情報のみで推測する犀川先生の明晰さが凄い。
萌絵との仲もぐっと縮まった感じで、その意味でも続きが気になる。
すごく面白かった! -
'23年3月6日、Amazon audibleで、聴き終えました。シリーズ、4作目。
本作も、何度か読んでいましたが…内容は、覚えてなかった(・o・;)かなり以前だし、内容的に、好きではなかったのかな…。
今聴いてみて、ミステリーとしては、段々クオリティが落ちていってるような気がします。でも、犀川と萌絵(←この字?)の関係は、少しずつ深まっていって…二人の関係を楽しむ小説、でした。あくまでも、個人的な感想ですが。
犀川先生の幸せを、歯ぎしりして妬む小説、ですね~ハハハƪ(‾.‾“)┐
楽しかったです。感謝!
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