皆月 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062647816

感想・レビュー・書評

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  • エロスと暴力で主人公が奈落に落ちる
    イヤミスタイプかと思いきや。。
    義弟のアキラが当初嫌なやつでこいつが皆
    不幸にするのかと一旦読むのを止めようか
    と考えたが読み進めていく内意外な展開に。
    女性が読んだらどう感じるかなあ。

    終盤のロードムービー的な所楽しかったです。

  • エグいのは苦手だ。でも目が離せなかった。頑張って読んで良かった。満足だ。本を読む楽しみを心の底から実感できた。

  • 最高!何が最高って上手く説明ができないけれど、とにかく良い小説だった。
    内容はそんなことあり得るか?ってくらい陳腐なのだが、人物描写が上手く、登場人物がイキイキしている。特にアキラ。最初は厄介な存在だなぁと思っていたのだが(その時点で物語に入り込み、主人公の視点になっていた)、途中からは、ヤクザでさえ手に余るアキラの凶暴さながらにも徳雄に心を許していく様や、実は物事をよく考えていて、突飛な行動の裏にある優しさとかがたまらなく良い。物語が終わりに近づくにつれ、アキラとはもう会えないのかと寂しくなったほどだ。
    さて、物語は実直なおっさんである徳雄が『みんな、月でした。がまんの限界です。さようなら』という意味深なメモを残し蒸発してしまった妻を、妻の弟であるアキラとソープ嬢と一緒に探すという話なのだが、初めは、みんな月ってどういう意味だろう?と、その答えを知りたくて読み進めていたが、途中からはそんなことを忘れ、登場人物たちに入り込んでいた。
    ラストも良く、素敵な小説を読んだなぁという実感だけが強く残った。

    • chie0305さん
      手近にあったので、まずはこちらを読んでみました。…ぶっ飛びました。妻の失踪についてもいろいろ予想していたのですが…。むしろ頭を空っぽにして娯...
      手近にあったので、まずはこちらを読んでみました。…ぶっ飛びました。妻の失踪についてもいろいろ予想していたのですが…。むしろ頭を空っぽにして娯楽小説のようにして読むほうが良いのかも?とにかくアキラが凄すぎる…。
      2017/03/08
    • chie0305さん
      そう…ですね。アキラに対してはアダルトチルドレン的要素を感じました。徳雄(とくに魅力もない40過ぎたただのオッサンという解釈をしたのですが、...
      そう…ですね。アキラに対してはアダルトチルドレン的要素を感じました。徳雄(とくに魅力もない40過ぎたただのオッサンという解釈をしたのですが、合ってますか?まあ、情に厚い、というか、そここそがアキラが彼に惹かれた理由なのだろうと思いますが)に対して実の姉以上に愛情を感じているように感じました。家庭環境に恵まれず、人格形成が不十分なまま大人になってしまったのかな、とか。でも、深読みしすぎても違うような気もするし…。面白い奴だな!と思う方が正しいのかな。
      2017/03/08
  • 花村萬月氏が描く女性は真に女神だ。
    こんな女性が身近にいれば惚れきってしまうだろう。
    また、女神の母性に触れたくなったらこの著者の作品に手を伸ばそう。

    女性が読んだらこの女性像をどう思うのだろうか?

  • 性や暴力の描写が多い小説ですが、描いている世界やテーマはとても美しいと感じました。
    エロやグロにより、返って小説自体の美しさが際だっているような気がします。
    欲望や暴力性といった負の部分を認める事で初めてこの小説にあるように、人は月ではなく太陽になれるのかもしれません。

  • ある日突然妻に失踪された中年オヤジが妻を探す旅に出る。
    その中で出会う非日常な人間たちと関わり合って行く中で本当の人との繋がりを見つけて行くヒューマンミステリー。
    妻はなぜ失踪したのか、本当の理由を知った時、心が揺さぶられる気がした。
    他人にはどうでも良いことでも、その人には全てであることもある。

  • 良かったぁ!久しぶり!

  • 先が全く読めない展開の中、所々で顔を出すアウトロウながら確固とした自分の生き方を持った人々の描写が秀逸だった。

  • ホントに遅ればせながら萬月氏初読。暴力とエロスのようなイメージだったので避けていたのだが、損した気分になりました。もっと早く読んでおくべきでした。読後の何と清々しいことでしょう。少し書き過ぎな部分や会話が弱い点もあるが、人物描写の力強さでそんなことは些末なことに感じました。阿刀田高氏の文庫本解説の冒頭の通り「よい小説は、よい」でした。

  • 初読の作家さん。最後まで読んで、ぶっ飛んだ…。意味深な置手紙を残して消えた妻の、秘密とか真実をいろいろ勘ぐって読んでいたのだが、入り組んだ事情などは何にもなかった…。登場人物誰一人、まともな人がいないのも凄い。終始アキラに振り回されて終わった…。それでストーリー成立するんだから、アキラのキャラクター付けは凄い。ジェットコースターか。酔うわ。

    • ひとしさん
      皆月読まれたんですね!
      アキラすごいけれど、なんか憎めなくて引き込まれません?
      なんか、花村萬月が描く小説は破壊的というか、破滅的という...
      皆月読まれたんですね!
      アキラすごいけれど、なんか憎めなくて引き込まれません?
      なんか、花村萬月が描く小説は破壊的というか、破滅的というか。
      でも、なんか魅力的なんですよね(^_^;)
      2017/03/08
    • ひとしさん
      chie0305さんの解釈で完璧だと思いますよ。アキラは単に破天荒な奴ってだけの位置づけではなく、それなりにきちんとした考えも持っているとこ...
      chie0305さんの解釈で完璧だと思いますよ。アキラは単に破天荒な奴ってだけの位置づけではなく、それなりにきちんとした考えも持っているところもありますからね!
      2017/03/08
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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。98年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川賞、2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『ブルース』『笑う山崎』『二進法の犬』「武蔵」シリーズ、『浄夜』『ワルツ』『裂』『弾正星』『信長私記』『太閤私記』『対になる人』など。

「2021年 『夜半獣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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