人格転移の殺人 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062647939

作品紹介・あらすじ

突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。寝不足覚悟の面白さ。

感想・レビュー・書評

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  • 人格が入れ替わるという実験施設に大地震の際に逃げ込んだ6人の間で起こる連続殺人事件。
    SFミステリー兼叙述トリックとして有名な作品。
    設定が絶妙すぎて、読んでる最中にところどころ設定確認しながら没頭してしまった。SFって何でもあり感があるので、あまり好きではなかったけど、最初に設定をしっかりさせておいてから、ロジックで勝負するものは大歓迎!(例として挙げるなら漫画HUNTER×HUNTERのグリードアイランドみたいな感じかな?)
    次々と人格転移が起こる中、狂気と化した殺人者が襲ってくる!映画CUBEバリに興奮しました!徹夜レベルの面白さでした!
    ただ終盤のトリックと動機がぶっ飛び過ぎてて、若干沈着…。そこだけが残念だった。

  • お話の方は作者らしい組立で
    やはり『7回死んだ男』はうまく行き過ぎた傑作だったのだなと思うが
    解説が受け付けない
    本自体の価値を消尽

  • てっきりクローズドサークルでの連続殺人だと思い込んで読んだらまさかの瞬間大惨事だった。最初のバーガーショップでキチンとキャラを把握していなかったばかりに後で苦労してしまった。SF×理詰めは相性がいい。犯人の動機はちょっとピンと来なかった。読後感は爽やか。

  • 奇想天外な設定で、それはそれで面白いと思うんだけども、設定説明が長いし、複雑で読むのが面倒になってしまった。人格と実体が違うのでもうなにがなんだか。連続殺人と言っても、「次はわたし?」とかいう恐怖ではなくて、人格転移が繰り返されているうちになんか次々と死んでる状態。
    残り二人になった時の推理もあーだ、こ―だと長いし。

    真犯人は、やっぱりあの人。アガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」式で、最初に殺された人が怪しいもんね。だから、あぁ、そうなんだと意外ではなかった。しかも、最初の動機があれだなんて。ちょっとなぁ。地震の後の極限状態だからっていうけども、だからこそあんな動機で殺すかなぁ。連続殺人の動機は自分以外を殺すと人格転移は起きなくなる(実体が一人だからね)からっていうのだろうけども。

    ラストで、この装置の真の目的?使い方?が言われてるんだけど、それはちょっとよかった。べたではあったけどね。
    ただ、あんなに使用方法が危ないものを、ショップモールに放置している設定がありえない。。。鍵も簡単に壊されたし。初期設定を否定してはだめか。

    やっぱり、私は本格って言うのが合わないんだろうかorz
    他の人の評価を見ると、みんな面白いって言ってるから、ちょっと

    ファンの人には申し訳ないけど、私には合いませんでした。ごめんなさい。

  • 現実には起こらない設定が前提となるが、そのなかで論理的に話を組み立てているため意外と違和感なく読み進められる。殺人の犯人は?地震の時の真相は?この人格転移装置の目的は?など様々な謎が徐々に解かれていき楽しい驚きを感じられる。ラストのハッピーエンドも気持ちいい。

  • 真相「だけ」なら予想はしやすい

    一人だけ転移せずに死んだ人がいる→死んだ人と生き残った人で入れ違いが起きていても気付かれないパターンがある(英語の発音・理解度などから)→意外性のある結末を考えるなら、綾子の人格が生きていてアランが死んでいるパターンだな……と
    んで実際にその通りだったんだけど、そこだけが解ったからなんだっつー話なのよね

    真の真相に至るまでのいくつもの論理とか、そういった部分を全部含めて楽しめた
    綾子が転移後の自分の体とジャクリーンを間違えて殺してしまう過程とか大好き、シンプルでわかりやすく綺麗な推論

    読み始めたころは「こんな人数で人格転移が起きつつの連続殺人とか、絶対にごちゃごちゃして頭パンクするわ」なんて身構えていたんだけど、実際は誰かが死んだらそのままあっという間に江利夫とジャクリーンの二人だけになっていて、予想以上のスピーディな展開にも驚いた
    いい意味で拍子抜けしたというか、肩肘張らずに読む事が出来た

    諸々に関しての動機についてはうーん……と思ってしまうのが正直な所だけど、そのあたりを主軸にした作品ではないと思って読んでいたので、まあ、目を瞑ってもいいかなという感じ

    講談社文庫版を読んだので解説が森博嗣だったんだけど、ビックリするくらい内容が頭に入ってこなくて困惑(笑
    なんじゃあの文章は……

  • 宇宙人が建造したとされる謎の施設。
    人間の肉体から精神を引き剥がし、
    他者の肉体へと入れ替えてしまう。
    一度入れ替えが行われると、
    不規則なタイミングで永遠に
    入れ替えが続くという。
    大地震から避難した6人の男女が
    不運にもこの施設へ入り込んだ。
    肉体と精神がごちゃ混ぜになった
    彼らをアメリカ政府の役人は
    何処とも知れない場所へ隔離した。
    そこで事件が起こる。


    以前に読んだ七回死んだ男よりも
    更に不可思議な設定のSFミステリ。
    ユーモラスで軽やかな文章は
    相変わらず読みやすかった。
    だが設定が複雑過ぎる割りに
    あまり魅力的でない物語と
    予想通りのラストだったので、
    読後の満足度は高くなかった。

  • とても面白かった。
    6人ではなく7人で転移して、紛れ込んでいる綾子が犯人なんだろうなぁ、
    とは思ったものの、
    ロジカルに(アランの人格がアランの体を殺す訳がない)解くことができなかったのが悔しい。
    また、ジャクリーンの体だけ傷つけないように、と気を付けていたことから、
    最後の着地先の体までロジカルに推理され、解かれており、
    読んだ後に気持ち悪さが一切残らなかった。

  • 突然の大地震で6人が逃げ込んだ施設は人格を入れ替えさせる実験施設。設定がとても面白いです。6人の人格が次から次へと入れ替わる中で起きた殺人事件。ミステリーの謎解きよりも「今、いったい誰の人格なの?」「誰が誰になってるの?」と想像しながら読みました。6人が日本人だけじゃないところも相まって、よりこんがらがって「?」状態。でも面白かった。西澤さんらしいSFでした。

  • いや〜!おもしろい!その一言につきる。

    人格転移というSF設定とその中で巻き起こる殺人事件。どちらもハラハラ展開で、後半以降の展開はスピード感もあり一気に読んでしまった。

    人格転移という設定のため頭が混乱する部分が多々あるが、それを難なく乗り越えるくらいにはおもしろかった。

    特に、最後の最後にわかる「第二の都市」の存在意義。そして、冒頭からの伏線回収と最後の1ページまで存分に楽しめる。

    素晴らしい技術があったとして、生かすも殺すも、やはり使用する私たちにかかっているのだと、そんなことを思わずにはいられなかった。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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