殺意の集う夜 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 437
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062647199

感想・レビュー・書評

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  • バカミス、バカミスと言われているが、そこまで強調されるほどではない。主人公が心ならずも大量殺人を犯してしまう一場面だけは確かに「バカ」だが(しかしそうでもしない限り、とてものことあんな展開は描きえないだろう)、それ以外の部分はごく普通のテンションである。
    クローズド・サークルものとされることも多いが、主人公が「最後の1人」になったところから物語が始まるので、あまりそれっぽくはない。メタ的にも、閉鎖空間の「中」と「外」が交互に描写され、最後に二つが絡み合ってすべての謎が明かされる形式であり、「中」の恐怖と絶望と37564をもっぱら描く「いわゆるクローズド・サークルもの」とは言えない。
    とはいえかなりトリッキーな作品なのは事実で、冒頭からラスト1行まですべてが仕掛けに奉仕する、ある意味とてもストイックな構成である。そういう物語としてはよくできており、好きな向き(私もその一人)には楽しめるだろう。ただし、こういうものをご都合主義と毛嫌いする人もいそうで、評価が分かれる作品だとは思う。

    本書はとにかく仕掛けを楽しむ作品であり、ロジックだのフェアネスだのを厳格に求めるべきものではない。伏線がないどころか「おかしいだろ、それ」というような記述があるし(「イッたふり」て…)、ある登場人物の発言は、かれが置かれた状況を考えるとおよそありえないものだ。キャラというか嗜好がいきなり180度変わる者もいて、つっこみどころは枚挙にいとまがない。
    だがそれでも一篇の娯楽小説としては、それなりに見るべきところもある。「バカミス」だの「クローズド・サークル」だのといったレッテルを貼られたことで、損をしている作品だと思う。

    2017/8/21読了

  • 再読

  • 嵐の山荘で友人の園子以外全員をうっかり殺してしまった万理が見たのは園子の死体!話はこの嵐の山荘側と、ある殺人事件を追う刑事側との二つのパートで進むのですが、凄いリーダビリティです。もちろんこの二つのパートは最後に繋がるのですが、信じていたことが違ったという衝撃と、更にラストにヤラレタ!と。確かに伏線はあるのですがこの勢いで読んでいて分かった人は凄いと思います。最初の一行から最後の一行までミステリ、とのあとがきに納得します。若さゆえの作品とのことですがパズラーの西澤さんらしいストーリーで気持ちよかったです。

  • サスペンスと本格ミステリをぐちゃぐちゃに詰め込んだ西澤作品。
    20年前の作品とは思えないほど、雰囲気が冷徹で、展開がぶっ飛んでいる。これでキャラクターがもっと独創的ならメフィスト賞作品のよう。
    どの作品もそうだが、設定が非現実的なのにロジカルに探偵していく骨格は読んでいて飽きない。
    ただ今作は、登場人物の誰しもが最後まで全体を紐解けずに終わるという点で少しもったいなかった。そこに至った上での心理や結末の描きっぷりも、著者の読みどころであると思うので。
    3

  • これはなかなか面白かったと思うんです。
    テンポがよくて一日で一気読みでしたもの。
    最後の一行には驚き!
    ただ「愛すべきバカミス」という称号は合っているような気がします。そしてこういうのが好きなんだなあ。

  • 2016.5/1〜4。これは面白いバカミス。無茶はあるにしろ、タイトル通り殺意が集いすぎて。西澤さんのは今までSFしか読んだことがないが、これはこれでありかと。伏線の散らばり具合いがすごい。

  • クローズド・サークルで「犯人自身が推理する」というもの。
    ラストがちょっとせわしない感じだったけど、オチはさすが。

    相変わらず珍しい名字ばっかりですね。笑。

  • あとがきにもあるように「品」はない。
    ツッコミどころはたくさんありますが…
    面白い展開だと感じたのも事実。

  • よくもまぁ、たくさんの変わった嗜好の殺人鬼を集めたなという印象。
    殺人犯に自分が行っていない殺人はだれが行ったのかを推理させることに物語の主題を置いていると思わせておいて。
    最後の最後に叙述トリックをぶちこんでくるという。
    お見事

  • 次々と人が死んでいき、二つの事件が絡み合う。2人の犯人がもう一つの事件の犯人を捜す。

    いろいろとミスリードがあり、最後読み終わったときに、全てのパズルがはまる。真相が分かったうえで読み直しても、伏線は少し弱いかも。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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