封印再度 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 6266
レビュー : 543
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062647991

感想・レビュー・書評

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  • 再読。

    このタイトル、秀悦。
    このシリーズの中で、一番好きなタイトルだ。
    封印再度 Who Inside
    読み終わって気づく。
    このタイトルが物語の全てを一言で表現しているということに。

    「天地の瓢」「無我の匣」もその名の通り!
    パズラーが出てくるお話だが、作者こそ、言葉のパズルの天才だと思う。

    この作品で、犀川先生と萌絵の関係が少し変わる。
    犀川先生は、あらためて、自分の気持ちに気づく。
    そのキッカケとなる萌絵の手段は、すごいとしか言えない。
    万が一、自分がそれにひっかかったら、自分は、怒るだろうが、すごく安堵すると思う。
    犀川先生も、そうだったのではないかな。
    犀川先生の行動に、ちょっとニヤっとしてしまうのは、萌絵の長い年月をかけた行動が報われてほしいから。という、女性目線。

    「なりたいものになれない人はいない」「なれないのは、真剣に望んでいないだけのことだ。自分で諦めてしまっているからなんだよ。人間、真剣に望めば、実現しないことはない」犀川創平
    この言葉は、ドキッとした。
    自分は、何度となく、真剣に望まず、それを手放してきた。
    その結果がいま。
    別に大きな後悔はないけれど、それを望んでいた当時、この言葉を聞いていたら、変わっていたのだろうなと思う。
    そして、今でも遅いわけではない。
    別のものを望んだなら、それを真剣にやれば良いと思う。
    そんな積み重ねが、人生最後に何かわかるんだろうな。

  • 少しずつ人間味を増す犀川先生と、自由奔放に見えて実はナイーブであることが判明する萌絵が、まるで実在の人物のように生き生きと動き出し、シリーズ物であることの魅力を余すことなく堪能することができます。

    『すべてがFになる』『冷たい密室と博士たち』『笑わない数学者』『詩的私的ジャック』では、比較的早い段階で謎が発生したような記憶がありますが、この『封印再度(Who Inside)では、背景の説明に時間をかけて、謎が出てきそうで中々出てこないですねぇ~ また、大胆な萌絵と煮え切らない犀川との会話も洒落ています。このシリーズが愛され続けている理由が分かりますね。

     2ヵ月ぶりに読んだS&Mシリーズの5作目は、「すべてのトリックに隙が無い」とは言えないですけれども、バランスの取れた物語でした。森博嗣さんの文章は短期間で読みやすく進化しており、少しずつ人間味を増す犀川と、自由奔放に見えて実はナイーブであることが判明する萌絵が、まるで実在の人物のように生き生きと動き出し、シリーズ物であることの魅力を余すことなく堪能することができます。多くの読者が自分が犀川研に属している学生のような臨場感も味わい感情移入することでしょう。森博嗣さんが犀川の台詞を借りて語る哲学的な言葉も興味深いです。

    若い作家さんが精一杯背伸びして書いたような作品も悪くないけど、作家が感じているプレッシャーまで伝わってくる感じが重苦しい時ってありますよね。それに比べると森博嗣さんの作品は、イチローみたいな選手が、バッティングピッチャーのボールを打っているような余裕を感じて心地よいですぅ

    森博嗣さんの作品は、良くも悪くも純粋にフィクションとして楽しめる感じがありますね。

  • 作品名からして洒落が効いてて、しっかり内容に沿っているのが素敵。
    犀川の新たな一面が見れた半面、萌絵の暴挙に大分我慢出来なくなって来ている。こんなことを言ったら身も蓋も無いが、もう少し大人しくしていてもらえないものか。

  • タイトルが一番好き。
    センスが有りすぎる。

  • 密室の謎もさることながら、今回は「壺を割らずに中の鍵をどうやって取り出すか?」という謎が秀逸で最後まであれこれ考えながら楽しむことができた。おおむね予想していた通りのトリックだったが、細部まで正確に当てることはできなかったので、さすがだなぁと膝を打った。ひとつだけ気になるのは、萌絵がどんどんわがままになってきているところ。女性目線で見るとあまりにも子どもっぽく魅力に欠ける気がするが、男性の目にはこういうタイプの女性が「可愛い、小悪魔的」と映ったりするのだろうか?とはいえ萌絵と犀川先生の関係も含め、今後もこのシリーズの展開が楽しみでならない。

  • 「天地の瓢」で「無我の匣」を開ける謎は、エピローグのような感じで最後に解かれる。
    この謎が一番おもしろかった。
    最後までわからなかったし、それぞれの名前にふさわしい発想の開け方。

    ただ、密室殺人自体がなんとも。。
    子供の証言や、記憶の混乱など、少々強引な印象をもった。

    禅についての考察があり、京極夏彦氏の『鉄鼠の檻』と引用などが被る。
    2作を比べれば、禅に対する理系の合理的な考察と、文系の歴史を踏まえた分解が楽しめる。

    萌絵の暑苦しさ(?)よりも、清涼な(?)国枝女史に魅力を感じるのは何故だろう。。

  • 無駄な所に美が宿る。

  • 壺の中に入った取れない鍵と、その鍵がないと開かない箱。

    かつて開いていたのを見たものがいる。
    壺を割らずに中の鍵を取り出すにはどうしたらいいのか。

    また、その壺と箱の周りで起こる不可解な死。

    終始そのトリックを解き明かすことに焦点が当てられるが、最後の最後まで大きな展開はなく、少し単調に感じた。

    ラストで明らかになるトリックは意外なもので、理系の著者ならではのものと言える。

  • S&Mシリーズの5作目。

    【あらすじ】
     岐阜の旧家に伝わる「天地の瓢」と「無我の匣」。瓢の中に匣を開ける鍵が入っているが、首が細く取り出せない。さらにこの工芸品は、先代の当主が密室の蔵で刺殺された時に傍らにあったという。
     取り出せない鍵と密室の謎に興味を持った萌絵は、現地で情報を集め、それを基に犀川とトリック談議に花を咲かせる。そんなある冬の夜、旧家で刺殺事件が発生する。

    【感想】
     3,4作目と比べて格段に面白かった。子供を使った点と、当主が蔵の外に出た理由については少々違和感を感じるが、瓢と匣の存在がミステリーに厚みが出て良かった。

  • 3.5
    家宝である天地のこひょうと無我の匣をめぐる日本画家に関わる殺人事件の話。推理小説的には、動機とかも含めて変わってる人な感じでイマイチ。萌絵のエイプリルフールの話は面白く、犀川の新たな一面が出てきて面白い。金田一やコナン的な楽しみ方になりつつあるが、時間が流れているところは続きが読みたくなる。

著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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